◆本当の盛りあがりは後半にまだ隠されていた!
ヤマトが語る光月おでんの語りと重なるように、後半では鬼ヶ島の頂上へと舞台は移ります。キッドにキラー、ロー、そしてゾロ。続々とカイドウとビッグマムの待つ頂上へと集結していき、そしてついにルフィが現れます。挑発するカイドウとビッグマムにも目もくれず、ルフィは錦えもんへと駆け寄り、感極まった錦えもんは涙ながらにワノ国の未来をルフィに託します。
大幅な追加シーンを設けた前半に対して、後半はおおよそ原作漫画と同じ内容が描かれているのですが、ここでまたアニメだからこそできる“色”の仕掛けが設けられています。
四皇二人が並ぶ威圧感は、異常なまでに濃い赤で表現されています。そして対照的にかつての錦えもんとの思い出は優しい淡い色で描かれます。その穏やかな雰囲気をカイドウがその大きな図体で遮ったかと思えば、異常なまでの赤い緊張はカイドウの攻撃で一気に解かれます。
しかし、その攻撃を避けたルフィとそれに重なるように、ワノ国に至るまでの物語が次々と鮮やかな色彩でなぞられていき、モモの助の「カイドウを倒したい」のセリフを皮切りに、初代主題歌「ウィーアー!」が流れだし、ルフィの放つ“ゴムゴムの業火拳銃(レッドロック)”がカイドウに叩きつけられる!最後にルフィによる「おれはモンキー・D・ルフィ」「お前らを超えて“海賊王”になる男だ」という決め台詞で記念すべき1015話が締められる……流れ自体は原作にあったものでありながら、色彩や音楽、細かなテンポに至るまで、これ以上ないぐらいに最後のルフィの攻撃が気持ちよく感じられるように配置されており、原作における記念すべきエピソードであることを知らなくても、この回がワンピースという作品にとって特別なものであることが分かる回となっていました。