◆なぜまた最初からやる必要がある?いま放送中のシリーズが抱えた課題は?
既に存在するアニメーションをわざわざ新しく始めるのはなぜ? と思う人もいるかもしれませんが、実はいま放送中のTVアニメシリーズ『ワンピース』はいくつかの課題を抱えていました。それは新規のファンが1話から観るにはハードルが高すぎるという理由があります。
TVアニメシリーズが第1000話に到達したニュースも記憶に新しいですが、まずそもそも根本的にエピソードの量が膨大すぎます。25年分のアニメを追っていくのは時間的にも負担が大きく気軽に観始められるようなスケールではありません。
さらにアニメーションのクオリティーに関しても25年前と現在では制作体制であったり、技術的にも大きく違いがあります。
現在のような撮影効果が加わったアニメーションに見慣れている人には、25年前のアニメーションを観たら“古い”と感じてしまうのは否めないうえに、キャラクターデザインの担当者も変化していて、特に原作漫画を意識した“ワノ国編”にい見慣れている人には、初期のルフィたちのビジュアルにも違和感はあるでしょう。
そして何より初期エピソードに顕著ですが、いま放送中のシリーズは多くの原作改変が存在します。
そもそも原作漫画の第1話から始まっていないなど構成が変わっていたり、サンジの恩人であるゼフの足を失う理由が変わるなどそもそもの設定が変えられていたり、原作漫画にTVアニメシリーズが追いつかないためなのか、話の途中で突然オリジナルエピソードが加わったりと当時の作品の扱いや状況がノイズとして働きかねない状態です。
いま放送中のTVアニメシリーズもそのハードルの高さを緩和するためなのか、TVスペシャル作品として『ONE PIECE エピソードオブ東の海〜ルフィと4人の仲間の大冒険!!〜』(2017)を始めとして度々過去のエピソードを新たな映像で発表していたのですが、尺の都合でどうしても内容が駆け足になっていたりと純度が高い体験とはいえない悩ましい状態でした。
こうして新規のファンが入りづらい状況を解決するには、新たなアニメシリーズを始める必要があったのではないでしょうか。