<本記事は、漫画『呪術廻戦』、TVアニメ『呪術廻戦』のネタバレを含みます。ご注意ください。>

 2月27日放送のテレビ番組『漫道コバヤシ』にて漫画『呪術廻戦』の作者、芥見下々先生が「あと2年ほどで『呪術廻戦』は完結する予定」と発言し、Twitter上で話題となりました。しかも、すでに虎杖と伏黒がどんな最期になるのか決まっているらしく、物語も完結に向けて動き出しているとのことです。

 物語のラストだけでなく「散りばめられた謎や伏線はちゃんと回収されるのか?」という点もファンなら気になるところ。

 ではいったい、『呪術廻戦』にはどんな謎や伏線が残されているのか?

<以下、漫画『呪術廻戦』、TVアニメ『呪術廻戦』のネタバレを含みますのでご注意ください。>

◆虎杖の両親は何者? 彼の呪術や身体能力は親譲りなのか?

<画像引用元:https://jujutsukaisen.jp/episodes/14.php より引用掲載 ©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会>

 虎杖は『呪術廻戦』において特殊な存在として描かれています。呪術の家系でもないのに呪霊が見え、普通は発狂してしまう宿儺を何体も取り込み、驚異的な身体能力を発揮。出来事に対しても、呪術とは無縁の普通の高校生だったとは思えないような考え方をします。

 そのためファンの間では「虎杖は特別な生まれではないのか」という説が囁かれています。

 その説に信憑性を持たせているのが、物語序盤、虎杖と会話をしていた彼の祖父のセリフ。虎杖との最期の面会時、祖父は

「悠仁……最期に言っておくことがある。オマエの両親のことだが」

 意味深に話そうとします。それに対し虎杖は

「いいよ。興味ねーから」

 と遮ります。

 虎杖は両親についてほとんど覚えていないとのこと。母親とは会ったことすらなく、父親もうっすらと記憶に残っている程度だそうです。そんな虎杖に祖父は何を伝えようとしたのでしょうか。

 また、虎杖と同じように禪院真希も高い身体能力を持つ呪術師の一人です。彼女は、本来生まれ持つはずだった術式を持たない代わりに人間離れした身体能力を得た「天与呪縛」という特性を持っています。高い身体能力という共通点があることから、虎杖も「天与呪縛」なのかもしれません。しかし、そうなると虎杖にも本来受け継ぐはずだった術式があることになります。そしてもし、彼が「天与呪縛」なら、両親は呪術関係者であると考えられます。

◆「存在しない記憶」の謎

<画像引用元:https://jujutsukaisen.jp/episodes/15.php より引用掲載 ©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会>

 「存在しない記憶」とは、京都姉妹校交流会編において東堂が見た「謎の記憶」のことです。その記憶では、高田ちゃんに告白し振られた東堂を虎杖が慰めるエピソードが描かれていました。

 もちろん、東堂と虎杖は初対面。「東堂と虎杖が同じ高校に通い、青春の1ページを過ごした」なんて記憶は偽りです。しかし、この記憶を機に東堂は虎杖を親友として認識。虎杖の修行をつけるようになります。

 一見、東堂の妄想のように思えますが、「存在しない記憶」を見たのは彼だけではありません。アニメから随分と先の話になってしまいますが、もう1人……今度は特級呪霊が虎杖との「存在しない記憶」を見ることになります。その記憶において、虎杖はその呪霊の弟として登場し、呪霊を大きく混乱させました。

 東堂の時も、特級呪霊の時も、虎杖の都合の良い展開になっているため、「存在しない記憶」は虎杖が無意識に使用している能力ではないか、とファンの間では考察されていました。

 しかし、作者、芥見下々先生は、前述のTV番組の中で、「存在しない記憶」は虎杖の能力ではなく、東堂とその特級呪霊はそれぞれ別の理由で偽りの記憶を見たと語っています。この発言により「存在しない記憶」の謎は一層深まったと言えます。まだ、虎杖の術式による効果や、宿儺の術式による影響だと言われたほうがスッキリするのではないでしょうか。

 「存在しない記憶」の正体とはいったい? 『呪術廻戦』の中でも大きな謎の一つと言っても過言ではありません。

◆宿儺の目的は? そのうち虎杖に刻まれると言われる「宿儺の術式」とは?

▼虎杖の体に刻まれる宿儺の術式

<画像引用元:https://jujutsukaisen.jp/episodes/06.php より引用掲載 ©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会>

 「呪いの王」とまで呼ばれている宿儺。その強さは「呪術全盛の時代に術士が総力を挙げて両面宿儺に挑んだが敵わず敗れた……」という言い伝えがあるほどです。しかし、その術式についてはあまり語られていません。アニメでは、呪胎戴天編で虎杖と体を交代した宿儺が領域展開をしていたくらいでしょうか。

 その領域は「伏魔御厨子」と呼び、発生したばかりとは言え特級呪霊を一瞬で屠るほどの破壊力を見せました。五条先生の「力を取り戻した宿儺は、ちょっとしんどい」というセリフから「無量空処」にも匹敵するほど強力な領域なのではないかと推測できます。

 原作では、もう少し宿儺の術式について語られており、曰く術式は斬撃系のモノであるとのことで、領域内のモノ全てに斬撃を浴びせる効果を持っているようです。

 五条先生は、虎杖の体に「そのうち宿儺の術式が刻まれる」と話していますが、現在その傾向は見られません。もしかすると、宿儺は斬撃系以外の術式も持っており、それが虎杖の体に刻まれている可能性も考えられます。

 ▼1分間だけ体を変わる契約

 ルームシェアのような状態になっている虎杖と宿儺。体の主導権は虎杖にありますが、常に彼が体の主導権を持っているというわけではありません。作中では、どうしようもない状況に陥った場合、宿儺に体を変わることもありました。しかし、基本的に「体を変わる変わらない」の判断をするのは虎杖です。彼がまず宿儺に体を譲る判断をしなければ、宿儺は虎杖の体を自由にすることができません。

 しかし例外があります。それが「1分間だけ体を変わる」契約。この契約は、呪胎戴天編で死亡した虎杖を復活させることを条件に結んだもの。

 その契約内容は、

・宿儺が契闊と唱えれば1分間だけ体を変わること

・この契約を虎杖が忘れること

・体を貸している間の1分間、宿儺は誰も殺さない、傷つけないこと。

 蘇生できることを考えれば、破格の条件とも言えますが、虎杖はこれを断っていました。最終的には、心の中で宿儺と戦い、勝てば「無条件で蘇生」負ければ「その条件で蘇生」という形に落ち着きましたが、結果がどうなったのかは描かれていません。

▼宿儺が伏黒に目をつけている理由

 全ての人間を殺す対象だと思っていそうな宿儺ですが、唯一伏黒にだけは興味を示しています。それはなぜなのか?

 宿儺が伏黒を気にかける描写は、作中何度も登場しています。

 伏黒を思い浮かべながら呟いた「近いうちに面白いものが見れる」という発言や、「宝の持ち腐れ」という言葉。またこれは原作のネタバレになってしまいますが「オマエにはやってもらわねばならんことがある」と言って、仮死状態の伏黒を助けたこともあります。

 宿儺が言う、面白いものとはなんなのか? また、伏黒にやって欲しいこととは?

 どうやら、宿儺は伏黒の持つ式神術「十種影法術」に大きな興味を持っているようですが、式神召喚が何に利用できるかは謎のまま。一説によると「十種影法術」のモチーフになった十種神宝には、死者を蘇らせる効果を持つ物があるそうです。となれば、宿儺が自分自身の復活を考えている可能性も出てきます。

 しかし、本当に伏黒が死者復活の手段を持っているのかは謎。また、普通に頼んで伏黒が宿儺の言うことを聞くとは思えません。考えられるとすれば、虎杖の体を人質に取ることぐらいですが、それでも上手くいくでしょうか。宿儺の本当の目的、伏黒の術式、全てが謎のままです。

◆虎杖と五条先生をおとしめているのは誰? 呪術師側の裏切り者について

 京都姉妹校交流戦で、五条先生が「高専に呪詛師……或いは呪霊と通じている奴がいる」と言っていたのを覚えているでしょうか。

 突然、裏切り者がいるとの話に驚いた方も多いでしょうが、そうでなければ説明がつかない事象が『呪術廻戦』にはたくさんあります。

 例えば、物語の序盤において宿儺の指が保管されていた場所。呪術師にとって非常に厄介な特級呪物である「宿儺の指」ですが、本来なら見つけても厳重に保管し、五条先生などの高レベルの呪術師が回収に当たるべき任務です。でもなぜか一般高校の百葉箱の中に保管され、しかも回収に行かされたのが学生である伏黒でした。とても特級呪物の扱いとは思えません。何者かの作為を感じてしまいます。

 また、呪胎戴天編で虎杖たちが特級呪霊に遭遇したことも異常です。この事件では、特級呪霊が出現する可能性が論じられていながら、五条先生が出張中だということで虎杖たちが任務に当たることになりました。これらの事態を五条先生は、虎杖を殺したい上層部が特級を利用したと考えていましたが、本当にそれだけでしょうか?

 特級呪霊は、宿儺の指を取り込んでいました。そこに、たまたま宿儺の器である虎杖が、上層部の思惑で派遣される……。偶然にしては整いすぎです。何者かが呪霊に宿儺の指を与えたということも考えられなくもありません。

 キナ臭い事件には、虎杖と五条先生をおとしめる裏切り者の存在が関わっていそうです。物語のキーパーソンとなりそうな裏切り者ですが、実は原作でも1人は分かっていますが、残りはまだ判明していません。

 判明している裏切り者の情報は

・呪詛師と通じているのは2名以上

・1人は学長以上の上層部

・もう1人はその上層部に情報を流している者

 の3つ。

 いきなり、新キャラが登場するのか、今までは表の顔として登場していたキャラが実は学長以上の上層部として登場するのか。そもそも、本来は敵であるはずの呪霊たちと通じている目的は何なのか。今後の『呪術廻戦』を大きく動かすことになるのは間違いありません。

 

 ――こうして謎や伏線を振り返ってみると、意外にも序盤に出てきたものが多いことが分かります。アニメで放送された部分もあるので、心当たりのある方も多のではないでしょうか。

 特に「存在しない記憶」については、アニメ放送後様々な憶測が飛び交っていたので、今後その記憶の正体が明かされるのか、というのも本作の見どころの一つです。また、虎杖の出生も物語に絡んでくるのかというのも気になるところ。

 原作者、芥見下々先生のあと2年で『呪術廻戦』が完結する予定、という発言が本当なら、物語はそろそろラストスパートへ突入。そして、謎や伏線が回収された時、我々はどんなラストを目撃するのか。ますます『呪術廻戦』からは目が離せそうにありません。

〈文/天乃ひる (@amano_hiru

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TVアニメ「呪術廻戦」公式サイト

©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会

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