1975年に始まった『秘密戦隊ゴレンジャー』を皮切りに、長年に渡り子供たちに夢と希望を与えている、スーパー戦隊シリーズ。
子供向けではあるものの、その作品内では「友情」「努力」「勝利」以外の要素、複雑な人間関係であったり、心の葛藤、そして中には恋愛模様まで描かれているものもあります。
今回は作中で「恋愛」を扱っている作品をピックアップしながら、ヒーローたちのロマンス事情をご紹介したいと思います。
棚からぼた餅?ハーレムから大富豪エンドへ
まずご紹介したいのが、スーパー戦隊シリーズ第37作目の『獣電戦隊キョウリュウジャー』。
賢神トリンに選ばれ、獣電竜と戦って勝利した若者たちが「強き竜の者(キョウリュウジャー)」に変身、太古の昔に封印された暗黒種・デーボスを復活させようと目論むデーボス軍から地球を守るために戦う物語です。
強き竜の者として選ばれたのは、キング(桐生ダイゴ)、チャラ男(イアン・ヨークランド)、おっさん(有働ノブハル)、グリーンボーイ(立風館ソウジ)、お嬢(アミィ結月)の5人。←キング以外の呼び名は私の主観です(……すみません!)。
ここでご注目いただきたいのが、メインヒーローであるキョウリュウレッドこと桐生ダイゴ。彼は幼いころから世界中を旅してきた流浪の民で、ニュースでよく耳にする言い方で表現すると住所不定無職。
無鉄砲で天然、無神経なので場の空気も読めないという自然体の野生児ですが、器が大きく強いカリスマ性を持っている天性の人たらし。男女問わず友人が多いタイプですね。そしてその能力は恋愛においても有効のようで、作中でのキングはハーレム状態です。
メインヒロインであるアミィも、映画版のヒロイン・天野美琴も、中盤からレギュラー参加する眼鏡っ子・弥生 ウルシェードも、皆キングのことが好き。ワイルドで男らしくて熱いところが草食系男子ばかりでうんざりしていた今どき女子のハートを鷲掴みにしたのでしょうか。
キング1人に女子3人、一体どんな恋愛バトルが繰り広げられるのかと思いきや! あっさり決着、キングはアミィと結ばれます。その過程も大根おろしくらいさっぱりしていて、分かりやすく好意を押し出してくる美琴や弥生と違って、アミィはそれほどキングに対して意思表示をしません。あれ、もしかしてさっきのって……? という伏線がちょこちょこあるくらいで、キングに至っては欠片ほどもその要素は見当たりません。
が、最終回まであと数話、という時にいきなりふって沸いたようにドーン! と恋愛フラグが立ちます。最終決戦を前にストロベリーパフェを食べに行く約束をする二人、そしてそのまま最終回へと突入。すっかりキングラブ状態で彼の無事を祈るアミィの元に帰還を果たすキング。そこでひと言、
「約束したもんな、だから帰って来たんだアミィ。お前のメロディの聞こえる世界へ」
そして抱き合う二人。感動の名シーンなのですが……ここで一言。
キングよ、君はいつアミィを好きになったんだ??
いつも通りのテンションで最終決戦に出かけて行って、帰ってきたらアミィラブになっていたのでビックリしました。
あ、ちなみにアミィの家は大金持ちなのでこれでキングは晴れて放浪の旅人から卒業、逆玉で将来安泰です。
……まさかそれが目的じゃないよね、キング。
そして婿になる
次の作品は、スーパー戦隊シリーズ第29作目『魔法戦隊マジレンジャー』。
名前の通りモチーフは「魔法」で、天空聖者と地上人との結婚により生まれた5人の子供たち(小津魁、翼、麗、芳香、蒔人)がマジレンジャーに変身、地底冥府インフェルシアと戦う姿が描かれます。
5人の子供たちということは……そう、マジレンジャーは家族戦隊なんです。お母さんだって(マジマザーに)、お父さんだって(ウルザードファイヤーに)変身します。
「メンバーが全員親族じゃ恋愛できないじゃん」、と思いますよね? でもこのマジレンジャーにもちゃんとロマンスが存在します。そのメインとなるのが小津家の次女でマジブルー・麗。そう、レッドじゃなくてブルーが恋愛担当なんです。レッドの魁も同じ学校の女子に恋心を抱いてはいるのですがあまり印象に残っていないので(ごめんよ、魁)麗ちゃんベースで進めたいと思います。
彼女の恋のお相手はマジシャインに変身するヒカルこと天空聖者サンジェル。麗の父親である勇の弟子であり、小津兄妹に魔法を教える先生という立ち位置です。
15年前のインフェルシアとの戦いで仲間に裏切られ魔法でカエルにされたため、初登場時はカエルの姿をしています。青の魔法使い(麗)のキスで呪いが解け元の姿に戻ってからは、小津家に居候しながら兄妹たちに魔法の使い方を教えるようになります。
その後、徐々に麗との距離が縮まってお互いに惹かれ合うように。前出のキョウリュウジャーと違ってこの二人の関係性はじっくり、丁寧に描かれています。その後、紆余曲折を経てヒカルと麗は結婚、
彼は婿になることで小津家の一員となるのです。
家族戦隊の仲間に入るには自分も家族になるしかないですもんね……勉強になります。そして実はヒカル、見た目は20代にしか見えませんが御年500歳になるそうで。……結構おじいちゃんだけど大丈夫なのかな、麗。
――まだまだ紹介したい作品はあるのですが、今回はこの辺で。
最後に、スーパー戦隊シリーズ第15作目『鳥人戦隊ジェットマン』の話を。この戦隊は地球の平和そっちのけでいつも昼ドラばりの愛憎劇を繰り広げているため、恋愛に関してはあえて触れません。でもこの作品を見る度に思うことがあります。
みんな! 女は鹿鳴館香(ホワイトスワン)だけじゃないよ!
早坂アコ(ブルースワロー)の事も忘れないであげて!!!
戦隊内での恋愛ベクトルが男子全員、館香に向いていてアコが蚊帳の外なのが可哀相すぎて……恋愛するなら5人でしようよ、と心から思いました。
(Edit&Text/彩乃)