◆始まりであり締めである拍手
また、ほかに、拍手がすべての始まりでありながら、締めという意味を持っていることが理由のひとつに挙げられます。
先述した通り、夏油は盤星教が拍手をする姿が忘れられず、呪詛師へ堕ちてしまいました。
そして、呪詛師になった彼は、新宿・京都百鬼夜行で乙骨に敗れたあと、五条によって殺されてしまいます。
彼の死体は五条が家入に気を遣い、彼女に処理をさせなかったようですが、そのことが原因で彼の死体は羂索の手に渡り肉体を乗っ取られ、本編の一連の事件が勃発してしまいました。つまり、夏油が呪詛師へ堕ちたことによって、すべての事件が始まったといえるのです。
それを裏付けるように渋谷事変が終わった後、天元が意図せずピースが揃い一連の事件が起きたと言い、ピースのひとつに夏油の存在をあげていました。
そんな重要な存在であった夏油を呪詛師へ追いやった盤星教の拍手は、すべての始まりでありすべての元凶といえるでしょう。
一方で、日本には手拍子で締めを表す手締めという習わしがあります。手締めはさまざまな種類がありますが、なかでも一丁締めと呼ばれるものは最終回の虎杖のように手拍子を1回することでその場を締めます。
これらのことから、もしかしたら、最後の拍手のシーンは拍手がすべての始まりだったことや、手締めとしてアニメ2期や渋谷事変の終幕を表していたのかもしれません。
そのように考えると、拍手で締めくくるのは意味深な終わりかたではありましたが、最終回にふさわしい終わりだったと言えるでしょう。
〈文/林星来 @seira_hayashi〉
フリーライターとして活動中。子供の頃から培ってきたアニメ知識を活かして、話題のアニメを中心に執筆。アニメ以外のジャンルでは、葬儀・遺品整理・金融・恋愛などの記事もさまざまなメディアで執筆しています。