『魔法少女まどか☆マギカ』(略、まどマギ)において、悲しみを背負ったキャラの筆頭候補生とされる美樹さやか。失恋、魔女化、ソウルジェム投棄事件、葬式など『まどマギ』での数々の悲劇を体験した彼女に、同情する方も多いことでしょう。
今回は、様々な悲しみを背負う美樹さやかの不幸を表すセリフを3つピックアップ。そのセリフが放たれたシチュエーションなどから彼女の心情を読み解いていきます。
美樹さやかの崩壊の始まり:「だったら、あんたが戦ってよ」
この言葉は、魔法少女になるか否かでウジウジしているまどかに対して放たれた、冷たい言葉の槍ですね。
自分は魔法少女として「死んだ身」で戦っているのに対して、まどかは魔法少女になっておらず、人間として生きている。二人は友達であっても、存在が既に違った場所にあったのです。さやかは戦場、まどかは日常と居る場所が違う中、安全な日常で過ごしているまどかから戦いに関して諭される、それはさやかからすればキレる切っ掛けに他ならないのです。
さやかの苦しみはこの時点でピークに達している為、友達であるまどかの心配でさえ、さやかに対しては毒にしかならない。毒を吐かれ激昂し、まどかをキツく突き放した後、さやかは酷く後悔しているので、更に精神悪化に圧がかかってしまいます。
しかし彼女も中学生なので、精神がボロボロになっている時であれば、友達に対して棘のある言葉を発してしまうのもしかないのかもしれません。
不幸の根源であろう言葉:「見返りなんていらない、私だけは絶対に自分の為に魔法なんか使ったりしない」
このセリフは、美樹さやかが他の魔法少女とは違い、自分は私利私欲の為に魔法を使わないと告げているのですが、その思考が不幸の元と考えられます。
恋していた恭介の腕を治せるようにと願って、彼を再びヴァイオリンを弾けるようにすることはできました。しかし、魔法少女化した美樹さやかは平常心を保てているか? といえばNOでしたね。壊れる為のトリガーを引かれて、魔女化するまで終始ご乱心。
さやかは一度、魔法少女になる前に立ち止まってよく物事を考えてみるべきだったのでしょう、あの歳だと難しいかもしれませんが、盲目の恋ほど危険な崖は無いです。
安堵と呪いの言葉:「あたしって、ほんとバカ」
『魔法少女まどか☆マギカ』の中でも屈指の名言ですね。
単純な言葉でありながらも美樹さやかの精神の深みを感じられる一言です。悲しみに暮れつつも、薄ら笑いをしているのも印象的でしたね。
この言葉には、今までの自分の考えていたこと。絶対と思っていたことが全て崩れ落ちていく瞬間。杏子と最後に話せたこと。そして、杏子に魔女化した自分を倒させる面倒を押し付けたという、様々な悲しみが入り乱れています。杏子に自分の間違いを告げられたこと。それが、さやかにとって魔女化する前の唯一の救いだったのです。
——美樹さやかが不幸にならない道があるとしたら、魔法少女の存在を知らずにいることしかないでしょう。彼女は中学生なので、本当に大事なものが見えず、間違いを犯してしまう。むしろ、中学生で他人の為に命を投げ出すような覚悟を持っているのは、さやかの強さの証拠です。
失恋はダメージこそ大きいですが、叛逆の物語では心残りはあれど、恭介に対して諦めをつけられています。なので、普通に恭介に恋して失恋してといった過程を辿っていくのは何も問題無かった……。
美樹さやかの不幸。それは魔法少女になれることを知ってしまった……ただそれだけではないでしょうか?
(Edit&Text/フリーマン田中)
「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語」公式サイト
©Magica Quartet / Aniplex・Madoka Movie Project Rebellion