2018年1月よりアニメが放送されている、白鳥士郎氏原作のライトノベル『りゅうおうのおしごと!』。
主人公が16歳の男の子でヒロインは9歳の小学生だったりと、一見聞くと『ロウきゅーぶ!』や『天使の3P!』といった「ロリコン大歓喜!!」といった作品に思える方もいらっしゃるのではないでしょうか??
この作品、主人公の九頭竜八一が16歳にして棋界7大タイトル(2018年には叡王戦が加わり8大タイトル)の最高峰のひとつである竜王の座を勝ち取ったり、ヒロインポジションである雛鶴あいや夜叉神天衣(やしゃじん あい)が、小学生にして人並み外れた将棋センスを持っていたり、八一が何人もの女子小学生に囲まれてロリコン呼ばわりされるなど、まさにフィクションと呼ぶにふさわしい凄まじい展開を見せてくれます。
……なんて思っていたのですが、蓋を開けてみたら意外や意外。なんと実際の棋界でも小学生から大活躍したプロ棋士は数多く存在しているのです!
さすがに小学生でプロ入りした実例はないのですが、著名な棋士である昨年6月に引退し近年ではタレントとしても活動している加藤一二三さん(1973年に九段昇段)や、棋界の7大タイトルの獲得数が99回と歴代最高のタイトルホルダーとなった羽生善治さん(1994年に九段昇段)、今年2月に15歳にして史上初のにして六段に昇段した藤井聡太さんは、3人とも中学生でプロ入り(四段昇段)を果たしています。
数多く存在する棋士の中でも中学生でプロ入りを果たしたのは上記3人を含めて5人だけです。
特に、未だ中学生であるにもかかわらず、棋界での史上最年少記録を塗り替えていく藤井聡太さんの生ける伝説っぷりは、もはやファンタジーの域といえます。
「事実は小説よりも奇なり」を体現できる人は、どのプロスポーツなどの世界でもそうそういないでしょう……。
将棋漫画・アニメといえば『ハチミツとクローバー』の作者でも知られる羽海野チカ氏の『3月のライオン』が頭に浮かぶ方もいらっしゃるかと思いますが、この『りゅうおうのおしごと!』は『3月のライオン』と同じく将棋関係者(『3月のライオン』は先崎学九段が、『りゅうおうのおしごと!』は「西遊棋」という日本将棋連盟関西支部の若手棋士グループ)が監修を務めるなど、両作品ともに本格的な作品になっているのです!
将棋がわからなくとも伝わる作品の熱さ
少々私個人のお話になります。
前項で棋界の凄まじさを書いた筆者ですが、私も将棋については全く知識がないのです。
テレビやネットのニュースで羽生さんや藤井さんの名前みたことあったなぁ、ほどしか知らず、お恥ずかしながら将棋のルールも「とりあえず王を取れば勝ち」くらいしかわからないのです。
では、そんな将棋を全く知らない私が、なぜこれほどまでして、『りゅうおうのおしごと!』おすすめしたい! と感じたのか。
それは、ストーリーが王道の熱血ものの要素が入っていること。
若い女の子だからこそ出せるストレートな感情を見られる人間ドラマにあること。これらを、第三局「研修会試験」のラストパートを見て強く感じたからです。
将棋に限らず、スポーツやゲームにも、真剣勝負の世界があります。
そしてその世界のプロの人々は、そこに全てを掛けて挑んでいるのです。
第三局では、雛鶴あいちゃんと、棋界で「浪速の白雪姫」と呼ばれる女王・空銀子との一局が描かれています。
あいちゃんはあまりの緊張感に過換気症候群(一種の過呼吸)になるほど追い詰められる描写もありました。
全身全霊を掛けて挑むあいちゃんに立ちふさがる銀子との一局は、ぜひ一度見ていただきたいです!
そして何よりもあいちゃん達が可愛い!
本作のヒロインである雛鶴あいちゃんや、同じ「あい」の名前を持つ同い年の夜叉神天衣ちゃんをはじめとした女の子達。
彼女は同じ棋院で将棋を学ぶ小学生の子達を交え、「JS研」として八一の元で勉強に励みます。
素直でひたむきに勉強を行う彼女達の姿には心が癒されますよ。
あいちゃんは八一にべったりなところもあり、時々「女の子の知り合い」が多いことにやきもきして「師匠のだら(石川の方言で「バカ」という意味)!」と怒る場面もありますが、そこもまた可愛い!
そして八一と同じ清滝九段の元で学ぶ、八一にとっての姉弟子にあたる空銀子ちゃんも、八一にはツンツンしている女の子ではありますが、八一には好意を持っている乙女です。
勝負には冷静に徹するからこそ八一の元で見せる可愛らしさとのギャップに悶えるファンは、これから増えていきそうです。
また忘れてはならないのが、作者の白鳥士郎氏が「私の全てを背負ってもらった」という、清滝九段の一人娘である清滝桂香さんです。
彼女は八一や銀子よりも遅めに棋士を目指したこともあり、研修会の年齢制限である26歳まであと1年しかない苦境に立たされています。
八一と銀子の妹弟子ながらも2人の前ではお姉さんとして振る舞る健気さも持っていて、見ていて応援したくなるキャラクターです。
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久しぶりに熱いアニメである!
前情報なく、初めてこのアニメを見たときは「よくある小学生が頑張るアニメかぁ」程度にしか思っていなかったのですが、蓋を開けてみると、実は八一やあいをはじめとした主要人物が持つ熱い闘志と決して折れない根性によって勝負が繰り広げられるスポ根のようなアニメでした。
この『りゅうおうのおしごと!』は、当初ライトノベルが出た時の売れ行きが芳しくなく、5巻で打ち切りの予定にもなっていたらしいのです。
しかしその後棋界の業界誌でも取り上げられて次第に人気を獲得するようになり、アニメ放送直前には6巻で累計部数100万部を突破(2018年1月15日には7巻が発売)。
アニメ化の勢いもあって、まさにこれからさらなる展開が予想される、注目の作品なのです。
ちっちゃい女の子が苦悩し、大きな壁を乗り越えていく姿は他ではなかなか見られませんよ!
(Edit&Text/頭皮ぱっしょん)
◆CHECK!!
TVアニメ「りゅうおうのおしごと!」公式サイト
©白鳥士郎・SBクリエイティブ/りゅうおうのおしごと!製作委員会