2020年3月29日、2年間という放送期間を終え、第6期『ゲゲゲの鬼太郎』が最終回を迎えました。
<画像引用元:http://www.toei-anim.co.jp/kitaro/ より引用掲載 ©水木プロ・フジテレビ・東映アニメーション>
私、『ゲゲゲの鬼太郎』は子どもの頃から大好きで、今回最終回を迎えてしまい残念でした。
この世の中は、再び鬼太郎のない日々を迎えるわけですが、今の世の中、各種配信サービスやビデオレンタルなどで『ゲゲゲの鬼太郎』のこれまでのアニメシリーズは配信されているので、たっぷり復習することができるわけです。
そこでアニメ映画ライターとして、最終回記念に劇場版『ゲゲゲの鬼太郎』シリーズとして登場したアニメ映画を、各作品のオススメのポイントなどと併せて一挙に紹介します。第6期の劇場版はないのですが、ぜひこれを観て過去作の『ゲゲゲの鬼太郎』にも触れてみてはいかがでしょうか。
ゲゲゲの鬼太郎(1985)
第3期『ゲゲゲの鬼太郎』の劇場版第1弾にして、“新規製作”としては初の劇場版タイトル。映画の題名はそのまま『ゲゲゲの鬼太郎』です。なぜわざわざ新規製作と注釈が付くのかは後述します。
第3期の鬼太郎は、熱血漢でヒーロー然とした振る舞いが特徴の鬼太郎が主人公です。ちょっと影を落とした第6期の鬼太郎との性格の違いにも注目すると面白いです。そして敵の親玉は、なんと第6期84話にも登場したチンさんこと妖怪チンポが登場。南方妖怪を率いて鬼太郎やその仲間たちに戦いを挑んできます。30分以下の中編作品なので短い時間で楽しめる一本です。
さて、本作はなぜわざわざ新規製作と言う必要があるのか……。なのですが、それは『ゲゲゲの鬼太郎』は過去にTVアニメのエピソードが劇場公開を果たしているので、銀幕デビュー自体は1968年にまで遡ることになります。鬼太郎は映画歴も長いのです。この1985年公開の『ゲゲゲの鬼太郎』は東映まんがまつりという映画プログラムの併映作品の一つとして、『キャプテン翼』や『キン肉マン』といったタイトルと一緒に上映された作品でした。
ゲゲゲの鬼太郎 妖怪大戦争(1986)
第3期『ゲゲゲの鬼太郎』の劇場版第2弾。第6期でも登場した大物バックベアード率いる西洋妖怪がホウキボシ島を占拠したことをきっかけに、鬼太郎たち率いる日本の妖怪たち(と、言ってもお馴染みのメンバー)が戦いを繰り広げます。本編は40分となり、前作よりも少し長めのエピソードとなっています。前作以上にアクションシーンが多数盛り込まれており、これぞ第3期鬼太郎! と言うべきヒーローっぷりを見せてくれる一本となっています。
この年、ハレー彗星の観測が実世界でも話題になっており、この映画でも時事ネタとして取り上げられています。神秘的な結末を迎えるのも、そういった自然世界の不思議な出来事に影響を受けているのかもしれません。
ちなみに本作も、1986年春の東映まんがまつりの併映作品として上映された作品でした。同時上映は、『キャプテン翼』と『キン肉マン』、そして当時放送していたスーパー戦隊シリーズ『超新星フラッシュマン』です。
ゲゲゲの鬼太郎 最強妖怪軍団!!日本上陸‼︎(1986)
第3期『ゲゲゲの鬼太郎』の劇場版第3弾。南方妖怪、西洋妖怪と続いて、次なる敵として現れたのは中国妖怪。妖怪チー率いる中国妖怪たちが、日本の妖怪たちとの激闘を繰り広げます。敵の親玉チーは、敵の妖怪を反物にしてしまう反則級の道具を持っており、数多の日本妖怪たちが次々と布きれになっていく様は、なかなか絶望的です。本作は他の作品以上にチームプレーが肝となっている作品。いろんな妖怪が観たい! という人にオススメの一本です。本編は50分近くあり、劇場版シリーズの中でも特に見応えのある作品となっています。
本作は1986年の夏の東映まんがまつりの併映作品として上映されました。併映作品は『キャプテン翼』と『ハイスクール!奇面組』、そして『メイプルタウン物語』です。
ゲゲゲの鬼太郎 激突!! 異次元妖怪の大反乱(1986)
第3期『ゲゲゲの鬼太郎』の劇場版第4弾にして、最終作。妖怪皇帝率いる異次元妖怪たち(この異次元妖怪という謎の括りは本編を観てもよくわからない)が日本の征服を企み、鬼太郎たちがそれを防ごうとする物語です。本作では、ねずみ男にスポットが当たっており、謎の少女カロリーヌとの絆のエピソードが盛り込まれています。この2人のドラマが、鬼太郎映画屈指の泣かせ演出になっており必見です。
ちなみにこの映画でも、高僧チンポというキャラクターが登場。1985年に登場したキャラクター・妖怪チンポとは別のキャラクターなのですが、原作の水木しげる先生のセンスにより、珍妙な同名キャラクターが存在する事態になっています。さらにこの映画、まさに水木という漫画家のキャラクターが登場します。もちろんモデルは原作の水木先生です。
本作は1986年の冬の東映まんがまつりの併映作品として上映。同時上映は『ドラゴンボール』と『キン肉マン』という2大少年漫画タイトルでした。
ゲゲゲの鬼太郎 大海獣(1996)
10年という時を経て、時代は平成に突入。第4期『ゲゲゲの鬼太郎』のTVアニメ放送が開始し、第4期シリーズとしては初の劇場版が公開されました。原作の大海獣のエピソードを題材に、怪獣化してしまう鬼太郎や南方妖怪との死闘が描かれる作品です。本編は50分あり、鬼太郎の劇場版シリーズの中でも『ゲゲゲの鬼太郎 最強妖怪軍団!!日本上陸!!』に並ぶ長編作品となっています。
南方妖怪が登場するということで、今作でもモチロン、おなじみの妖怪チンポが登場。ただし1986年公開の『ゲゲゲの鬼太郎』とは違って、あくまでも敵の幹部のような立ち位置での出演となっており、妖怪アカマタに親玉のポジションを奪われてしまいます。チンポ無念!
本作は東映まんがまつりに続く、劇場上映プログラム「東映アニメフェア」の一本として上映されました。同時上映は『地獄先生ぬ〜べ〜』。妖怪物2本立てという、特定の層には嬉しい食い合わせとなっていました。
ゲゲゲの鬼太郎 おばけナイター(1997)
第4期『ゲゲゲの鬼太郎』の劇場版第2弾。生命力を吸い取るものの思い通りホームランが打てる妖怪バットを持った少年野球チームと、鬼太郎率いる妖怪チームによる野球対決が繰り広げられます。あくまでも人間の味方になりきらないスタンスの第4期鬼太郎らしい教訓めいた異色のエピソード。30分程度で短く、第4期の鬼太郎の雰囲気が掴みやすい一本です。
本作は97年春の東映アニメフェアの併映作品の一つとして上映されました。同時上映は『地獄先生ぬ〜べ〜』と、アニメ版の『花より男子』でした。
ゲゲゲの鬼太郎 妖怪特急!まぼろしの汽車!(1997)
第4期『ゲゲゲの鬼太郎』の劇場版第3弾にして最終作。西洋妖怪たちが地獄からまぼろしの汽車を盗む事件が発生し、鬼太郎たちがそれを阻止しようと奮闘する物語。西洋妖怪と言っても、今作ではバックベアードの登場はなし。また、原作エピソードの「まぼろしの汽車」を題材にしていますが、原作に登場した吸血鬼ピーはTV放送シリーズで登場済みだったので、今作には登場していません。30分もない中編作品なので、短い時間で気軽に楽しめる一本です。
本作は97年の夏の東映アニメフェアの併映作品として上映されました。同時上映は『地獄先生ぬ〜べ〜』と『キューティーハニーF』、そして『たまごっち』でした。
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劇場版 ゲゲゲの鬼太郎 日本爆裂!!(2008)
時代はさらに飛んで2000年代。TVアニメシリーズの『ゲゲゲの鬼太郎』は第5期に突入し、『ゲゲゲの鬼太郎』のアニメとしては史上初の単独長編作品が公開されました。本作は実質、第5期『ゲゲゲの鬼太郎』の最終エピソードとなっており、TVアニメシリーズで登場しきれなかった妖怪四十七士が今作で全員出演を果たしています。本作は、上映地域によって一部映像の違うご当地バージョンがある珍しい作品で、猫娘が全国都道府県の名所をいろんなコスプレで巡る様子が観られます。
第6期『ゲゲゲの鬼太郎』でも、放送開始当時に猫娘のデザインが大きく変わったことが話題になりましたが、第5期鬼太郎でも従来の猫娘と比べて大幅なデザインアレンジが加わりました。鬼太郎シリーズにおける今時の時代に合わせたデザイン変更の走りだったと言えそうです。
ちなみに同時上映として『ゲゲゲ祭りだ!!五大鬼太郎』という短編作品があり、第1期〜第5期の歴代鬼太郎や猫娘が一同に勢揃いするというレアなエピソードが用意されていました。
――以上、8作品が2020年時点でのアニメ映画『ゲゲゲの鬼太郎』の全作品です。
長らく続く人気シリーズなので、きっとまたいつか新たなアニメシリーズ、もしくは劇場版作品を作ってくれるのではないか、ということを思っています。またいつか鬼太郎に会える日を祈って、これまでの鬼太郎の活躍を何度も見返していきますよ!
(Edit&Text/ネジムラ89)
©水木プロ・フジテレビ・東映アニメーション