※この記事では『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』のラストシーンの内容に関して具体的に触れています。すなわちネタバレ記事ですので、予め注意、ご了承の上、お読み下さい。
大人になると夢をあまり見なくなるような気がしませんか?
見たとしても、すぐに現実に引き戻されどんな夢だったのか忘れてしまいがちです。大人になると忙しくて、夢のことなんて気にかけていられなくなるものです。
私が子供の頃は夢占いなんてものにもハマってみたりして、観た夢が果たしてどんな意味なのか、逐一チェックしてみたりしていたものです。
時には自分が死んでしまうような目に合う怖い夢なんかも見たりして、あとあと自分が死ぬ夢は吉夢だと知って安堵したのが懐かしいです。
急になぜそんな夢の話をするのかといえば、『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』
が夢のような映画だったから。
主人公の典道は不思議な球体の力で、“もしも”の世界を廻ります。
『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』は300館級の大規模公開であり、『君の名は。』的な作品と思って観に行ったものの、中身は非常に癖が強い作品で、
「え、こんな映画なんだ」
という戸惑いを感じる不思議な映画でした。
中でも今回取り上げたいのはラストシーンです。
思いっきりネタバレをしてしまいますが、この映画は、典道となずなが教室に居ないというラストシーンで突如映画が終わります。
果たして、このラストシーンはどういう意味なのか。
ハッピーエンドなのか。バッドエンドなのか。
疑問に思う声も多く聞くので、掘り下げておこうと思います。
典道は最後のシーンでなぜ居ないのか?
私も当初この最後のシーンにはびっくりしました。
なぜ居ないのかは一切語られず、唐突に主人公の典道となずなの二人が居なくなってエンドロールが流れだすので、思わず「えっ」と声が漏れてしまったのを覚えています。
ラストシーンで描いているのが新学期初日と考えれば、なずなに関しては、夏休み明けで引っ越してしまっている状態と考えることもできますが、典道に関しては、先生が出席を何度も呼び掛けているように、本来居なければいけない存在――それなのに居ないという状態です。
なんらかの意味があるのは間違いないでしょう。
このシーンは、人によってはいろんな解釈の仕方ができると思います。
例えば、典道はなずなと駆け落ちに成功してどこかへ行ってしまった。
もしくは“あの”玉の力で異世界に飛ばされてしまった。
禁忌を犯した罪で現世から追放されてしまった・・・なんてファンタジックな解釈もできるかもしれません。
もしくは、アニメ映画の都市伝説の定番、“死亡説”につなげる人も居るかもしれません。
典道くんは死んでしまっていたことをあのラストシーンが示しているという見方もできるかもしれません。
で、冗談半分で登場しがち“死亡説”ですが、本作に限っては実は私はこの解釈も意外と遠くないのでは。
むしろ正解に近いものなのではないかと思っています。