ずーっと劇場上映を待っていたアニメーション映画が、劇場上映を差し置いて2018年夏にNETFLIXで配信がスタートしてしまいました。
その作品こそ、中国の長編アニメーション映画『紅き大魚の伝説』。
この映画、知る人ぞ知る大傑作映画でして、必見の作品となっております。せっかく配信が実施されたので、この機会に推しておきたいのです。
中国アニメ映画のヒット作品『紅き大魚の伝説』
この『紅き大魚の伝説』は2016年に中国で公開されたアニメーション映画です。中題は『大魚海棠』。日本でも東京アニメーションアワードフェスティバル2017にて『ビッグフィッシュ&ベゴニア』のタイトルで限定的に上映が実施されたことがあります。
本作の主人公は異世界に住む少女チュン。彼女は人間界にてとある青年に命を助けられるのですが、それをきっかけに青年は命を落としてしまいます。チュンはその借りを返すべく、自らの寿命を半分捧げて青年を救おうとするのですが、その行為が異世界に大きな異変をもたらす一大事へと発展していく……物語となっています。
自国制作のアニメーションのヒット作が限られている中国において、本作は記録的大ヒットを果たしカルト的な人気を得ており、今なお中国での成功作品として度々名前が挙がる作品です。
独自の世界観で描く“恋愛アニメ映画”?
本作の魅力はなんといっても世界観。
幻想的かつ独特な形態を持つキャラクターが多数登場しており、それをなんとなく見ているだけでも面白いです。また異世界の建造物や景観もまた壮大で綺麗。西洋ファンタジーとは異なる東洋らしい神秘的な描写には、同じアジアの一員として、馴染み深い気持ちを感じる瞬間もあるのではないでしょうか。
また独自の世界観で織り成す寓話的な作品である一方で、実は恋愛映画の側面を持っているというのも私が推したいポイント。チュンのことを慕うチウという異世界の男の子が登場するのですが、彼がまた本作のキーキャラクター。
人間界の青年のことばかり気にかけているチュンを見守る立場のチウが非常に切なく、最終的にチウが選択する結末の心苦しいことといったら、たまらないのです。チウ視点でこの映画を観るとまた味わい深く、心にズッシリとくる物語となっています。恋愛アニメ映画好きな人にはマストチェックな一品です。
まだ諦めないぞ!劇場上映
ただ一点惜しいのは、本作がNETFLIX配信となってしまったこと。
2017年の日本上映時には、2018年の日本公開が予定されていることが監督より明言はされていたのですが、なかなかうまく事が運ばなかったのか、劇場上映という形では2018年9月現在でも実施のアナウンスはされていません。
ネットで配信されたのだし、日本語吹き替え版も観られるのだから良いじゃないかという意見の人も居ると思うのですが、こと『紅き大魚の伝説』に関しては、実際に劇場で観たことがある身として断言しておきたい内容として、完全な映画館映えする映画であることを主張したいです。
どこまでも続く山々、陽に照らされた空を飛び行く鯨の群れ、天から滝のように降り注ぐ水流。スクリーンサイズで観るからこそ、生まれる感動が『紅き大魚の伝説』にはあるので、どうにか全国的に劇場で拝める機会を日本で用意して欲しいと願うばかりです。
あくまでもこれが劇場公開に先駆けた“先行配信”であることをささやかながら願っております。いつか劇場上映があることを私は信じ続けるぜ!なむなむ。
(Edit&Text/ネジムラ89)