◆「優秀な相手」とチームを組むことになったら
仕事の処理能力に秀でた人物がチームにいてくれると、とても心強いです。困った時に任せられたり、寄り掛かれたりする安心感は計り知れません。しかし、安心しきってその人に頼り過ぎてしまわないよう「配慮も必要」です。
藤真健司率いる翔陽高校バスケ部には、湘北や陵南のような優れた指導者がいません。そのため主将の藤真健司が監督を兼任し、同級生または後輩であるチームメイトたちに指示を出す形をとっています。監督不在の理由はファンの間でも、さまざまな考察が飛び交っていますが真相は不明のままです。
藤真は選手としても監督としても優秀ですが、双方を常に兼任しなければならない重責が彼の足枷となっています。
選手内での司令塔の役割と、常に外側から視野を広くして試合の状況を把握してアドバイスをする監督の役割はまったく別物です。
ほぼすべての試合でベンチスタートするうえ、コートへ入ってからも考えることがほかの選手より多い藤真は、結局本来のパフォーマンスを十分に発揮できず、結果的にチームでも勝利を掴み切れないという状態が続いています。外部からも「もし翔陽に監督がいたらどうなっていたか」と惜しむ声が上がるほどです。
いくら相手が自分より優秀であっても、たった1人の人間に頼り過ぎれば、いずれキャパシティを超えて処理しきれなくなってしまうでしょう。そうなったとき、頼っていた度合いが大きいほど、チーム全体の士気やパフォーマンスも下がります。
そんな事態を防ぐ有効な方法は、やはり「コミュニケーション」です。
「手伝おうか?」「話を聞くよ」といった一言があるだけで、張り詰めた心もいくらか和らぎます。優秀な相手が最大限のパフォーマンスを発揮できるように、自分の役割や立ち振る舞いをかんがみる冷静さを持ちましょう。
──チームの団結力を高めるには、仕事の話だけでなく、始業前や定時前のオンラインミーティングなどで、テーマを決めた雑談などを10分程度取り入れてみるといいでしょう。
また、時間があれば、チームでランチなどに行ってみて、仲を深めるのも意外と効果的です。
頭ごなしに苦手な人を否定するのではなく、こういったブレイキングタイムを利用して、相手の長所を見つけて仕事をお願いすれば、いままでうまくいかなかった仕事が円滑に進むかもしれません。
〈文/粂原もみじ 編集・監修/水野高輝(マネーメディア コンテンツディレクター)〉
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