主題歌、「ようこそジャパリパークへ」や、「わーい! たーのしー!」などのセリフが話題を呼び、たちまち大人気作となった、アニメ『けものフレンズ』(以下、けもフレ)。
アニメ終了後も、「日清食品グループ」や「JRA」といった企業・公営とのコラボレーションもなされ、その人気は今もなお健在!
そんな人気の渦中、アニメ版『けもフレ』の脚本・監督などを務めた“たつき監督”が、ツイッターにて9月25日の20時頃、「監督を降りることとなった」とツイート。
突然ですが、けものフレンズのアニメから外れる事になりました。ざっくりカドカワさん方面よりのお達しみたいです。すみません、僕もとても残念です
— たつき/irodori (@irodori7) 2017年9月25日
たつき氏のこのツイートは、Yahooニュースに取り上げられたり、企画・版権を持つKADOKAWAホールディングス(以下、カドカワ)の株価が一時急降下するといった騒動が起きています。
現在カドカワから、今回の内容についてのリリースが発表されておりますが、今なおインターネット掲示板などでも議論が続いております。
アニメ2期の制作も発表されていた『けもフレ』。
アニメの2期が始まる際に、1期とは制作会社や監督が変わるというのは(いわゆる「大人の事情」というものもありますが)よくあるお話ですが、(※本騒動でも度々言及されるのは、『らき☆すた』の山本寛監督や、ゲーム『メタルギアシリーズ』の小島秀夫監督)なぜ今回の『けもフレ』では「ニュースに取り上げられる」、「公式が騒動についてリリースを出す」といったところまで来ているのでしょうか??
本記事では「“どれどれ”が降板の原因」、「こういった裏事情が噂されている」といった部分ではなく、なぜ『けもフレ』のたつき監督が降板することが大々的にニュースで取り上げられるようになったのか? 『けもフレ』ヒットまでのヒストリーを見直しつつ語っていきます。
ファンに愛される「たつき監督」
アニメにはキャラクター・ストーリーといった外側な部分だけでなく、制作会社や脚本家などの内側(スタッフなど)のファンも数多く存在します。
今回の発端となったたつき監督も、作品を通して監督自身のファンとなった方々も多くおりました。
たつき監督は“ヤオヨロズ”というアニメの制作会社に所属しており、もともとはニコニコ動画などで“irodori”という制作チームで3Dアニメのモデリングを行っていました。
ヤオヨロズは、作品内に声優のアドリブ大喜利を取り入れた『てさぐれ!部活もの』や、ニッポン放送のアナウンサー吉田尚記氏が企画した生放送アニメ『みならいディーバ』を制作し、3Dモーションアニメの制作会社として知られるようになりました。
そのヤオヨロズに所属するたつき監督。実はアニメの監督という立場になったのは、この『けもフレ』が初めてなのです。
では初めての監督であったにもかかわらず、なぜここまでファンに愛される監督になったのでしょうか?
その答えは、たつき監督のツイッターやインタビューでの発言が大きく寄与していると推察出来ます。
『けもフレ』はインターネット上で話題になりつつあった時、たつき監督はツイッターの発言で
えっ、けものフレンズ、今なにか起きてるんですか?流行ってる??
ここ500日ぐらいアニメ作ってるだけなので世間に疎くて、その、えっ? pic.twitter.com/vII21bwHzH— たつき/irodori (@irodori7) 2017年2月7日
とツイートしています。
実際に『けもフレ』だけで500日以上費やしているのかは定かではないですが、『アニメイトタイムズ』でのインタビューで
「全12話をひとりで演出してますから。お話も99%が吉崎先生とたつき君が考えてます。脚本からコンテまでをひとりでみているから、作業のカロリー計算ができるんです。」
※吉崎先生…本作品のキャラクター・コンセプトデザインを担当した吉崎観音氏。『ケロロ軍曹』の原作者で知られる。
引用元:話題沸騰中の『けものフレンズ』、プロジェクトチームに初インタビュー! 誕生秘話からブーム到来までの歴史など「すごーい!」の連続3万字の大ボリュームhttp://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1488452395(アニメイトタイムズ)2017年9月28日閲覧
と語っています。インタビューの内容から察するに、ほぼすべての日を『けもフレ』に費やしていた可能性が高いです。
『けもフレ』は、NEXON株式会社が運営していたアプリゲームが元であり、アニメ放映前にサービスを終了していたコンテンツでもありました。
つまり、たつき監督は、「終焉に向かっていたコンテンツ」であった作品を、大量の時間を費やして大人気コンテンツにまで押し上げた功労者の一人なのです!
ファンにも愛され、かつコンテンツの中心を担う人でもあるたつき監督が、人気の衰えない中で突如「降りることとなった」となると、確かにこれだけ話題になるのも不思議ではありません。
ですが、コンテンツの立役者となった方が降板されるという事態は、先述した、『らき☆すた』の山本寛監督や、ゲーム『メタルギアシリーズ』の小島秀夫監督通りゼロではありません。
今回の騒動の異常性は、たつき監督の「たった一言のつぶやき」が、発言からわずか2時間で20万リツイート。海外でも「No Tatsuki No Tanosii」といったハッシュタグが生まれ、その日のうちにインターネットニュースでも大きく取りあげられるという点にあります。
ではなぜ、その「一言だけ」でここまで大きくなっていったのでしょうか。