きょう2月2日から『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」絆の奇跡、そして柱稽古へ』の上映が始まりましたが、この映画は、公開前から映画館でも予告編などが流れていたりと盛り上がりを見せていました。そんな映画館で見られるPRに“スタンディ”があります。
名前こそ聞き慣れていなくても、大型の映画館に足を運んだ人なら誰もが見たことがあるであろう、映画の宣伝用の置き看板のことをさします。『鬼滅の刃』では毎回このスタンディを使って作品をPRしていますが、実は今年のスタンディはある問題を抱えているようです。
◆ついつい壊してしまう『鬼滅の刃』スタンディ
『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」絆の奇跡、そして柱稽古へ』のスタンディのデザインは以下の通り、メインビジュアルをアレンジした大型の物となっています。年明けには各所のシネコンにて設置されていたので観たという人も多いでしょう。
<撮影/ネジムラ89、以下同>
今回のメインビジュアルには、『刀鍛冶の里編』のクライマックスを思わせる気迫で刀を振る炭治郎と、その対面にはこの春から放送が予定されている『鬼滅の刃』柱稽古編に合わせて各柱の面々が勢揃いしたオールスター状態になっています。これだけ派手なスタンディともなると思わず写真を撮りたくなりますし、実際スタンディはそういった撮影を促してSNSで拡散してもらうねらいのデザインのスタンディも多いです。
しかし、今回の『鬼滅の刃』のスタンディには、ここで一つ大きな問題がありました。それはスタンディと一緒に写真に映ろうとしたときに思わず中央のスペースに入り込みたくなるデザインになっている点です。
『鬼滅の刃』のスタンディは大型で自立させるためなのか、前方が重りとなるように立体的に箱状になっています。一見丈夫そうではあるのですが、さすがに人間の体重を支えるのは難しく、撮影しようと思わずスタンディに足をかけて壊してしまう事例が発生しているようです。
実際に先ほどの写真をよく見ると、炭治郎と柱の間のスペースの足場が壊れてしまっています。「うっかり誰かが踏み抜いてしまったんだろうな」という想像ができます。
実はこの例は、ほかの映画館でも発生しているようなのです。
大阪・TOHOシネマズなんばで見つけた同じデザインのスタンディには、筆者が訪れた際には既に踏まないようにという警告のシールが貼られているうえ、すでに誰かに踏まれてしまった跡がありました。どうやら鬼滅の刃のスタンディをうっかり踏んじゃう事故が各所で発生しているようです。
◆実は構造の問題?他のスタンディはどうか?
踏んでしまった人の注意不足といってしまえばそれで終わりなのですが、その間のスペースに入り込んで撮影したいという気持ちも分かるので一方的に悪いとも言えないという気持ちも湧いてきます。というのも、最近の立体的なスタンディでは、スタンディの間に入り込んで撮影するデザインのものも多いからです。
最近のものでは『ONE PIECE FILM RED』のアンコール上映の際に用意されたスタンディは、ルフィとウタと一緒に写真が撮れるフォトスポット形式のスタンディとなっていました。こちらはもともと人がスタンディの間に入ることを前提としたデザインとなっていたので、『鬼滅の刃』のように踏み抜かれる心配はありませんでした。
より凝ったものでは『映画プリキュアオールスターズF』のスタンディが秀逸。プリキュアたちがフォトフレームのようになっていて、その間に入り込んで写真が撮れる構造になっていました。
こういった入り込むフォトスポット形式のスタンディの例は少なくなく、今回の『鬼滅の刃』のスタンディもそれらと同じようなタイプのスタンディと思い込んで思わず近寄りすぎてしまったと考えられます。
◆これが初めてじゃなかった?歴代『鬼滅の刃』のスタンディ
今までの『鬼滅の刃』のスタンディはどうだったでしょうか?
昨年上映された『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』でも、今年と同じように大型のスタンディが用意されていました。しかし、昨年のデザインは中央に炭治郎、そして左右に各柱のメンバーが据えられたデザインとなっていて、うっかり踏み抜いてしまうような物ではありませんでした。こういったデザインであれば問題はないのでしょう。
「今年はうっかり発生してしまった事故なのか」と思いきや、さらに遡って写真のデータを見返したところ、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』のスタンディの写真をスマホ内から発見。現在はティジョイ梅田へと転身している当時の大阪・梅田ブルク7にて撮影したこちらの大型のスタンディには驚くべき掲示が添えられていました。
なんと“危ないので座らないように”という警告が掲示されている様子が確認できました。実際に座った人がいたのかは不明ですが、どうも『鬼滅の刃』のスタンディの前方部分が踏まれてしまう問題は今回が初めてではなかったようです。
みなさんもこれから映画館へ行って『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」絆の奇跡、そして柱稽古へ』のスタンディを見かけるかもしれませんが、うっかり踏み抜いて壊さないようにだけ注意しましょう。
〈取材・文・撮影/ネジムラ89〉
《ネジムラ89》
アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは『読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレター』を配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi
撮影場所:大阪・TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、大阪ステーションシティシネマ、シアタス心斎橋、梅田ブルク7
ワールドツアー上映「鬼滅の刃」絆の奇跡、そして柱稽古へ
©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable