◆実は貴重な回?総集編シリーズ
「振り返る」と言っても実はこの総集編シリーズには、他の放送回とは大きな違いがあるため注意が必要な放送回といえます。
実は「バルトの秘密の部屋」含め、総集編回は話数でのナンバリングがされていない欠番回となっており、映像配信サービスでは軒並みアーカイブがされていません。そのためか、前回の1022話「悔いなし ルフィと親分師弟の絆」の映像配信サービスでの配信では本来あるはずの予告編の部分が割愛されています。
総集編はあくまでも週間ベースでアニメを追っている人向けの放送回ということなのでしょうか。すでにこれまでのエピソードがアーカイブされている映像配信サービスでは不要というのも一理はあるものの、30分弱でおでんの物語を追える編集版としての有用性や、新録のナレーションがあると考えるとアーカイブが残らないのは、それはそれでもったいなくも感じます。
FODやTVerといった見逃し配信を実施しているサービスでは、『大徹底解剖!光月おでん伝説』を一週間限定で配信を実施しているので、ぜひ次回の放送までにおさえておくのにオススメです。
◆なぜ今?おでんの物語の振り返りをするの?
希少性で言えば、当時はまだ未登場だったヤマトと振り返るという点でも、面白い試みになっている放送回といえます。おでんを慕うヤマト自身から、おでんの魅力をアニメ1話分でじっくり語ってもらえるという意味では、おでん好きだけでなくヤマト好きにも楽しめる内容と言ってよいでしょう。
また、話題になったTVアニメの1000話記念放送回や原作1000話をアニメ化した1015話などから、気になってまたTVアニメシリーズを見始めたという人たちにとっても、それ以前の放送回を追えるという意味では有意味です。
ただ、どうしても「なんで今おでんの話を振り返るの?」という疑問が湧いてくるのは確か。
本編では氷オニin鬼ゴッコのまっただ中で、ヒョウじいが死を覚悟するという続きが気になるとてもいいところで、本編を中断しての今回の総集編の放送ということでガッカリした視聴者も少なくないでしょう。
実はこの後のTVアニメでの展開が原作漫画通りであれば、このタイミングで「おでんってどんな存在だっけ」ということを振り返る意味が増す展開がやってくるので、「なぜ今」の答えは今後の展開を見据えてのことだろうと想像ができたりします。
ただ、それであればロジャーとのエピソードと交錯する1015話の前のタイミングでも良かったともいえるし、何より5月に総集編回を放送したばかりですぐにまた総集編回が来てしまったのは驚きです。鬼ヶ島での戦いに入って以降はハイカロリーな演出が盛りだくさんとなっている分、制作に時間がかかっている証拠なのかもしれません。
原作が連載されている「週刊少年ジャンプ」では、原作者の尾田栄一郎先生の1ヶ月の休載が始まり、その代わりに直近の展開を振り返る内容や、未公開設定画を収録した付録が本誌に付いたり、オンライン上で期間限定で原作無料公開キャンペーンがスタートしました。そんな原作での動きのタイミングと重なったこともあり、なおのこと今回の総集編も通常回を補填するための“ファンサービス味”が増してきます。
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クオリティを維持しながら、週一のTVアニメの放送回を維持することの大変さを想像すると制作陣に無理のないよう、2ヶ月に一度ペースで総集編が来てしまうのも覚悟をした方が良いのかもしれません。
そして、次回はちゃんと本編。1023話「準備OK!チョパファージ霧砲(ネブライザー)」が放送されます。一週間、総集編を挟んだ分の派手な体験が用意されていることに期待です。
〈文/ネジムラ89〉
《ネジムラ89》
アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは『読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレター』を配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi
(C)尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション