<この記事にはTVアニメ『金色のガッシュベル!!』と原作漫画『金色のガッシュ!!』のネタバレが含まれます。ご注意ください。>
『金色のガッシュ!!』の再アニメ化は十分にあり得る──?
昨年は『うる星やつら』など、昔に放送されたアニメがリメイク版として放送されて話題となりましたが、2000年代のはじめに人気を集めた『金色のガッシュ!!』の再アニメ化はあり得るのでしょうか?
◆放送済みのアニメの続編はムリ?
<画像引用元:Amazon.co.jpより>
アニメ版『金色のガッシュベル!!』(2003〜2006年放送)の続編が、2023年の5月の時点で発表されていないのは、もしかしたらアニメ終盤に登場したオリジナルによるストーリーの改変が関係しているからかもしれません。
アニメ版『金色のガッシュベル!!』と、原作の『金色のガッシュ!! 』は、それぞれ異なる形の最終回を迎えています。
アニメ版では、魔界の技術で生み出された魔導巨兵ファウードの暴走を食い止めるべくガッシュと仲間たちが死闘を繰り広げた通称「ファウード編」が事実上の最終章となりました。
しかし、原作では常軌を逸した強さで、すべての魔物の滅亡を目論む凶悪な魔物クリア・ノートに立ち向かう「クリア・ノート編」が、正式な最終章として「ファウード編」のあとに描かれています。
クリア・ノートの野望を打ち砕き、ライバルのブラゴとの決戦を経てガッシュが魔界の王となる、というのがこの原作の結末です。
アニメが原作のストーリーどおりに「ファウード編」で最終回を迎えていたのなら、続編の制作も制作陣によって早い段階で考えられたかもしれませんが、アニメ最終章の終盤で差し込まれたアニメオリジナルのストーリー改変がもしかしたら障害となって、アニメ続編の制作を難しくしているのかもしれません。
アニメ版の「ファウード編」は、物語の後半あたりから多くのオリジナル要素が盛り込まれ、原作の展開とはかけ離れた所に着地しました。最終決戦へ至るまでの過程やファウードの倒し方など、気になる箇所は多くありますが、続きを描けるかどうかに焦点を当てたとき、最も大きな問題となるのはガッシュの双子の兄、ゼオン・ベルの扱いでしょう。
原作の兄弟対決では、バオウ継承の真実やガッシュの壮絶な過去が語られたうえで、ゼオンがガッシュへの憎しみを捨てて和解、自らの強力な雷の力をガッシュに託して魔界へ帰るというドラマがありました。ここでのゼオンの改心は、後の「クリア・ノート編」でも大きな意味を持っています。
ところが、アニメ版ではバオウについての掘り下げ方が浅く、ゼオンが改心しないまま魔界へと強制送還されているのです。原作を読んでいないアニメ派の人たちの目には、彼が「弟に力負けして敗れた純粋な悪役」として映ったのではないでしょうか。
この展開を引き継いでの続編となると、最終章の「クリア・ノート編」でゼオンが力を貸してくれるシーンの辻褄が合わなくなるため、その部分がカットされるか、再びアニメオリジナルの要素を上塗りするような形になると考えられます。
よって、過去に放送されたアニメ版の続編を作ることは、原作との矛盾を生んでしまうため、極めて難しいといえるのではないでしょうか。