現在放送中の2017年秋アニメは、本当にクオリティーの高いモノばかだ!
巨匠、赤塚不二夫先生の不滅の名作を原作とし、前期で圧倒的な人気を博した『おそ松さん』、『物語』シリーズの西尾維新先生×『荒川アンダー ザ ブリッジ』の中村光先生という強力タッグによる『十二大戦』、フルCGで制作され、「美麗」と評されるほどの美しいアニメーションが話題の『宝石の国』など……、正直、どの作品も固有の魅力を有していて、いくら秋の夜長と言えど私は全然時間が足りていない。
お陰で読みたい小説、観たいDVD、やりたいゲームがどんどんと積まれていくか、もしくは「どうしても時間がないから」と購入できずじまいでいるわけだが、頭脳も観た目も分相応の私では解決策を見つけられるはずもないわけで……。
ならば、と。ここはあえて時間をさらに削ってみてはどうだろうかと、自暴自棄になった私が思いついたのが、昔感動した映画をまた観ることだった。
ありがたいことにここを訪れてくれた皆さんにも、ぜひその貴重な時間を消費してもらうべく、今回は私が特にオススメだと思う、アニメ映画を3本ご紹介! 折角なので、未視聴であることを願い、内容は5年以上前の作品を厳選してみた。
死んでから始まるぼくの物語 『Colorful カラフル』
死んで魂だけになったはずの“ぼく”が、“小林真”という中学生として人生をやり直すチャンスが与えられることに!? 天使、プラプラに導かれるまま、新しく始まった小林少年の目から見えた、いろんな人の人生の在り方。教育、友情、恋愛……、どれも人生を彩る一つひとつにしか過ぎない。だが、そのすべたが大切で――。
観る人の多くに新境地を開けさせてくれた、感動の長編アニメ映画だ。
森絵都先生の小説『カラフル』を原作に、2010年に公開された作品で、制作会社は『ラブライブ!』シリーズも手がけているサンライズ。
公式のキャッチフレーズ「ただいま、さよならした世界」も、何か惹き込まれる魅力を含んでいる本作品。
一度人生がリセットされた主人公は、常に目の前の出来事を客観的に捉えているからこそ、「自分の」人生をまっすぐ歩んでいては気付くことができない他人の感情の変化や異変な行動を垣間見ることになる。
そんな主人公の「ぼく」の目線は、きっとあなたに新しい気づきを与えてくれることだろう。
誰がために斬るのか『ストレンヂア -無皇刃譚- 』
人を斬ることが、主人の指示に従うことが全てだった武士が、それまでの自分の行動に疑問を持つようになる。そうして浪人となった“名無し”が、少年、仔太郎との出会いをきっかけに再び戦さ場へと導かれていくアクション時代劇。
本映画は、松竹より2007年に公開された。
作中の多くを戦闘シーンに割き、その上で人の心の変化もしっかり描ていてる本作品は、私がこれまで観た中で最高級に満足度の高い作品の一つだ。
フィクション作品なのでもちろん実際の歴史とは違うわけだが、異国の人に対する閉鎖的な日本の風景や今日を生きるために必死にもがく人の心境も盛り込まれていて、現代の私たちが見ても、考えさせられてしまう作品である。
声優陣には、TOKIOの長瀬智也さんほか、ベテラン声優の山寺宏一さんなど豪華キャストが並んでいるので、こちらの顔ぶれも必見だ!
愛と生と死を描いた『スカイ・クロラ』
平和な時代に生まれた、ショーとしての空の戦争。そこで死ぬまで舞い続ける子供たち、“キルドレ”の一人が、主人公 カンナミ・ユーイチだった。基地に配属される前の記憶がないユーイチは、初めて会ったはずの女性司令官 クサナギ・スイトに不思議と惹かれ、二人の距離は次第に縮まっていくが……。
「殺してくれる? さもないと、私たち、永遠にこのままだよ」
そのスイトの言葉とともに徐々に動き出すユーイチの世界、そして過去の記憶が蘇る。
『攻殻機動隊』など数々のヒット作で知られる押井守監督が、
「若者に伝えたいことがある」
と世に放った2008年の話題作がこの『スカイ・クロラ』である。
私は十代の頃にこの作品と出会い、知人に勧められるがままに観た。
そして正直に言うと、当時、本作品の意図するところが分からなかった。分からないのが恥ずかしくて、2度3度と繰り返し観たのだが、それでもはっきりとした感想を抱くことができなかった。
時を経た今も、うまく説明することができなくて大変申し訳ないのだが、作中で描かれているユーイチらキルドレらが送るとても似通った日々の連続の中に、確かに違う何かがあって、その小さな何かをしっかりと見てほしいと、押井監督は同じく淡々と日々を過ごしがちな私たちに言いたかったのではないだろうか。
実はこの答えも作品を改めて視聴し、さらには公式のHPでの押井監督のコメントを参考しつつ出したものなので、私一人の力で辿り着けたものではない。
自分の至らなさを色々と露呈して、恥ずかしいやら情けないやら一人でうずくまりつつ、それでも紹介させていただいたのは、一度この作品のもつ、独特な世界観に触れてほしかったから。
一度見ておいて決して損はさせない、他の作品と一線を画す良作品である。
<PR>
お金や時間では変えられない、何かを求めて
紹介した3作品を全て観た場合、必要な時間はおよそ250分。
もし見ていない秋アニメ作品があれば最新話に追いつくことができるかもしれないし、積んである小説を一作品読み終えることも可能かもしれない。
また、いづれも少し古めの作品のため、もしかするとどこか物足りなさを感じることもあるかもしれない。
ただ、少なくとも私は失った時間以上の満足度を得られた。
私の主観で選んだ作品で恐縮ではあるが、みなさんにも賛同していただたら幸いである。
(Edit&Text/哲太)
Colorful カラフル|サンライズ公式サイト
©2010 森絵都/「カラフル」製作委員会
映画『ストレンヂア』公式サイト
© BONES/ストレンヂア製作委員会2007
押井守監督最新作「スカイ・クロラ The Sky Crawlers」公式サイト。
©森 博嗣/「スカイ・クロラ」製作委員会