◆巨大熊赤カブトの首も落とす「絶・天狼抜刀牙」──『銀牙 -流れ星 銀』
絶・天狼抜刀牙は熊犬であるリキやその息子の銀らが使う技で、ほかにも7つの抜刀牙があります。
その中でも究極の技とされている絶・天狼抜刀牙は、使われている漢字のセンスや語呂の良さでも、ほかの抜刀牙より頭ひとつ抜けている感じがあり、名前の初めに「絶」という漢字を一文字置くセンスがすばらしいです。
絶・天狼抜刀牙は『銀牙 -流れ星 銀』の続編の、『銀牙伝説WEED』でも唯一使われる抜刀牙で、作者である高橋よしひろ先生の思い入れも強いのかもしれません。
この技は、前転運動による縦回転の力と円を描く動きによる遠心力を利用して相手を牙で切り裂きます。主人公の銀は宿敵の巨大熊赤カブトの首を、絶・天狼抜刀牙ではね飛ばしました。
このことから犬が放つ技でありながら、名前負けしない威力と切れ味を持っているということが分かります。
◆中二病心をくすぐる「邪王炎殺黒龍波」──『幽遊白書』
飛影が使う自分の妖気を餌にして魔界の龍を呼び出す技で、カッコいい漢字ばかりを集めましたという技名は中二病心をくすぐります。ジャンプ史上でもトップレベルの人気がある技名といってもいいでしょう。
暗黒武術会の是流戦では、この邪王炎殺黒龍波で相手の影だけを残して焼き尽くしました。ただ、この時点では未完成の技であり、暗黒武術会決勝の武威戦では、はね返された黒龍を飛影が取り込むことでパワーアップ。黒龍をまとった飛影が武威を圧倒して勝利しました。
二段構えの技となっており、黒龍を放つ飛影も黒龍をまとう姿もイケています。圧倒的な技の威力とカッコよさにふさわしい迫力のある名前となっています。
──奥義クラスの技ともなると、威力や技そのもののカッコよさだけでなく、技名にも作者のこだわりや思い入れが入っているのかもしれません。
最近でも、『鬼滅の刃』の呼吸や『呪術廻戦』の領域展開など、中2心をくすぐる技が『ジャンプ』には登場。『ジャンプ』からは、イカした名前の技が今でも多く生み出されています。
ストーリーやキャラクターが魅力的なのはもちろんですが、技の名前にも作品の面白さを引き立たせる要素がたくさん詰まっているのも、『ジャンプ』作品が人気を集める理由の一つかもしれません。
〈文/諫山就〉
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