「無駄無駄原画」による超豪華無駄無駄ラッシュも終え、組織のボス・ディアボロとの戦いがクライマックスを迎えている、『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』。
ジョジョシリーズと言えば、個性的なキャラと能力によるスタンドバトルが最大の魅力です。
今回は、そんなバトルの面白さを下支えする技術「1123の法則」について、語ってみたいと思います。
スタンドバトルはここを見よ
「1123の法則」とは、「一進一退」と「二転三転」、2つの四字熟語を組み合わせた言葉。
戦闘シーンを魅力的に描くための創作技術ですが、『ジョジョ』におけるスタンドバトルの魅力にも通じるものがあるのです。
ストレートに圧勝するのではなく、「一進一退」の攻防を描く。そのままだと単に「押したり引いたり」なので、バトルが進むに連れて「二転三転」もさせる。つまり「戦闘の状況を変化させる」。
ここに、ストーリー作りの基本「「これ」が起きたからこそ「それ」に繋がる」の流れが加わったならば、非常に面白い展開になります。
『黄金の風』において、一進一退せずに勝利した(かに見えた)スタンドバトルは「ノトーリアス・BIG戦」のみ。しかし後にスタンドの正体が判明し、そこからは1123の法則が活かされます。
そして他の戦い、例えば「ジョルノ対ブラック・サバス」も、「ジョルノ対ブチャラティ」も、「ブチャラティ&アバッキオ対ズッケェロ」も全てもれなく、一進一退・二転三転のバトル展開を魅せることで、他に類を見ない面白さが実現されていると言えます。
ナランチャ・ギルガを忘れない
個人的に、「1123の法則」が適用されているスタンドバトルの最高峰は、なんと言っても「ナランチャ対スクアーロ&ティッツァーノ」!
徐々に奇妙なことが起こり、スタンド攻撃であることが知れ、一旦は絶望的だと思われるも、ナランチャとジョルノの合わせ技によって反撃へ転じることに成功。
冒頭部分だけ切り取っても、「1123の法則」が見て取れます。ナランチャならではのコメディ要素が入っている点も面白い。
さらに、この戦闘エピソードには「攻撃したからこそ反撃を受ける」「反撃を受けたからこそ弱点が見える」「弱点が知られたからこそ新たな活路が生まれる」「新たな活路へ懸けたからこそ危機に陥る」といった「流れ」が常に存在しています。ぶつ切りの一幕がまったく存在しません。
勝負を決した切り札には主人公・ジョルノの能力が活用されている点も含め、まったくもって感服です。
ボスとの戦いが最高潮へ向かう『黄金の風』。
味方の中で唯一「矢」を拾うことができたポルナレフ、彼によってもたらされた「転」がどんな展開に繋がっていくのか。
原作を知っていても何度でも楽しめるスタンドバトルに、最後まで目が離せません。
(Edit&Text/ヒダマル)
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©LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社・ジョジョの奇妙な冒険GW製作委員会