4月21日より公開された、小説『響け!ユーフォニアム』シリーズの一つを映画化した『リズと青い鳥』。『聲の形』の製作陣が送る、アニメとは違う絵による作品であるだけに、公開前から話題を呼んでおりました。
【リズと青い鳥】映画『聲の形』のスタッフが贈る最新作「リズと青い鳥」は2018年4月21日(土)より全国ロードショーとなりますので、お楽しみに! #リズと青い鳥 https://t.co/igdS9qyVNA pic.twitter.com/pdQ3kAkUkB
— 「リズと青い鳥」公式 (@liz_bluebird) 2017年12月15日
そして私もGW明けにようやく観に行くことができましたので、ぜひともその感想を書かせていただきたいと思います。前半は観に行こうか悩んでいる方向けにストーリーには多く触れないように、後半は観に行った人向けに綴っています。一部ネタバレ要素も含まれますためご了承ください。
きめ細かい描写が素晴らしい!
まずこの作品でもっとも素晴らしいのは、各々キャラクターの表情と、セリフの間がとても大切にされている点です。
作内では、いわゆるナレーションや語り部に相当する人物はおらず、キャラクターの心情についても自ら言葉にして語るポイントがほとんどなく、人間くささのある印象が残ります。その分、セリフの一つ一つや表情、足や手の動きが細かく描かれており、「今はこう思っているんだな」と視聴者に思わせるような配慮がされているのです。
またセリフ自体も90分の間に多く存在しているわけでもなく、3分の5くらいがBGMの世界になっているのです。個人的には、セリフが少ないため、BGMのシーンがキャラクターの心情を考える時間になったと感じています。じっくりと静かに見るための、映画で見るための作品であると言えるでしょう。
楽器の音色、劇中歌にも注目
吹奏楽を題材にしているため、当然ですがフルートとオーボエをはじめとした演奏シーンも多分に存在します。そして上記の通り描写の細かい演出がなされているため、みぞれや希美、久美子や麗奈が奏でる音にも「性格」が大きく出ているのではと思いました。音楽に詳しくない方でも演奏を聞いて「悲しい」、「強い」という印象を得られるでしょう。
なお今回コンクールで演奏する自由曲「リズと青い鳥」は、アニメ版の劇伴担当の松田彬人さんが作曲しております。この自由曲「リズと青い鳥」は童話パートという箇所でも使われているのですが、みぞれと希美が演奏するシーンとBGMでは違う人が音を奏でているため、よりみぞれと希美の演奏が「2人が吹いている」ように感じさせられるのです。
※違いについては下記のメイキング映像をご覧ください。
原作やアニメは観た方がいいのか?
結論から言うと「観なくても多分楽しめる」と思います。モチロン原作やアニメを見ている方が、より登場人物への感情移入がしやすくなるんですけれども、前述のようにキャラクターの細かい描写を直接的に感じられるように作られているので、『響け!ユーフォニアム』の世界を知らなくても大丈夫だと思います。ちょっとうやむやな言い方をしている理由は後編で。
ただ、この映画は「アニメ映画」として細かいところまでしっかり観て感じるべき作品であると思っており、ストーリーよりも演出を好む人向けだと思います。逆にストーリーに関しては、物語自体が大きく動く内容ではないため、ストーリーを重視している方には退屈に感じるかもしれません。
90分間、閉鎖された映画館という空間でじっくりと観たい方は、絶対に観て欲しいと言いたいです!
ここから先は後半です。観た方向けになるのでお気をつけください。