◆お仕事シリーズの共通点とは?
『お仕事シリーズ』は3作品とも若い女の子が働く部分が共通していますが、このようなテーマのアニメは『WORKING!』や『NEW GAME!』などがありますよね。
しかし、『お仕事シリーズ』は単純なお仕事アニメに留まらないファンを魅了する“魅力”があります。
では、その“魅力”とはなんなのか?
◆評価
『お仕事シリーズ』のうち2作品は、アニメファンからだけでなく業界でも高い評価を得ています。
『花咲くいろは』は“平成23年度文化庁メディア芸術祭アニメーション部門”の推薦作品に。
『SHIROBAKO』は“第20回アニメーション” で神戸作品賞を授賞、また、“東京アニメアワードフェスティバル2016 アニメオブザイヤー ”ではグランプリに、“SUGOI ANIME JAPAN Award2016” では2位を獲得しています。
推薦されるだけでも難しい中で、ここまでの評価を得られる稀有なシリーズと言えます。
◆働く女の子と「年長者」がかっこいい!
ここからは筆者の持論です。事実ではなくファンから見た考察ですのでお気をつけください。
『花咲くいろは』の松前緒花、『SHIROBAKO』の宮森あおい、『サクラクエスト』の木春由乃といった物語の中心人物になる3人は共通して
・芯が強い
・アクシデントでへこたれても簡単には折れない
・周りを巻き込んで成功させる
という力強さを持っています。
またこの他、3人は作内で「自身のこれから」について悩み、話が進むに連れて答えを導く姿を見せてくれます。
・松前緒花⇒ 受けた告白がうやむやになった幼馴染との恋愛発展
・宮森あおい⇒ 同好会4人が具体的な目標を持つ中で、あおいだけ明確な夢が見つかっていない
・木春由乃⇒ 期間限定の国王の仕事が終わった後、自分はどうなりたいか
ただ仕事ができるだけのキャラクターではなく、性格の強さとその中にある心の葛藤がよりリアルな人間味を出し、ある種心の近さを覚えるように感じます。
その近いながらもかっこよく仕事をする女の子が、ひいては作品そのものの魅力を引き出しているのだと思います。
またカッコいいのは主人公達だけではありません。『お仕事シリーズ』では、ストーリー展開で重要なポジションに年長者が登場するのですが、その方々がことごとくカッコいいのです。
『花咲くいろは』では、緒花の叔母であり旅館の女将である四十万スイが従業員を叱咤激励する姿と、女将としてお客様を最優先と考えるプロの姿を見せてくれます。
『SHIROBAKO』では、武蔵野アニメーションの社長である丸川正人がそれに該当します。彼は、いつも料理を社員に振る舞う優しいおじいちゃん的存在でしたが、過去には「クリエイターに物言いする制作進行」としてアニメに熱い魂を入れる人でした。
また同社の最古参である杉江茂は、『えくそだすっ!』のピンチの際にあおいから直々にオファーを受け、作内でも伝説と謳われる作画マンとしての力を発揮しています。
『サクラクエスト』からは、チュパカブラ王国の前国王で観光協会会長の門田丑松、商店会会長の織部千登勢があげられます。
最初は余所者の由乃を快く思わず、また2人の過去のいざこざでお互い顔を合わせる度に口喧嘩をしている仲でしたが、間野山市をよくしたいという気持ちは同じであり、次第に和解し由乃を認めるようになります。
――『お仕事シリーズ』は、緻密に描かれる風景と人間ドラマ、そして地域タイアップによるアニメだけでは終わらない、リアルとつながる感覚が醍醐味の作品群だと言えます。そのような点が多くのアニメファンを惹き付けるのではないでしょうか。
お仕事シリーズを送り出したP.A.WORKSは、2020年秋アニメでは『神様になった日』『A3 !』の制作を担当。これらの作品も『お仕事シリーズ』同様に、奥の深い内容になっています。当記事でP.A.WORKSの作品に興味を持たれたのなら『お仕事シリーズ』と共に観ていただきたいです。
アニメ業界の最前線で活躍するP.A.WORKS。今後どのような作品を生み出していくのか、期待が募ります!
(Text/頭皮ぱっしょん Edit/チャールズ野田)
※この記事は2017年10月25日に配信した記事の再編集版です。
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