様々な事情から延期を余儀なくされていた『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』(以下、劇場版)ですが、ついに9月18日より全国で上映がスタートします。
<画像引用元:http://violet-evergarden.jp/ より引用掲載 ©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会>
当初は1月公開だったため、実に8ヶ月の期間を経ての公開とあって、ファンの間でも心待ちにされている本作。
本稿では上映に先駆けて、これまでのテレビ放送分と劇場上映された外伝を紐解き、劇場版をより楽しむための3つのポイントをお伝えしていきます。
◆これまでに描かれた2つの『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』
▼テレビ版『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』
<画像引用元:http://tv.violet-evergarden.jp/news/?pageID=22 より引用掲載 ©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会>
2018年1月より1クール全13話で放送された、本シリーズ始まりの物語。
幼くして戦場に送り込まれた感情を持たない少女・ヴァイオレットが、戦争の終わった世界で、他者の手紙を代筆する自動手記人形(ドール)の仕事を通じて、大切な人に告げられた言葉の意味を探していくことが主なストーリーです。
最初こそ戦いのない世界に戸惑いながら生きる彼女ですが、話数を重ねるごとに戦いのための兵器でなく、一人の少女として人間らしく成長していきます。
▼劇場上映『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝-永遠と自動手記人形-』
<画像引用元:http://violet-evergarden.jp/sidestory/ より引用掲載 ©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会>
テレビ版より月日は流れ、ヴァイオレットは一人前の自動手記人形として仕事をこなしています。
前半では女学校に通う少女・イザベラの家庭教師として、3ヶ月を共に過ごすことになった彼女。当初こそは馴染めずいたものの、次第に打ち解けていき、別れる頃には友人として接するようになっていました。
その後、後半のメインとなるイザベラの妹・テイラーには「何かあったら自分を頼って」と手紙を送るなど、いつしか与えられる側から与える側へと成長した彼女の姿を垣間見ることができます。
◆死してなお多くの人の心に残る男・ギルベルト
<画像引用元:http://tv.violet-evergarden.jp/story/#08 ©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会>
ヴァイオレットを育てた張本人。彼が「愛してる」と残した言葉が戦後の彼女を突き動かしています。
本来は、戦死あるいは未帰還として扱われていましたが、長らくヴァイオレット本人には無事であると知らされていて、彼がもういないと告げられた際には、受け入れきれずにその姿を探し回るほど、彼女にとってなくてはならない存在でした。
ギルベルトの同期であるクラウディアや、兄のディートフリートにとってもその存在は大きく、受け入れてはいるものの諦めきれないでいる部分もある様子。
劇場版では、再びギルベルトをめぐって物語が展開されると思われ、厳密には生死不明である彼の何らかの足跡が描かれるかも……?
上映前に一度このギルベルトについて振り返っておくことで、よりストーリーに没入できるでしょう。
◆優美な背景美術と時間経過のタイムラプス演出
<画像引用元:http://tv.violet-evergarden.jp/story/#06 より引用掲載 ©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会>
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』は風景描写が綺麗な作品としても知られています。
テレビ版第3話で訪れる塔から見える夕日や、第6話で夜空に流れる彗星とオーロラなど、ヴァイオレットが依頼人以外に風景から覚える感情も多くあったのではないかと思います。
また、そんな風景描写にも種類があり、時間の経過に伴う表現として、タイムラプスのようなコマ送りが随所に使われています。
雲が流れ朝から昼、夜へと流れる時間。春から夏、秋から冬へと移ろう季節。
テレビ版はもちろん、外伝でも要所に盛り込まれたこの表現は、劇場版を楽しむ上で抑えておきたいポイントです。
――ここまで『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』について紹介してきました。
心象に強く訴えてくる作品だけあって、キーボードとタイプライター、叩いているものは違いますが、執筆中にセンチメンタルな気分になってしまいました。
晴れて公開を迎える『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』、その最終章をぜひ映画館でご覧になってはいかがでしょうか。
(Edit&Text/叶梢)
©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会