差しのべられた救いの手
もう一点、絵里がμ'sを認めなかった理由に、自身が幼少期バレーの才能を発揮していたことがあげられます。
自分のダンスがハイレベルであることを自覚している絵里。
だからこそ、素人の集まりであるμ'sを認めることは、自分の才能を否定しているようで、プライドの高い彼女にとって、それは絶対に許せなかったのでしょう。
しかし、昔の自分のように楽しそうな顔をしてμ'sの活動を続ける穂乃果を見て、かつて自身も楽しんでバレーの練習に励んでいたことを思い出すと同時に、挫折した経験も脳裏に蘇り、その葛藤に彼女自身苦しんでいたのかもしれません。
海未の提案によって、μ'sのコーチをするようになったことや、アリサの「やりたいことなの?」という発言が絵里の長年押し殺してきた、ダンスへの情熱を呼び起こします。
ですが、生徒会長という立場と、μ'sを軽んじる態度を今まで取っていたことが情熱に対し背反を起こし、その感情は希の前で爆発してしまいます。
穂乃果が「μ'sに入ってください」と手を差しのべたのはそんな時でした。
穂乃果が差しのべた手は、いつも自分のことは二の次にして、常に人のことを考えて疲れ果てていた絵里にとって、まさに救いの手だったのでしょう。
そして、彼女はμ'sに入ったことにより、生徒会長という立場や幼少期のトラウマから解放され、自分のありのままの姿で、穂乃果たちとともにμ'sに名を残すことになったのです。
「きっと青春が聞こえる」の2番サビの意味
ここでは、前述した絵里の心情分析をふまえ、「きっと青春が聞こえる」が、穂乃果たちの絵里に対しての歓迎の歌であることを説明していきます。
まず、「きっと青春が聞こえる」の2番サビの歌詞パートを見てみましょう。
◆「きっと青春が聞こえる」2番サビ
どこまでも伸びてゆく誇らしさ
やっと青春の始まり この快感が好きだよ
絵里「本当に君がいて」
絵里以外の8人(素敵さいつも)
本当の君のため
「きっと青春が聞こえる」作詞:畑亜貴 作曲/編曲:高田暁 歌手:μ's 販売元:ランティス
歌詞カードより引用
「本当に君がいて」のパートは絵里一人で歌っているのに対して、(素敵さいつも)と絵里以外の8人が、絵里に対してアンサーしています。
また、サビの出だしには、「やっと青春の始まり」というセンテンスがあります。
これは、絵里が上で書いたような、束縛から解放され、μ'sに入ったことにより、自分らしく仲間と手を取り合いながら夢に向かって歩んでいこう、というメッセージが込められているのではないでしょうか。
その説を決定づけるのが、最後の「本当の君のため」という言葉です。
上で語った絵里の心情を考えると、穂乃果たちが「絵里に今まで一人で頑張ったね。これからは私たち(仲間)がそばにいるから、ありのままの素敵な絵里ちゃんでいてね」
という歓迎のメッセージが込められていると感じます。
このように、「きっと青春が聞こえる」の2番の歌詞は穂乃果たちが絵里を仲間として歓迎する9人の絆を歌詞によって表現した、とても感動的なものなのです。
μ'sの歌詞には「きっと青春が聞こえる」以外にも深い意味が隠されたモノがたくさんあります。
みなさんもお時間のある時、μ'sの歌詞を深読みしてみてはいかがでしょうか。
(Edit&Text/佐倉璃紗)
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