第97回アカデミー賞で「長編アニメーション賞」を受賞した映画『Flow』から、本編映像第2弾が公開された。
このたび公開されたのは、4分以上にわたる圧巻のワンシーンの一部。 緊張感あふれるその一部始終を一切カメラが途切れることなくとらえた本シーンでは、そのダイナミックなカメラワークにも注目だ。
ギンツ・ジルバロディス監督が来日時に対談し、『ルパン三世 カリオストロの城』手掛けた日本を代表するアニメーターの一人、友永和秀氏も「驚くべきワンショット!」と絶賛したワンシーンとなっている。
映像では、深い水底で溺れかけたはずの猫が、巨大な岩山の上で目覚めるところから始まる。キョロキョロ周りを見回すと、なんとその岩は動き出し大きな尾びれを水面にたたきつける。それは、見慣れぬ姿をした巨大なクジラだった。
クジラに目を奪われていると、空の向こうから急スピードで猫に忍び寄る黒い影が……。次の瞬間、猫は背後から突然大きなヘビクイワシに掴み上げられ、たちまち空高くに連れ去れてしまう。
始めは頼りない鳴き声を上げて怯えていた猫も、眼前に広がる広大な世界に圧倒される。水面から遠く離れた上空から見下ろすと、カメラはかつての文明の痕跡を感じさせる廃墟や、天高くそびえる岩山をとらえ、突如として洪水に包まれた本作のミステリアスな世界の一端が明らかに。我に返り、逃れようと暴れまわった結果、ヘビクイワシの手を離れ、猫は真っ逆さまに急降下していき……という、続きが気になる映像となっている。
本作のすべてのカメラワークを担当したという監督が、
「まるで自分が猫になったかのような臨場感と一体感を与えたかった」
と、語るこだわりのシーンの全貌は、ぜひ劇場で体感してほしい。
この作品は、ラトビア出身のクリエイター、ギンツ・ジルバロディス監督の長編2作目となる。
2024年カンヌ国際映画祭「ある視点」部門でプレミア上映を飾り、同年のアヌシー国際アニメーション映画祭で審査員賞、観客賞含む4冠を受賞した。そして、2025年ゴールデングローブ賞では『インサイド・ヘッド2』『野生の島のロズ』『モアナと伝説の海2』ら錚々たるビッグタイトルをおさえてアニメーション映画賞を受賞した。
さらに、アニメ界のアカデミー賞ことアニー賞にて、長編インディペンデント作品賞、脚本賞を受賞し、2025年アカデミー賞では長編アニメーション賞を受賞した。
制作費350万ユーロ(約5.5億円)、50人以下のスタッフという極めてインディペンデントな体制ながら、ハリウッドのメジャースタジオ作品を抑え見事オスカー受賞に輝いた。アニメーション映画史の歴史を変えた、ビッグサプライズ受賞となった。
世界の映画祭で60以上の賞の受賞に輝く。3月14日(金)から日本での公開が予定されている。
◆映画情報
3月14日(金)よりTOHOシネマズ日比谷他にてロードショー
▼受賞
- 2025年アカデミー賞 長編アニメーション賞受賞
- 2025年ゴールデングローブ賞 アニメ映画賞受賞
- 2025年アニー賞 長編インディペンデント作品賞・脚本賞受賞
- 2024年アヌシ―国際アニメーション映画祭 4部門(審査員賞・観客賞・音楽賞・ガン映画財団配給賞)受賞
- 2024年グアダラハラ国際映画祭 最優秀長編アニメーション賞受賞
- 2024年カンヌ国際映画祭「ある視点」部門出品
- 2024年トロント国際映画祭出品
- 2024年東京国際映画祭出品
▼ストーリー
世界が大洪水に包まれ、今にも街が消えようとする中、ある一匹の猫は居場所を後に旅立つ事を決意する。
流れて来たボートに乗り合わせた動物たちと、想像を超えた出来事や予期せぬ危機に襲われることに。しかし彼らの中で少しずつ友情が芽生えはじめ、たくましくなっていく。
彼らは運命を変える事が出来るのか?そして、この冒険の果てにあるものとは―?
- 監督:ギンツ・ジルバロディス
- 2024/ラトビア、フランス、ベルギー/カラー/85分
- 配給:ファインフィルムズ
- 映倫:G 文部科学省選定(青年/成人/家庭向き)
- 原題:Flow
- 後援:駐日ラトビア共和国大使館
▼公式Webサイト
©Dream Well Studio, Sacrebleu Productions & Take Five.