「アニメが好き」と言っても、TVアニメは長いし多いしで、体力が続かず苦手。

 ほぼほぼアニメーションの映画ばかりを観ているそんな私が、あまりの面白さに観るのを止められず3クール分のエピソードを一気に観てしまうという衝撃的なアニメを見つけました。

 それが『バキ』です。

<画像引用元:https://baki-anime.jp/ より引用掲載 ©板垣恵介(秋田書店)/バキッッ製作委員会>

 誰もが一度はその名を聞いたことがある作品だと思うのですが、それぐらいの距離感の人にこそ、ぜひ体験して欲しいアニメだったのです。

◆『バキ』とは?

 そもそも『バキ』とは、「週刊少年チャンピオン」にて連載されている板垣恵介先生によって描かれた格闘漫画シリーズ。

 元々は『グラップラー刃牙』というタイトルで連載しており、『バキ』『範馬刃牙』『刃牙道』、そして現在は『バキ道』というタイトルで連載しています。タイトルこそ変わっていますが、基本的には格闘家の範馬刃牙が、様々な格闘家たちとの闘いを繰り広げるという内容です。

 そんなシリーズの中の2つ目のシリーズであり、シリーズの25周年記念として2018年にアニメが制作されたのが『バキ』です。第1期と第2期にかけて全39話が制作されました。

◆バイオレンス描写が苦手だった『バキ』シリーズ

 そんな『バキ』シリーズですが、実はTVアニメを観る前は苦手意識が強かったのです。

 というのも、本作では格闘家たちの桁外れの実力の結果、登場人物の顔面が崩壊するのは当たり前、指や腕は粉々に折れるわ、最悪の場合は人間の原型を留めていないような状態になってしまうようなバイオレンス描写にあふれています。

 また、板垣恵介先生の写実的なイラストがより迫力があり、多少グロテスクな描写は観れる自負があった私も、その痛々しい表現を想像してしまいページをめくるのが怖い、という作品だったのです。

◆アニメはハマってやめられなくなった!

 そんな漫画シリーズに苦手意識が強かった私が、たまたま寝る前に『バキ』の1話だけを観始めてびっくり。これが面白い! 面白くてやめられない! 1話、2話、3話......とどんどん続きが気になって止まらなくなり、ついにはそのまま寝ずに夜明けを迎えてしまったのです! こんなにアニメにハマったのはいつぶりぐらいだろうというほどの体験でした。

 『バキ』では、世界各地から凄腕の死刑囚たちが「敗北を知りたい」という目的のためだけに、各地から東京へ集まるところから始まるのですが、この死刑囚たちの異常な強さの表現がすでにフックとして強烈。ある者は絞首刑を耐え、ある者は電気椅子を耐え、そしてある者は凹凸のない100mのミサイル発射口をよじ登り、そしてある者は水深200mからその身一つで脱出して泳いで現れる.....しかもそれぞれあり得ない方法で人を無残に殺していきます。「こんなすごいやつらにどうやって勝つんだ!?」という疑問をもったが最後。その結末が知りたくて、アニメを観るのをやめられない自分がいたワケです。

◆アニメは抵抗なく観られた理由

 私が惹かれたストーリーや演出はいずれも、原作にもあったもの。しかも私が苦手としていたバイオレンス描写も、Netflixでの配信の際には躊躇なく映像化に挑んでいます。もちろん目を覆いたくなるようなシーンも度々あったのですが、それでも私がアニメシリーズを観ることができたのは、漫画とは違って多くのバイオレンス描写がそのまま流れていくものだったから。

 漫画だとどうしても自分の手でページをめくりながらまじまじと展開を追う必要があるのですが、アニメなら多少ショッキングなシーンが登場しても、そのまま展開が勝手に進んでいくので、能動的に進めていく必要がありません。受動的なスピード感のおかげで漫画を読むときに感じた忌避感が和らいでいるのを感じました。

 こういった形で漫画原作とそのアニメの違いを感じる体験は初めてだったので、『バキ』の内容にはもちろん、『バキ』にハマっている自分にも驚きを感じています。

 もしかすると、私のように『バキ』のバイオレンス描写が苦手という人も、アニメシリーズだとその要素が和らいで楽しめるかもしれません。

◆『範馬刃牙』が待機中!

 そんな『バキ』シリーズは第三部である『範馬刃牙』の制作が発表済み。

 『バキ』がとても楽しみな終わり方をしていたので、おそらくこのシリーズはリアルタイムで楽しむことができそうです。

 『バキ』の面白さを知ってまだ間もないのですが『バキ』ロス体験をしているので、せっかくなので00年代に放送された『グラップラー刃牙』シリーズや、苦手意識を持っていた原作漫画にも勇気を持って手を出してみようかと考えています。

 私のように『バキ』が苦手だったあなたも、もしかしたら潜在的な『バキ』ファンかもしれませんよ?

〈文/ネジムラ89〉

《ネジムラ89》

アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは『読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレター』(https://note.com/nejimura89/m/mcae3f6e654bd)を配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi

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