◆“あの”有名女優が関係している?お蔵入りになってしまった理由

 『ピチューとピカチュウ』の内容だけを聞いても、お蔵入りになってしまうような部分はないように思えるでしょう。事実『ピチューとピカチュウ』は、当時はまだ現役だったVHSが単体で発売されていたり、当時の『劇場版ポケットモンスター 結晶塔の帝王 ENTEI』のDVDに収録されるなどパッケージ化を果たしていました。

 しかし、2009年を機に状況が変わります。この年、『ピチューとピカチュウ』の主題歌とナレーションをしていた酒井法子さんが覚醒剤の所持により有罪判決を受けることになったのです。

 そもそもこの有罪判決を受けるまでがまた大きな話題となっていました。当時、夫が覚醒剤を所持していたことが発端となっており、任意同行を拒否した酒井法子さんが、一時的に行方をくらましたりといったりといった騒動からその行方を追うなど、ワイドショーなどでも連日報道を受けるような事態となっていました。

 そういった状況を踏まえてか、パッケージ版の再販やのちに活発化する動画配信サービスでも『ピチューとピカチュウ』だけは一切、登場しないようになってしまいます。

 酒井法子さん自身は当時有罪判決を受けたとはいえ、2012年にすでに執行猶予期間を終了し、芸能界にも復帰済みです。それでもなお、『ピチューとピカチュウ』は未だに公の場に登場しない状態が続いているのが現状です。

 ピチュー兄弟自体は、『ピカピカ星空キャンプ』という短編にも登場しているので、存在が抹消されているわけではないのですが、それであればなおのこと、ピカチュウとピチュー兄弟の出会いを知れる作品が参照できる環境にあって欲しいところです。

 2022年はアニメポケモンの25周年の節目でもありますが、酒井法子さんの執行猶予期間が終了してから10年という節目でもあります。いつまでこの作品が業を背負わされ続けなければいけないのでしょう。そろそろ『ピチューとピカチュウ』の封印を解いてもいい頃ではないでしょうか。

〈文/ネジムラ89〉

《ネジムラ89》

アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレターを配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi

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