2020年秋アニメとして放送を開始した『魔王城でおやすみ』。
<画像引用元:https://maoujo-anime.com/ より引用掲載 Ⓒ熊之股鍵次・小学館/魔王城睡眠促進委員会>
キービジュアル的には萌えアニメに分類されそうですよね。ですが、ただの萌えアニメではありません。笑って癒されるギャグアニメでもあるのです。
そんな『魔王城でおやすみ』はRPGによくある姫が魔王に攫われるシーンから物語がスタートします。しかし、この作品は姫を救う勇者視点ではなく「勇者が助けに来るまで姫はどうしているのか?」という囚われの姫視点で描かれる一風変わった物語です。
今回は、そんな囚われの姫が織り成す笑って癒される、この作品の魅力をお伝えしていきます。
◆最大の魅力は姫様!! 魔族よりも魔族っぽい
<画像引用元:https://maoujo-anime.com/story/#/01 より引用掲載 Ⓒ熊之股鍵次・小学館/魔王城睡眠促進委員会>
この作品の魅力は大きくわけて、ギャグ成分と癒し成分があるのですが、その両方を兼ね揃えているのが主人公であるスヤリス姫です。
まず癒し成分として、スヤリス姫はとっても可愛らしいビジュアルをしています。年頃の少女と言うよりは、数年ばかり幼く、いわゆるロリっぽいビジュアルですね。そんな少女が気持ち良さそうに寝ている様子は癒し効果バツグン。ついつい見惚れてしまうことも。それに加え眠そうな目、時折見せるドヤ顔などスヤリス姫は、多くの愛らしい魅力溢れるキャラとなっています。
9割以上のストーリーで、このスヤリス姫が中心になるので、まず姫を好きにならなければ始まりません。姫の外見が気に入れば、とりあえずは視聴決定してもいいぐらいですね。逆にイマイチだなと思えば、この作品を面白いと感じないかもしれません。
そして、この作品最大の特徴であり魅力でもあるのは、スヤリス姫の滅茶苦茶な性格です。「どこでその残虐性を身に付けたの?」と疑問に思ってしまうほど、姫に似つかわしくない恐ろしい性格をしています。
通常囚われの姫と言えば、どんな姫を思い浮かべますか。
勇者の助けをひたすら待つか弱い姫でしょうか。恐怖のあまり泣き続ける姫でしょうか。どちらにしろ、囚われの姫のイメージと言えば、勇者が来るまで無力で何もできなそうですよね。
<画像引用元:https://maoujo-anime.com/story/#/03 より引用掲載 Ⓒ熊之股鍵次・小学館/魔王城睡眠促進委員会>
しかし、この作品の主人公・スヤリス姫はそんなヤワな性格ではありません。囚われたはずの魔王城でやりたい放題していきます。この作品の魅力は、そんな豪胆でアグレッシブ過ぎるスヤリス姫が織り成すギャグ展開です。
その性格から多くの視聴者に「魔族よりも魔族っぽい」「真の魔族は姫様なのでは」とまで言われてしまうほど。略奪、破壊、暴行、詐欺なんでもござれ。時にはサイコパス過ぎる凶行にでることもあります。
「囚われの姫なのに自由過ぎる!!」とビックリしてしまいますよね。これでは破壊工作のため送り込まれたエージェント並みの活動ですよ。
残虐非道を地で行くスヤリス姫ですが、そこがギャグアニメとして非常に面白いのです。視聴者の常識を軽々と上回ってくるスヤリス姫の行動力、思いついてもやらないであろう行動の数々に笑いがこみ上げてきてしまいます。
「まさかまさか本当にやるのか?」という謎のドキドキを巻き起こしてくれるスヤリス姫の性格がこの作品で一番の魅力だと言えるでしょう。
◆被害者の会結成 おバカな魔族たちがこの作品の魅力
<画像引用元:https://maoujo-anime.com/story/#/01 より引用掲載 Ⓒ熊之股鍵次・小学館/魔王城睡眠促進委員会>
スヤリス姫に蹂躙され続けている魔族たち。基本ただのやられ役になっている魔族たちも、実は一般的なイメージ通りの悪い魔族ではありません。
この作品で登場する魔族は、もっとおバカで無邪気なのです。姫を攫ったのですから、もう少し邪気があってもいいものと思うのですが、なんとそんな素振りは全く見せません。ビジュアル自体、恐怖の魔族と言うよりも、ぬいぐるみにいそうな可愛らしい姿をしています。
まぁハッキリ言ってこの作品の魔族は超優しいです。なぜ姫を攫うという行動に出たのかよくわからないくらい優しいです。
牢獄を脱獄して魔王城を歩き回っている姫を見て魔族たちは「出てきちゃダメだろ」で済ませてしまいます。しかも、一部の魔族たちは、スヤリス姫の手駒になってしまっているほど。姫の「あれしてくれ」「これしてくれ」という要望にダメダメ言いつつもやってあげる優しさも持っています。これはもう優しいよりも甘いレベルかもしれませんね。
しかも、魔族たちは少しバカなので、簡単に騙されてしまいます。スヤリス姫はそんな魔族に情け容赦ないので、背後から襲いかかる、騙し討ち、略奪行為、などの悪行の数々。ここまでされると魔族に取って姫とエンカウトすることはある意味ホラー体験ですよね。
姫にやりたい放題されている魔族ですが、なんと反撃することはありません。多くの場合、軽い注意に止めます。その姿はまるで、子供のイタズラを容認する大人そのものです。他所の子相手に強く注意できない感じでしょうか。そんな魔族たちが姫に翻弄される姿は、微笑ましくもあり笑えるこの作品の魅力となっています。
<画像引用元:https://maoujo-anime.com/story/#/03 より引用掲載 Ⓒ熊之股鍵次・小学館/魔王城睡眠促進委員会>
また、微笑ましいのは魔族だけではなく、姫を攫ったはずの魔王も謎の優しさを見せます。
魔王城で繰り広げる姫の暴挙に魔王自身も問い詰めようとするのですが……。姫はいつも満足そうに寝ています。魔王はそんな姫を起こすのは忍びないと、問い詰めるのは後にしてしまうのです。ここまで姫に甘いと、もうなぜ攫ったのかわからなくなってしまいますよね。
この作品では、甘い魔族と奔放な姫が繰り広げるギャグ展開が魅力になっています。ボケ役でありツッコミ役でもあり、オチ要因である忙しい魔族はこの作品でかかせない魅力あるキャラたちとなっているので、ぜひ視聴して確かめてください。
◆RPG要素満載 親しみやすいストーリーが魅力
<画像引用元:https://maoujo-anime.com/story/#/04 より引用掲載 Ⓒ熊之股鍵次・小学館/魔王城睡眠促進委員会>
この作品の親しみやすい点の一つがRPG要素をふんだんに使用していることです。RPGをプレイしたことのある方なら「あるある」「わかる」などの共感を持てる要素がたくさんあります。
例えば、この作品は安眠するために、クエスト形式で始まることが多いです。姫の目的をクエストとし、魔王城でそのクエストを完了するため行動を開始していきます。物語の終わりもクエスト完了で締めくくられるので、本当にRPGでクエストを受けたような感覚を受けてしまいます。
<画像引用元:https://maoujo-anime.com/story/#/04 より引用掲載 Ⓒ熊之股鍵次・小学館/魔王城睡眠促進委員会>
他にも、枕やシーツがRPGの武器や防具の様にレベルアップしていきます。魔族の素材を使って……。魔族から奪った道具、宝物殿から盗んだアイテムで新しい道具を作るところなどまさにRPGです。まぁ、作るものは全部安眠道具なのですが……。時折映り込む姫の部屋が徐々にグレードアップされているところなどは、クスッっときてしまいます。
また、好き放題する姫も時には危険な魔王城で死んでしまうことも。そんな時でも簡単に蘇生できる点などRPG感満載です。
姫復活の時に囁かれる「おぉ姫よ、死んでしまうとは情けない」というセリフは有名なRPG『ドラゴンクエスト』で登場するセリフのパロディネタ。しかも、死亡した後はお墓が出現、蘇生時は棺桶から復活する徹底ぶり。
このようにRPGに親しんだ方なら、楽しめる舞台装置やギャグ展開が多く登場します。RPGネタが好きな方は一度『魔王城でおやすみ』を観てみてはいかがでしょうか。
――今季はたくさん面白いアニメがありますが、気軽に観ることのできるギャグ作品は意外と少ないです。そこで、笑って癒される『魔王城でおやすみ』がオススメとなっています。
派手な展開などもないので、寝る前に観る作品として丁度いいです。就寝前に少し笑い、癒されてから布団に入るのはいかがでしょうか。
(Edit&Text/天乃ひる)
Ⓒ熊之股鍵次・小学館/魔王城睡眠促進委員会