“ボンドガール”って知っています?

 映画『007』シリーズの言葉で、作中の主人公であるジェームズ・ボンドの敵として登場したり、時には味方となったりする女性キャラクターを総称する言葉で、シリーズごとに立ち代わることからも、この言葉が生まれていきました。

 シリーズを通してヒロインが代わっていく作品もなかなかないので、独特なポジションなのですが、実はこのボンドガール的な立ち位置が存在するアニメーション映画シリーズが存在します。

 それが『クレヨンしんちゃん』シリーズ。

 実は、映画ごとにヒロインポジションのキャラクターが立ち代わる映画シリーズなのです。

 そんな『クレヨンしんちゃん』の映画シリーズのヒロインの描かれ方を追っていくと、しんちゃん映画の変化も見えていきます。

◆強くてかっこいいヒロインたち!

 『クレヨンしんちゃん』といえば主人公は5歳児の野原しんのすけ。

 まだまだ幼稚園児ということでなかなか過激なアクションシーンやシリアスなドラマは限られているのですが、その代わりに担うのがまさかの映画オリジナルキャラクターのヒロインたち。

 『クレヨンしんちゃん ブリブリ王国の秘宝』のブリブリ王国出身のスンノケシ王子を追うルルや、『クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険』ではしんちゃんを導く人形のトッペマ『クレヨンしんちゃん 電撃!ブタのヒヅメ大作戦』のSML所属のエージェントであるお色気(※コードネーム)などなど……普段のTVアニメシリーズではあまり味わえない本格的な格闘シーンや、派手なエフェクトの魔法を使ったシーンといった映画ならではのサービスが、映画『クレヨンしんちゃん』シリーズのヒロインには詰まっていました。

 今でこそ女性主人公のアクション映画も多数登場していますが、ある意味一足先にそのトレンドを抑えていたとも言えるかもしれませんし、それはアニメ界の女性主人公作品の流れも踏まえていたのかもしれません。

◆ヒロインの姿にも変化が?

 そんなヒロインたちの活躍も時代が変わっていくと、そのキャラクターの姿にもバリエーションが生まれていきます。

 しんちゃんにとっては憧れとなる年上のお姉さんの方が多かった初期に比べると21世紀以降は、その年齢層や立場にも幅が生まれていきます。

 『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズ』のつばきは、しんちゃん的には当初はもっとお姉さんが良いと思われてしまうような10代前半ぐらいの女の子だったり、『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ黄金のスパイ大作戦』では、もっとしんちゃんと年齢が近い子供スパイの女の子・レモンが登場し、しんちゃんとの対比の存在として描かれたりと、憧れのお姉さんだけでなく、しんちゃんに新たな刺激を与える存在であったり、逆にしんちゃんに刺激を受ける存在として描かれるようになっていきました。

◆高橋渉監督の描くヒロインの変化球

 こうして、毎年新たな女性メインキャラクターが登場していき、『クレヨンしんちゃん』の映画も2021年時点でついに29作目にも到達。すっかりヒロインの描かれ方もこれ以上新しいネタはないんじゃないかという域に達してきているんじゃないかという気になるのですが、近年の『クレヨンしんちゃん』映画では、「まだそんなアイディアがあったか!」という驚きの女性キャラクターが活躍します。

 中でも『クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』以降、複数の劇場公開作品の監督を担当してきている高橋渉監督が見せてくるヒロインの描き方が必見です。

 2016年公開の『クレヨンしんちゃん 爆睡!ユメミーワールド大突撃』に登場するサキは、しんのすけとまさかの同世代のキャラクターとして登場。シリーズでもおなじみのカスカベ防衛隊のメンバーの新たな一員として、これまでの映画で描いてきた感触とは違った友情を描きました。

 また、『クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ〜拉麺大乱』では玉蘭(タマ・ラン)という、カンフー少女が登場。存在は、往年のかっこよくて強いお姉さんを踏襲していながらも、実はその正義感の強さからクライマックスでは、しんちゃんとの考え方で対立する意外な立ち回りをすることになります。

 高橋渉監督が描くしんちゃん映画のヒロインの描き方は、今もなお新鮮な体験を与えてくれています。

◆最新作映画でも驚かされる「それやるの!?」

 そして、2021年公開の新作映画『クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』を担当する監督こそ、そんな高橋渉監督です。

  しんちゃんをはじめとしたカスカベ防衛隊のメンバーが、私立天下統一カスカベ学園こと“天カス学園”に1週間の体験入学をしに行き、その先である事件に巻き込まれるという学園ミステリー物作品となっています。

 今作でヒロインポジションを担うのが、生徒会長を担う阿月チシオという天カス学園の生徒会長のキャラクターです。しんちゃんたちを案内してくれる存在ではあるのですが、実はそんな彼女にもある過去やコンプレックスがあり、それが物語の一つのエッセンスとなる仕掛けが用意されています。

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 そしてなにより驚かされるのがクライマックス。普段は人も良くて可愛いチシオちゃんに、“そんな見せ場の用意の仕方ある!?”という驚きの役を担わせるという仕掛けが用意されています。キレッキレのアクションだったり、端麗さを艶やかさを披露してきたヒロインたちですが、そんなヒロインたちが描いてこなかった意外な形でのカッコよさを見せてくれます。

 

 ――時代とともにいろんな冒険を見せてくれてきた映画の『クレヨンしんちゃん』ですが、一方でヒロインたちも新たな体験を私たちに見せてくれてます。今年のヒロインはどんな活躍をしてくれるのか……しんちゃん映画を観るときはそんなポイントに注目してみても、多くの発見ができるはずです。

〈文/ネジムラ89〉

《ネジムラ89》

アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは『読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレター』(https://note.com/nejimura89/m/mcae3f6e654bd)を配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi

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