◆実はおちゃめ? ポルナレフの前に現れたディオの行動
「あ…ありのまま今起こった事を話すぜ! おれは奴の前で階段を登っていたと思ったらいつのまにか降りていた…」
というポルナレフのセリフで、あまりにも有名なディオとの遭遇シーン。改めて振り返ってみると、ディオが実はおちゃめなことをしていたことが分かります。
ポルナレフが階段をのぼりはじめたタイミングでディオは時間を止め、ポルナレフを抱えて下に運び、元いた場所に戻って同じポーズをとって再び時間を動かす──。ディオはこんな地味な作業を3回も繰り返しています。
ポルナレフにこのうえない恐怖をあたえておちょくりたかったのか、本当に仲間に引き入れたかったのかは分かりませんが、その直後には、ヌケサクが棺桶を開けようとするタイミングで、時間を止めて、棺桶を開けたら中にはヌケサクがいたという演出で承太郎たちを驚かせています。
そのことから人をからかって恐怖をあたえるのが好きだと考えられますが、そのために人知れず地味な行動をするおちゃめなところがあるのは意外といえます。
──荒木飛呂彦先生は、キャラクターやスタンドの登場シーンで強烈なインパクトをあたえて、謎を投げかけることで読者を引き付けることを大事にしていると考えられます。
そのため、最初にあった設定がいつの間にかなくなっていたり、スタンド能力が分かってから改めて登場シーンを振り返るとキャラクターがらしくない行動をしていたりすることがあります。
しかし、それこそが『ジョジョ』の面白い部分でもあり、多くのファンを引き付ける魅力的な要素だといえます。
〈文/諫山就〉
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