◆緑牛だけじゃない?意外とあったワンピースの声優交代
今回の緑牛だけでなく、実は以前にも担当声優を引き継ぐ例はありました。
代表的な例では、今や麦わらの一味の一員となっているジンベエも、一度声優の交代を経ているキャラクターです。ジンベエがTVアニメに初登場した2009年は今のような味方ではなく、王下七武海の一人として敵か見方かも分からない状態でした。
そんな初登場時にジンベエ役を務めていたのは『ドラゴンボール』シリーズのミスター・サタン役などで知られる郷里大輔さん。2010年1月に郷里さんが逝去されたことを受け、ジンベエ役を、すでにゲッコー・モリア役などで『ワンピース』に出演していた宝亀克寿さんが引き継ぐことになりました。
また、別の例では革命軍のエンポリオ・イワンコフ役も一度担当声優の交代が起きているキャラクターです。
当初は実際にキャラクターのモデルとされたいまむらのりおさんがオーディションに参加し見事担当役を獲得して演じていたのですが、自身の刺青を披露する目的でアップした全身写真が問題となり警察沙汰となったことを受け降板。声優の岩田光央さんが引き継ぎ、いまむらさんが演じていたエピソードも再収録をしています。そのため、現在ではいまむらさんが演じていたバージョンを視聴する術はありません。
作品の途中で声が変わってしまうのは、やはりよほどの理由がない限りは起こらないのですが、“一時的”に声優を交代するという例もあります。
2001年にはナミ役の岡村明美さんが産休のために休業し、その期間はノジコ役の山崎和佳奈さんがナミ役を担当。2006年にはチョッパー役の大谷育江さんが一時的に体調不良で休業しており、その際には後に戦桃丸役を務める伊倉一恵さんが代役を務めています。その年の映画『ONE PIECE THE MOVIE カラクリ城のメカ巨兵』の時期とも被っており、後年にこの映画をソフトや配信で観たという人には驚きだったのではないでしょうか。
ファンとしては馴染みのあった声が変わることには戸惑いはあるとは思いますが、キャラクターを“人が演じている”ということは観ているこちらも忘れてはいけないところです。『ワンピース』も放送スタートからまもなく四半世紀。『ワンピース』に限った話ではないのですが、長寿作品にとっては担当声優の交代が起こってしまうのはやむをえません。寂しさや違和感など感じてしまうのは仕方ないとはいえ、ファンも寛大に受け入れていきたいところです。
〈文/ネジムラ89〉
《ネジムラ89》
アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは『読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレター』を配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi