久々に漫画を見て泣いてしまいました……。

 今回紹介させていただくのは、週刊少年マガジンで連載されている、猪ノ谷言葉先生のデビュー作『ランウェイで笑って』。

ランウェイで笑って 1巻 画像
画像引用元:ランウェイで笑って(1) (講談社コミックス) 出版社:講談社

 ファッションをテーマとした、少年漫画ではあまり馴染みのないタイプなのですが、ストーリーは王道を超えたヒューマンドラマ

 ファッションを知らない人でも楽しめる漫画であり、誰でも楽しめる作品なのです!

あらすじと概要

身長は、158cmから伸びなかった……。藤戸千雪の夢は「パリ・コレ」モデル。モデルとして致命的な低身長ゆえに、周囲は「諦めろ」と言うが、千雪は折れない。そんなとき、千雪はクラスの貧乏男子・都村育人の諦めきれない夢「ファッションデザイナー」を「無理でしょ」と切ってしまい……!?「叶わない」宣告をされても、それでも一途に夢を追って走る2人の物語。

https://pocket.shonenmagazine.com/episode/13932016480029113175より引用

 この作品は、モデル事務所「ミルネージュ」の社長令嬢であり、低身長ながらパリコレ(世界で最も有名なファッションショー)を夢見る藤戸千雪と、服を作るのが好きで、服を見るだけで服を作ることができる(正確にはパターンをイメージする)天才的なスキルを持つ都村育人を中心に、それぞれがファッションモデルとファッションデザイナーを目指す物語です。

 二人とも高校生でありながら大人の世界で現実を見せつけられ、挫折を味わいながらも諦めずに夢に向かって進み続ける姿がとてもかっこいいのです。

 二人以外にも、理想的なモデル体型だがファッションデザイナーを目指す女子大生の長谷川心、作中で国内最高のファッションブランド「Aphro I dite」の代表取締役の孫であり、後に自分のブランドを立ち上げる綾野遠といった個性的な人たちも多く、彼ら彼女らの野望や苦悩が入り交じっていきます。

ストーリーの惹き込み方が巧すぎる!

ランウェイで笑って 3巻 画像
画像引用元:ランウェイで笑って(3) (週刊少年マガジンコミックス) 出版社:講談社

 『ランウェイで笑って』を紹介したい! と思った理由の一つが“ストーリーの惹き込み”にあります。

 話の流れそのものは、新しい挑戦→挫折→乗り越え といった王道パターンに近い印象なのですが、数多ある作品と比較すると、現実でも起こりえそうなリアルさがあり、普通の人なら挫折して終わりそうな状況であってもなお2人は諦めない、無理だとわかってても立ち向かう姿の魅せ方が巧いのかなぁと思っています。

 ほぼ毎回、話のラストに衝撃展開がやってくるので続きが気になって仕方ないんです。おかげで筆者は10巻(2019年6月現在)まで一週間もしないうちに買い尽くしてしまいました。

 特に筆者が感動した瞬間は6巻にある育人のお話。

 内容はネタバレになるので伏せますが、高校生でそんな辛い経験するのか……と心苦しさを感じた矢先、もうファッションデザイナーになることはできないのかと思っていたところで、自分が手がけたもので救われた瞬間、「よかった……!」と思いつい涙を流してしまいました。

 ファッションを題材としているため詳しくない人には馴染みにくい印象を与えますが、猪ノ谷言葉先生はヒューマンドラマを軸とし、登場人物の人となりを多く描くことで、作品への取っ付きにくさを取り払っている心配りもされています。

 おかげでファッションを知らない人でも楽しめるようになっているんです。ですがそれだけではなく、ファッション業界についての描写はリアルさを出しているため、ファッションに携わる人にもおすすめできる作品と言えるでしょう(実際、コミックスの7巻以降はデザイナーや服飾専門学校が協力しています)。

どのキャラクターも好きになりそうになる

ランウェイで笑って 7巻 画像
画像引用元:ランウェイで笑って(7) (週刊少年マガジンコミックス) 出版社:講談社

 登場人物についても、筆者はどの人たちにも感情移入しそうになるほど魅力的なキャラ揃いだと思っています

 また作者インタビューでも「とにかく悪いだけの人はあんまり出したくない」とあるためか、作中で冷酷な人だったり主要キャラの敵のような人(最初あたりだと、長谷川心のマネージャーである長谷川優などでしょうか)でも、彼ら彼女らの過去や心情をしっかり描いているので、「だからこの人はこう言うんだなぁ」と手に取るように分かるんです。だから嫌いになれなくなるんです。

 ちなみに筆者が一番お気に入りのキャラクターは、都村4兄妹の長女である都村ほのかちゃんです。

 都村家は育人が一番上で、その下に勉強ができるほのかちゃん、運動が得意で快活な葵ちゃん、年の離れた甘えん坊のいち花(いちか)ちゃんの4兄妹であり、両親が離婚し母親も過労により入院。経済的にも厳しい状況です。

 ほのかちゃんは大学進学を希望していますが、家族の夢(育人のデザイナー志望)を潰してまで大学には行きたくないと思っており、そのことも相まって育人とは関係が上手くいかなかったり、つい感情的になってしまうことも。

 ちょっと頑固で気難しさを感じる子なのですが、家族を思う気持ちが人一倍強い、育人と同じでみんなを思いやるめちゃくちゃいい子なんです。

アニメ化はまだか!

 2017年に連載が開始されるやいなや、その面白さが話題となり、2018年には「マンガ大賞」「次にくるマンガ大賞」でそれぞれ6位、12位を取る、今一番勢いがあって注目されているであろう漫画が『ランウェイで笑って』なのです。

 アニメ化してほしいなぁ、アニメになったらどう魅せてくれるかなぁ、なんて勝手ながら妄想しております。が、久しぶりに漫画だからこそわかる魅力を感じました。

 現在マガポケ(少年マガジン関連の公式漫画サイト)では第3話まで無料で公開しているので、気になった方は是非!

ランウェイで笑って⇒https://pocket.shonenmagazine.com/episode/13932016480029113175

Edit&Text/頭皮ぱっしょん)

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