◆実は神回?徳郎先生のラストエピソードでは劇中で「サザン」が流れる?
もちろん原作のような衝撃の大きい展開は、多くの小さな子供も見る番組での放送は無理だろうな、という想像はできてしまうのですが、それでも再登場を熱望してしまうのは、徳郎の登場するTVアニメエピソードが傑作回となっていたからです。
徳郎は1998年に放送された第277話「まつざか先生に春の予感だゾ」で初登場し、その後もたびたび登場。二人が破局したり、復縁したりといった関係が描かれたキャラクターでした。
そんな徳郎の最後の登場となったのが1999年に放送された第331話「まつざか先生の恋の決着だゾ」です。
このエピソードでは原作と同じく、骨マニアの性格から化石発掘チームに勧誘され徳郎はチリ行きを決定。まつざか先生とは感動的な別れを迎えます。
この別れのシーンでは、まつざか先生と徳郎が抱き合い口づけを交わすシーンも登場。それこそ子供向けのアニメでは異質な大人な演出となっていました。
実はこのエピソードではもう一つ、特殊な演出が盛り込まれています。
徳郎の旅発つフライトに間に合うように、幼稚園のみんなが協力してまつざか先生を空港に届ける展開があります。
この空港へ向かうシーンでは、なんと本編中にサザンオールスターズの「希望の轍」がそのまま流れます。
これは原作者の臼井儀人先生が、サザンオールスターズのファンだったということもあり、原作でもたびたび歌詞の引用がされるのですが、まさにそれをTVアニメで再現するものとなりました。
──こうして徳郎について公式側から言及がされたということで、やはり次に希望したいのはTVアニメで徳郎の今の様子を描いてほしいということ。
原作どおりのアニメ化は内容的にも厳しいのは分かりつつも、それならTVアニメの世界線でだけでも元気な姿を見せてほしいというのは欲張りでしょうか。
最後の登場となった第331話「まつざか先生の恋の決着だゾ」が名エピソードだったこともあり、なおさらTVアニメの世界観なら徳郎のエピソードは新たに面白いものが作れるのではないかと想像してしまいます。
せっかく「おひさしブリブリProject」で徳郎にわずかながらもスポットライトが再度当たったのですから、このまま過去の人では終わって欲しくないです。
TVアニメのまつざか先生にとっても、徳郎という存在がなんだったのか、今こそハッキリさせても良いんじゃないでしょうか。
〈文/ネジムラ89〉
《ネジムラ89》
アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは『読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレター』を配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi