昭和から令和へのタイムスリップを通して世代ギャップを描いたドラマ『不適切にもほどがある!』が話題を呼びましたが、アニメでも以前は放送できたのに今の時代に放送すると炎上するものがあります。そのアニメには『ちびまる子ちゃん』や『サザエさん』など国民的なアニメのエピソードも含まれます。また、不適切な面だけでなく、出演声優が昭和の歌謡曲を歌うなど、昭和を懐かしむ試みがなされたアニメもあります。
◆令和では放送できない「不適切にもほどがある」アニメ描写
アニメには以前は放送できたものの、今では「不適切!」と言われかねないバイオレンスなシーンがあります。
●まさに「バイオレンスサザエさん!」──『サザエさん』
『サザエさん』は今でこそ古き良き家族の姿が描かれていますが、放送初期は首を絞めたりハサミを持って追いかけまわしたりするバイオレンスなシーンがありました。
このアニメは1969(昭和44)年から放送が始まりました。現在はホームドラマの色合いが濃い作品ですが、放送当初はドタバタしたギャグコメディ調の作品で、アブないシーンも描かれています。
たとえば、記念すべき第1回では、カツオが誤って親戚のはま子おばさんの首をロープで締めるシーンがありました。ほかにも、フネが波平へのラブレターを発見してハサミを片手に彼を追いかけ回し、残り少ない髪の毛を切り落とそうとします。
また、過激なシーン以外にも、マスオとワカメが訪れた病院で、ヒトラーを称賛する「ハイル・ヒトラー」の掛け声を発する人がいたり、実は訪れた病院が「阿呆精神病院」というひどい名前だったりしました。これは現代なら「不適切にもほどがある!」と言われ、テレビで放送できないでしょう。
●災害の現場で「記念撮影!?」──『ちびまる子ちゃん』
『ちびまる子ちゃん』では、1974年に起きた七夕豪雨での経験を元に、今では放送できないようなまる子たちの町が洪水に襲われる話が描かれました。
この作品の作者であるさくらももこ先生は、1974年に静岡県を襲った七夕豪雨を経験し、その体験を元に「まるちゃんの町は大洪水」という話を描きます。
この話ではまる子たちの町が豪雨に襲われて洪水が起きますが、まる子は災害という実感がなくやじ馬のように現場を見に向かいました。そこにはまる子のほかにも多くのやじ馬がいてビデオで撮影したり、洪水で流れてきたものに歓声をあげたりします。
まる子もイベントと勘違いしているのか、洪水現場を背景に記念撮影を始めました。
その後、まる子は変わり果てた街の姿や、屋根の上に避難する友達のたまちゃんを見て、ショックを受けます。そして、この出来事は忘れられないものとして、胸に焼き付けられました。
この話は原作が1988(昭和63)年に発売されたコミック第2巻に収録され、アニメは1990(平成2)年に放送されましたが、前半の不謹慎な様子から現在では到底放送できないでしょう。『サザエさん』と同様に、「不適切にもほどがある!」と言わざるを得ません。
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◆ドラマ『不適切にもほどがある!』だけじゃない“昭和レトロ”な3つのアニメ
昭和を思わせるアニメは、4月から放送が始まった『アストロノオト』だけでなくほかにも存在し、中には出演声優が懐かしの「あの曲」を歌うなど、昭和の時代に青春を過した人にはたまらない演出がなされた作品もあります。
●『かんなぎ』──中山美穂さんの「あの曲」のオマージュ
『かんなぎ』のオープニングテーマ「motto☆派手にね!」は、中山美穂さんの「「派手!!!」」のオマージュだと考えられます。
「「派手!!!」」は中山美穂さんが中山美穂役で出演したドラマ『ママはアイドル!』(TBS)の主題歌で、歌詞の内容も派手すぎて悪目立ちすることをたしなめるような、ひめやかに愛を育むことを応援する歌です。
一方で『かんなぎ』の主題歌「motto☆派手にね!」は、タイトル通り内気で地味になりがちな人に対し、もっと派手にアプローチしていくことをすすめる内容なので真逆のアプローチになっています。
曲調も80年代アイドルソングらしい仕上がりで、山本寛監督が直々に作詞するだけのこだわりが反映されているといえるでしょう。
もちろんオープニングの映像でも監督のこだわりをうかがい知ることができ、アイドルを取り巻く芸能界の風景を描いています。
のちに『Wake Up, Girls!』でアイドルアニメを作ったことや、川島海荷さん主演の映画『私の優しくない先輩』を撮ったことなども考えると、山本監督にとってアイドルがとても大切な存在ということが伝わってくるのではないでしょうか。
●『夏のあらし!』──あの懐メロを声優が歌唱!
『夏のあらし!』のオープニングテーマ「あたしだけにかけて」は、全13話の間に毎回サビ以外の部分の歌詞が変わる13番まである曲です。
その変化する歌詞の中には、昭和の歌謡曲や懐メロを思い起こさせるキーワードが散りばめられています。
歌っている面影ラッキーホール自体が、昭和歌謡のパロディソングを作っているバンドでもあるので曲のクオリティーも非常に高いです。
映像も実在するレコードジャケットのポーズをキャラクターたちが次々に再現していくもので、網羅的にすべての元ネタを発見できる気がしないほど多数の構図が登場しています。
また、タイムリープ物でもあるので、各回のサブタイトルが懐メロの曲名になっていたり、挿入歌として、山本リンダさんの「どうにもとまらない」や、チューリップの「心の旅」、山口百恵さんの「プレイバックPart2」を出演声優が歌ったりするなど、昭和を思わせる試みが作中ふんだんに盛り込まれています。
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〈文/アニギャラ☆REW編集部 @anigala01〉
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