2021年3月12日から4日間の日程で開催された「東京アニメアワードフェスティバル2021」(TAAF2021)において、「アヌシー国際アニメーション映画祭2020」クリスタル賞受賞映画『カラミティ』の日本語吹替え版がオープニング作品として招待上映された。
本映画は「東京アニメアワードフェスティバル2016」(TAAF2016)にてグランプリを受賞し、日本で公開された際、スマッシュ・ヒットとなった、アニメ映画『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』のレミ・シャイエ監督の最新作。伝説の女性ガンマン、カラミティ(厄介者)・ジェーンの少女時代が作中を通して描かれている。
今回、アニギャラ☆REWでは、映画『カラミティ』の主人公、マーサ・ジェーンのライバル、イーサン役を演じる畠山航輔さんへインタビューを実施。イーサン役が決まった時の心境や、役との向き合い方、作品の注目ポイントなどについて語っていただいた。
◆イーサン役は新しいチャレンジになってワクワクした!
――イーサン役が決まった時の心境を教えてください。
畠山航輔さん(以下、畠山さん):吹き替え作品で役を演じるのは、初めての経験でした。前々から吹き替えをやってみたかったので、役が決まった時はすごく嬉しかったです!
今回演じたイーサンは、年頃の男の子特有の意地悪さを持ったキャラクターで、彼のような性格の役を担当することって実はこれまであまりなかったんです。だから新しいチャレンジとなり、すごくワクワクしたのを覚えています。
――イーサンはどんなキャラクターなのでしょうか?
畠山さん:イーサンは幌馬車隊の隊長、アブラハムの息子です。隊長の息子なのでワガママが通りやすく、マーサたちをからかったり、いじめたりもします。ちょっとやんちゃな感じですね。でも実は、マーサに対してほのかに恋心を抱いていたり、お父さんのことをすごく尊敬していたりと純粋な部分もあります。そういう意味では可愛らしい子なんだなという印象を持っています。
<畠山航輔さんが演じるイーサン>
◆意地悪さよりも純粋さをメインに芝居したと思う
――役を演じるうえでこだわったポイントや、役との向き合い方を教えてください。
畠山さん:イーサンは作中で、マーサに対して強く当たってしまうことがすごく多いんですけど、先程も話したように、隊長であるお父さんのことを尊敬して大事だと思っていますし、マーサに対してはライバルでありつつも恋心を抱いています。そういった彼自身の少年らしさや、ある意味での純粋さみたいなものを大事に演じた方がいいのかなと思って、意地悪さよりもその純粋さをメインに芝居したと思います。
――イーサンと御自身が似ているなって思う部分はありますか?
畠山さん:そうですね、素直になれないところが似てるなぁ、と思いましたね。イーサンは、マーサに対して恋心を抱いていますがなかなか素直になれません。僕は、褒め言葉に対して素直になれないことが多くて「あの作品良かったよ!」とか「あそこの芝居すごく良かったよ!」と言われた時、心の中では「よっしゃー! めちゃめちゃ嬉しい!」といった感じで喜んでいるのですが、表面上は「あぁ、ありがとうございます……」みたいな感じでけっこう冷たく対応してしまうことがあります。そんなところが、わりと似ているなと思いました。
◆映画『カラミティ』は全世代に共通するようなテーマを掲げた作品だと思う
――映画『カラミティ』の見どころや、ここに注目してほしい点を教えてください。
畠山さん:『カラミティ』という作品は、けっこういろんなテーマを内包していると僕は思っています。大自然が舞台の映画なんですけど、その自然の中で生きる動物たちもリアルに描かれていています。生きている動物たち以外にも、死んでいく動物たちも描写するなど、生きるという部分だけじゃなく、死の部分も描くなど、自然界の畏敬の念を見せている部分が一つの見どころです。
また、社会的な背景もしっかりと作中で描写されています。開拓団が活躍した時代背景の描写はもちろんですが、マーサたちが女の子だからこうあるべきとか、男だからこうあるべきだみたいなそういった固定観念と言いますか、そういった部分もけっこうリアルに描かれています。『カラミティ』を通じて、この時代はこんな感じだったんだなっていうように、わかっていただける。そんな作品になっていると思います。
――最後に映画の公開を楽しみに待っている方々へメッセージをお願いします。
畠山さん:いろんなテーマを抱えた作品かつ、登場人物がいろいろと出てくるので、一瞬一瞬が素早く展開されています。だから、あきることなく、楽しんでいただけると思います。
『カラミティ』は作中において、全世代に共通するような、テーマを掲げているので、若い方々にも、お年を召された方々にも愛されるような作品になっています。ぜひ、見ていただけたら嬉しいです。
〈取材・文・撮影 /水野ウバ高輝〉
◆映画『カラミティ』作品概要
【ストーリー】
『カラミティ』は、西部開拓史上、伝説の女性ガンマンと知られるマーサ・ジェーン・キャナリーの子供時代(11歳)の物語です。マーサは家族とともに大規模なコンボイ(旅団)で西に向けて旅を続けていますが、旅の途中、父親が暴れ馬で負傷し、マーサが家長として幼い兄弟を含め、家族を守らなければならない立場になってしまいます。普通の少女であったマーサは、乗馬も、馬車の運転も経験がありません。そんなマーサは、少女であることの制約に苛立ち、家族の世話をする義務をよりよく果たすために少年として服を着ることを決心します。女性は女性らしくという時代にあって、マーサの生き方は、古い慣習を大事にする旅団の面々と軋轢を生みます。更にマーサを野獣からの危険から救ってくれた中尉をコンボイに引き入れたことで、盗みの共犯の疑いまでかけられてしまいます。そして・・・。
【作品情報】
■タイトル: カラミティ
■監督: Rémi Chayé レミ・シャイエ
■原題: Calamity, Une Enfance de Martha Jane Cannary
■英語題名: Calamity, a childhood of Martha Jane Cannary
▼公式サイト
▼公式Twitter
https://twitter.com/calamity_movie
2020年|フランス・デンマーク|フランス語|日本語字幕|日本語吹替え|DCP|カラーCS|82分