◆「ヤマトが食べた悪魔の実」が判明!イヌイヌの実だった!
続いて描かれたのは、ヤマトとカイドウの戦い。前回ついにヤマトの悪魔の実の能力がお披露目されたわけですが、その姿からは直感的にどんな能力者なのかは、わからないままでした。しかしカイドウの口から、その悪魔の実の正体が明かされます。
ヤマトの食べた悪魔の実は、イヌイヌの実の幻獣種モデル“大口真神(オオクチノマガミ)”。ワノ国の守り神とされる幻獣に変身できる悪魔の実ということで、カイドウ自身はおでんを名乗るヤマトに食べられてしまうのは、不本意だったようです。カイドウのために守り神となるのか、ワノ国の民のために守り神となるのか、二者の能力と思想がぶつかり合います。
ちなみに聞きなれない人も居るかもしれませんが、大口真神とは日本の伝承に残る生き物であり、ニホンオオカミが神格化されたもの。日本書紀や万葉集などでもその名を見つけることができます。作物を害獣から守ってくれる存在であったことなどから神格化されていったようですが、そういった存在をヤマトが担うというのはなかなかに熱い展開となっています。
◆ロビンの思い出がよみがえる!意外な再登場キャラクター
後半は舞台を移し、久しぶりにロビンとブルックの戦いの様子が描かれました。サンジから引き継ぐ形で飛び六胞のブラックマリアと対峙していたはずの2人ですが、いつの間にか周囲一帯を強い霧が包んでいます。一体何があったのかは分からないまま、ロビンの目の前に思わぬ人物が現れます。
ロビンが目にしたのは、かつてのロビンの故郷であるオハラで出会ったクローバー博士、サウロ、そして母であるオルビアの姿。いずれもロビンにとっては大切な人物であり、かつて、悲しい別れ方をした人物たちなのですが、ロビンの追想という形で改めてそのドラマが描かれます。
最初はロビンとそれぞれの人物との幸福的な対面の様子を描きつつ、改めてそれぞれの人物との悲劇的な別れが描かれました。ダイジェストながら、捕らえられる間際に、サウロが放った「海は広いんだで。いつか必ずお前を守ってくれる仲間が現れる。この世に生まれてひとりぼっちなんてことは絶対にないんだで!」という名セリフと、幼いロビンが譲り受けた笑顔のカットで締める演出が、ロビンの過去を描いたエピソードを思い出させて、涙を誘います。
より詳しくこれらのエピソードを知りたい人は、第275話「ロビンの過去!悪魔と呼ばれた少女!」以降で描かれるロビンの過去編を参照してください。
散々このような感動的なシーンが描かれ、てっきりロビンは幻に惑わされたかと思いきや、そうはいかないのが、さすがはロビン。実はロビンはその幻霧を見通しており、あっという間に騙そうとしてきたギフターズやナンバーズの面々を倒してしまいます。
そして、そのタイミングで流れるのが、かつてのルフィの名セリフである「生きたいと言えェ!」のシーンと、ロビンとオルビアの再会の名シーン。最後の最後で我慢していた涙腺を決壊させる演出でエピソードを締めくくりました。
実はこのロビンを幻術にかけるシーンは原作の漫画にもあったのですが、じっくり過去のエピソードを挿入したのはTVアニメ独自の演出。思わぬタイミングでの感動回の登場には、原作を知っていた人にこそ、サプライズとなったのではないでしょうか。
ロビンの過去を描いた第1043話から一転、次回は第1044話は「悪夢を斬る ブルックの氷の抜刀!」ということでブルックにフィーチャーしたエピソードを思わせるサブタイトルが登場。ブルックがかつて所属していたルンバー海賊団が登場するようですが、実は原作ではこの場面では未登場だっただけに、次回もTVアニメ独自のアレンジが期待できそうです。
〈文/ネジムラ89〉
《ネジムラ89》
アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは『読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレター』を配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi
(C)尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション