2020年夏に放送を開始したアニメ『魔王学院の不適合者 〜史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う〜』。
<画像引用元:https://maohgakuin.com/ より引用掲載 ©2019 秋/KADOKAWA/Demon King Academy>
タイトルからして、典型的な「なろう作品」で面白くなさそうに思えますよね。
「どうせ最強の主人公がいて、周りにちやほやされる物語」と思っているでしょう。
まさにその通りです。なにも間違っていません。『魔王学院の不適合者』は最強の主人公が無双し、ヒロインたちにちやほやされる物語です。
しかし、問題なのは、この物語ただのテンプレ作品ではなく、テンプレの癖になぜか面白い作品なのです。
今回は、そんな全部どこかでみた展開のハズなのに、なぜか面白いアニメ『魔王学院の不適合者』を紹介していきます。
これほど強い主人公、他におる? 最強系主人公を描く『魔王学院の不適合者』とは?
<画像引用元:https://maohgakuin.com/story/?id=3 より引用掲載 ©2019 秋/KADOKAWA/Demon King Academy>
『魔王学院の不適合者』は、『小説家になろう』によくありそうな転生モノです。
今までアニメ化された転生モノと異なるポイントは、現代人が異世界に転生したのではなく、過去に存在した魔王が同じ世界の2000年後に転生したという部分になります。
現地人相手に無双する点は相変わらずなのですが、現代の知識を使って無双する転生モノ、召喚モノとは違い、この作品では、2000年後には受け継がれていないロストマジックや、強大な魔王パワーを使って無双する点が特徴と言えるでしょう。
転生モノの中でも現代知識の入り込まない純粋ファンタジーと言えるかもしれませんね。
<画像引用元:https://maohgakuin.com/story/?id=4 より引用掲載 ©2019 秋/KADOKAWA/Demon King Academy>
もう一つの特徴は、他の登場キャラクターと隔絶した強さを発揮する主人公にあります。
主人公・アノス・ヴォルディゴードの強さは常軌を逸しており「これほど現地人とレベルの違う主人公がいたかぁ」と歴代最強系主人公を思い返してしまうほど。
その強さは最強系主人公と名高い『魔法科高校の劣等生』の主人公・司波達也(以下、達也)や、『オーバーロード』の主人公、アインズ・ウール・ゴウン(以下、アインズ様)と同レベル。
さらにアノスの魔法は、用途の限定された達也の魔法とは異なり、攻撃防御転移蘇生となんでもできてしまう万能具合。
その魔法の力は出し惜しみをしないアインズ様に匹敵、他者を圧倒し、何事にも怯まない精神力は達也に匹敵します。
まさにアノスは、達也とアインズ様のいいところを取ってきましたって感じの主人公です。
しかも、これだけ魔法が使えるのに、実は物理方面も最強クラスです。
魔法で攻略できなければ物理で、物理で攻略できなければ魔法でと、アノスは弱点のない最強キャラクターと言えるでしょう。少々妄想を爆発させすぎな部分はありますが、ぼくの考えた最強の主人公ここに極まれりって感じですね。
最強系主人公が好きな方にはオススメの作品となっていますので、ぜひ視聴してみてください。
中二病展開満載!? テンプレ展開ばかりなのになぜ笑えるのか?
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『魔王学院の不適合者』では、こっちが恥ずかしくなるほど登場人物がイキり散らかすことがあります。
通常なら、あまりの痛々しさに観ていられなくなるのですが、この作品ではなぜか不快さが少なく笑える場面が多いです。
特にアノスのイキりは、分不相応な強がりや軽率な発言ではなく、実力に裏付けされた言葉であり、自分を信じて疑ってないポイントが不快さを感じさせません。
簡単に言ってしまえば、イキっている主人公が自信満々過ぎてなぜか納得してしまうのです。
『魔王学院の不適合者』を視聴する際は、キャラクター同士のイキり合戦に注目してみてはいかがでしょうか。
<画像引用元:https://maohgakuin.com/story/?id=3 より引用掲載 ©2019 秋/KADOKAWA/Demon King Academy>
イキリ合戦もなろう系アニメのテンプレと言えるのですが、『魔王学院の不適合者』のテンプレ展開はそれだけではありません。他にも多くの場面で「これよくあるテンプレ展開だなぁ」と思わされることがあります。
テンプレは見飽きたと思っている視聴者も多いでしょう。しかし、この作品では、「おっ! テンプレ展開来たな」と常識に囚われてしまったら負けなのです。うっかり笑ってしまうことになるでしょう。
では、なぜ『魔王学院の不適合者』のテンプレ展開が面白く感じてしまうのかと言いますと、それは、テンプレの枠の中にありながら、やり過ぎる点にあります。
例えば、物語の序盤、主人公に難癖を付けて戦いを挑んでくるキャラクターっていますよね。
テンプレでは、このキャラクターを主人公が余裕で倒し、周囲から認められたり、称賛されたりする展開がお約束と言えるでしょう。
しかし、この作品では難癖を付けてきた噛ませキャラクターをアノスは、殺しては蘇生し殺しては蘇生して心を折るという恐ろしい方法で撃退します。
まさに、やり過ぎですよね。これには、他のキャラクターだけではなく視聴者もドン引き!
また、アノスがヒロインとなる少女に喧嘩を売られた時も、ヒロインの居る城ごと投げ飛ばし、彼女が苦心して作り出した最上級魔法を下級魔法で弾き返すなど、プライドをズタズタにしていきます。
『魔王学院の不適合者』の展開はテンプレという常識を大きく逸脱しているので、視聴者としては「いやいや、それやり過ぎ、やり過ぎ」とツッコミを入れたくなってしまうのです。
むしろ、ツッコミを入れることが癖になってきます。また、ツッコミを入れながら観るのが非常に面白いと感じてくるでしょう。
これが『魔王学院の不適合者』がテンプレ展開ばかりでありながら、笑えてくる真相になります。
テンプレばかりの展開でありながら、そのテンプレを突き抜けるような過剰な展開がこの作品の面白さと言えるでしょう。
斬新な設定が盛り沢山! 一時期話題になった心臓の鼓動で敵を倒すアニメはこれ!!
<画像引用元:https://maohgakuin.com/story/?id=1 より引用掲載 ©2019 秋/KADOKAWA/Demon King Academy>
数年前、心臓の鼓動で敵を倒す主人公が現れた、と話題になったことを覚えている方はいますか。
無双系作品の中には、アニメ化される前から有名になる1コマを生むことがあります。
『賢者の孫』主人公、シン=ウォルフォードの「またオレ何かやっちゃいました?」や、『物理さんで無双してたらモテモテになりました』主人公、天草ラクトの「黙れ(ドン)」などネットで見かけたことがあるのではないでしょうか。
当時、すでになろう系主人公のパワーインフレは始まっており、主人公を強く見せるためにやりたい放題でした。その中でも特に異彩を放っていたのが、この心臓の鼓動で敵を倒すシーンです。
初めて、その話を聞いた時は震えましたね。「心臓の鼓動で敵を倒すのはヤバすぎ、なろう系主人公の強さも来るところまで来たな」って感じでした。
「いくらなんでも強さ盛りすぎでは?」と思ってしまいますが、この過剰な盛り具合が視聴者の予想を上回り『魔王学院の不適合者』の面白さの一つとなっていると言えるでしょう。
また、他にもヤバすぎる設定が『魔王学院の不適合者』にはあります。
それが、アノスの年齢です。
この作品は魔王学院を舞台にした物語なので、少なくとも学校に通う年齢のキャラクターが登場すると予想しますよね。学校を舞台にした他の作品も大体13~18歳くらいを主人公の年齢としているでしょう。しかし、この作品は違います。なんとこの作品の主人公アノスくんは生後1ヶ月なのです。
聴いただけでは、意味がわからないでしょう。筆者も始めは意味がわかりませんでした。アノスのビジュアルは15歳を超えおり、どう考えても生後1ヶ月はおかしいのです。
実はこれにも魔王パワーが関係しています。
アノスは驚異の魔王パワーにより産まれた瞬間に自己紹介を始め、数分後には成長の魔法を使い少年に、そして魔王学園に入学するためさらに成長の魔法を使い青年に成長したのです。
この設定を理解した時、驚くと同時にこんな方法があったのかと感心しました。
転生作品で難しいのは、産まれてから物語が始まるまでをどう扱うかというポイントです。
・いつ主人公は能力に目覚めたのか。
・最強の能力を持った主人公に周囲はどう思ったのか。
・これほどの能力を持った人間が、なぜ物語が始まるまでなんの注目もされていないのか。
・物語が始まって読者に世界観を説明しないといけないが、十数年生きている主人公が改めて説明するのは白々しいのではないか。
・なぜ主人公は物語が始まる年齢まで雌伏の時を過ごしたのか。
・過去と現在の矛盾が生まれていないか。
『魔王学院の不適合者』のこの設定は、これらの面倒くさい設定を全て省略する天才すぎる設定と言えるのではないでしょうか。
斬新過ぎてここ数年で一番ビックリした設定です。
このように『魔王学院の不適合者』にはビックリするような斬新な設定が他にもあります。興味を持った方はぜひ、視聴してみてください。
――以上が、最強の主人公を描く物語『魔王学院の不適合者』の紹介になります。
主人公の最強度合いや物語の面白い設定を知っていただけたでしょうか。
「昔いた魔王が現代に転生して子孫相手に大人気なく無双する物語」
この物語を観る上で知っておいてほしいことはこれだけです。理解することが少なく非常に物語に入りやすい作品だと言えるでしょう。
この作品では、複雑な物語やストーリーを期待するのではなく、主人公が無双する様を気持ちよく観ることや、視聴者の想像を越えてやりすぎる主人公を観て笑うのがオススメとなっています。
無双系主人公が好きな方はチェックしてみてください。
(Edit&Text/天乃ひる)
©2019 秋/KADOKAWA/Demon King Academy