◆実は日本発!トムとジェリーの新たな試み
この『とむとじぇりー』にやけに親近感を覚える人も多いのではないでしょうか? それもそのはず、本作を制作したのはなんと日本です。
制作を務めたのは、映画『すみっコぐらし』シリーズやアニメシリーズ『アグレッシブ烈子』などを世に送り出してきたファンワークス。
ファンワークスといえば“カワイイ&ユカイ”を掲げて作品を送り出している会社ということもあり、今回の『とむとじぇりー』も日本における独自のキャラクター文化を活かしたものとして、従来の『トムとジェリー』に“カワイイ(Kawaii)をトッピング”した作品として売り出しています。
本作の初めてのお披露目は、2月のカートゥーンネットワークの放送に先駆けること約3ヶ月前。
昨年の11月にカートゥーンネットワークの日本向けYouTube公式アカウントで第1話と第2話が先行して配信されました。そこから長らく新作エピソードが登場しなかったのですが、新たなエピソードが登場したのが前述の“トムとジェリーの誕生日スペシャル”でした。今年に入って本格的にこの新シリーズを展開していくのか、第3話のお披露目と同日の2月10日には『とむとじぇりー』の公式サイトが新たにオープンしました。
動画やキャラクター紹介のほか、アイコンやパソコンやスマートフォンの壁紙が無料でダウンロードできるコーナーも用意されているなど、充実した内容となっています。
さらに2月22日には新作第4話の配信も決定。まだまだ新たな展開が期待できそうです。
日本オリジナルショートアニメーション
🐱#とむとじぇりー🐭
最新エピソードがCNとWB公式YouTubeにてついに配信開始❣2/25の#カートゥーンネットワーク #トムとジェリー 特集でも独占放送💕
さらに第4話の配信が2/22に決定✨#とむじぇり もよろしくお願いします🌟#トムジェリ誕生祭
👇第3話 pic.twitter.com/C8Gefe7pgX
— 「トムとジェリー」公式 (@TomAndJerry_JP) February 10, 2023
◆海外展開よりも国内需要に向けた企画?
『とむとじぇりー』がローマ字表記での“Kawaii”を押し出していることから、一見海外に向けて展開を意識した企画なのかと思いきや、いまのところそういった動きはないようです。
海外の報道でも、昨年の第1話の発表をきっかけにこの『とむとじぇりー』は海外のアニメーション系のニュースサイトでも驚きのニュースとして報じられています。しかし、あくまでも日本国内での動向として報じられており、世界展開については言及されていません。
海外に広く売り出していくというよりも、日本の『トムとジェリー』ファンに向けた独自のローカライズ戦略という側面が強いです。
思い返してみれば、2021年に公開された映画『トムとジェリー』のタイミングを機に、日本ではトムとジェリーが再注目されています。
展示企画である「誕生80周年トムとジェリー展 カートゥーンの天才コンビ ハンナ=バーベラ」や「トムとジェリーカートゥーン・カーニバル」が立て続けに全国を回り、変形した面白おかしな姿のトムとジェリーの姿を立体化したカプセルトイ「トムとジェリー Funny Artコレクション」やHappyくじ「TOM and JERRY FUNNY ART!」などがシリーズ化して展開されるなど、以前にも増して『トムとジェリー』の露出の機会が増えているように思えます。
『とむとじぇりー』の登場もそのブームの延長線上で、より多くの日本人に親しまれる『トムとジェリー』の形を模索した結果なのかもしれません。
いつの日か、『トムとジェリー』の日本におけるおなじみの姿が、ひらがな表記の『とむとじぇりー』のほうに立ち代っている……なんて未来もあり得るのかもしれません。
〈文/ネジムラ89〉
《ネジムラ89》
アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは『読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレター』を配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi
※サムネイル画像:Sergii Figurnyi / stock.adobe.com(画像はイメージです)
ショートアニメーションシリーズ『とむとじぇりー』公式サイト
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