アニメや漫画の中には、緻密な伏線が張られている作品があり、それは第1話でほのめかされていることもあります。次のアニメ・漫画は、ファンに「神がかっている!」と驚かせた作品です。
◆神がかった“伏線の回収”を見せた漫画
漫画の何気ないシーンが伏線となり、読者を驚かせることは少なくありません。次の作品は、「神がかった伏線回収」とファンの間で話題となりました。
●「死神リュークの口癖」に隠された驚きの展開──『DEATH NOTE』
死神リュークは、「面白(おもしろ)」というセリフをたびたび使っています。
好奇心旺盛なリュークの性格を考えると、このセリフはただの口癖のように聞こえますが、漫画のラストシーンで、彼の恐ろしい本性を表しているセリフだったことが分かります。
月は物語のラストで瀕死になり、相棒のリュークに助けを求めます。これまで、冷酷非道な月の行いを「おもしろ」と言って一緒に楽しんでいたリュークですが、月がほかの人間と同じように命乞いをする姿を見て幻滅。月に興味を無くしたリュークは、デスノートに月の名前を書き、あっさりと彼の命を奪うのです。
この行動によって、リュークは月という相棒に思い入れがあったのではなく、人間の残忍な考えを「おもしろい」と感じていただけということが暴露されました。
『DEATH NOTE』の伏線二つ目は、月の「新世界の神となる」というセリフです。
月はデスノートを拾ったことで、「新世界の神となる」という野望を持ちますが、その野望は果たされず、彼は生涯の幕を閉じます。
しかし、ある意味で月は野望を達成していたのかもしれません。
それが分かるのは、漫画のラストで描かれた空に浮かぶ月を崇めている人々のシーンです。
この人々は、月によって消された悪人たちに苦しめられていた者たちだと考えられます。
空に浮かぶ月を依り代にして、苦しみから解放された感謝や、月の復活を願っていたのではないでしょうか。
月は、「悪人がいない世界の神」にはなれなかったものの、「悪人に苦しめられた人々の神」にはなれたのかもしれません。
●「エレンの母親を葬った」のはまさかの──『進撃の巨人』
『進撃の巨人』は、未来のエレンが過去に遡って、巨人が現れた日に干渉していました。
その伏線が、第1話で父親のグリシャがエレンに「帰ったら……ずっと秘密にしていた地下室を……見せてやろう」と言ったシーンです。
第1話の時点では、子供のエレンに向かって言っているように思えたシーンですが、第121話を見てみると、グリシャの視線は大人のエレンの目を捕らえて話しているように見えました。
そのため、このセリフは大人になった未来のエレンに対して言っていたことが分かります。
また、不慮の事故だと思われていたエレンの母親の死も、未来のエレンが介入した結果の一つでした。
巨人が初めて現れた日に遡ったエレンは、自分の母親を食べたはずの巨人が、母親ではなくベルトルトを襲っている場面に遭遇します。
ベルトルトをこの時点で殺すわけにはいかないエレンは、巨人を母親の元に向かうように仕向けたのでした。
そして、漫画のタイトルとなっている“進撃の巨人”の意味。これは、第88話「進撃の巨人」で、エレンが身に宿している巨人の名前であることが明かされました。
進撃の巨人は、かつて父親のグリシャが持っていた能力で、エレンがグリシャを食べたことで引き継がれました。
詳しく読む⇒神がかった“伏線の回収”を見せた4つの漫画 「最終回は第1話で決まっていた?」「表紙に隠された死亡フラグ」……
◆1クールで伏線を回収しきった驚きのアニメ
作品において「伏線回収」は読者を大いに盛り上げる重要な要素の一つです。伏線回収が秀逸なほど、「こういうことだったのか!」と読者に驚きと興奮をもたらします。次の3つのアニメも1クールという短さで見事な伏線回収を見せて、視聴者から高く評価されました。
●最終回で怒濤の伏線回収——『オッドタクシー』
『オッドタクシー』は最終話で怒濤の伏線回収を見せ、多くの視聴者を驚かせました。
本作はP.I.C.S.とOLM.が共同制作したアニメオリジナル作品です。登場人物が全員動物という愛らしい姿をしていますが、内容はかわいい姿と反して本格ミステリーもの。セイウチの姿をしたタクシー運転手の主人公・小戸川は、とある人を乗車させたことで女子高生行方不明事件の犯人とうわさされ、事件に巻き込まれていくのです。
そんな本作には1話から多くの伏線が張られていました。たとえば、タクシーのお客から「なんでタクシー運転手になろうと思ったの」と聞かれたときには、なぜか人間のシルエットの回想が映ります。ほかにも、唐突に小戸川が通院する主治医から「俺は何に見える?」と聞かれ、「ゴリラだ」と答えるシーンがありました。
ほかにもさまざまな伏線が張られ、それらの伏線は最終回で見事に回収されます。女子高生行方不明事件の犯人や、動物の姿で描かれている理由も判明し、怒濤の伏線回収は多くの視聴者を驚かせました。
しかし、もっとも視聴者を驚愕させたのが不穏なラストです。誰も予想しなかったラストには「ラストがすっごい怖いんだが」「バッドエンドのホラー映画を見た感じ」と声が上がりました。
そんな衝撃のラストの続きは映画にて描かれています。また、YouTubeで公開されているオーディオドラマには、犯人が所持していたとあるものの正体が描かれていました。
アニメだけでなく映画、オーディオドラマを見ることでさまざまな謎が解けるので、アニメ→オーディオドラマ→映画の順番で観てみるといいでしょう。
●緻密な構成で1クールにまとめ上げた——『彼方のアストラ』
『彼方のアストラ』はスケールの大きい話にもかかわらず、伏線を残さず回収して見事に1クールで描ききりました。
このアニメは『少年ジャンプ+』で連載されていた同名漫画が原作です。宇宙旅行が当たり前になった2063年を舞台に、ケアード高校の9人の学生が学校主催の惑星キャンプに向かいます。
しかし、到着した惑星で謎の球体に襲われた主人公らは宇宙空間に放り出され、近くを浮遊していた宇宙船に避難しました。船に乗りいくつかの惑星を経由して帰還しようとする主人公たちですが、9人の内の誰かが宇宙船の通信機を意図的に壊したことが発覚します。主人公らは仲間の中に黒幕がいると疑惑を抱えながら、元いた惑星を目指すのです。
そんな本作には、9人のメンバーや世界にかかわる重大な伏線が張り巡らされていました。
このように本作はスケールの大きい話でありながら、伏線を見事に回収して、ストーリーもキレイにまとめ上げています。これには視聴者からも「キレイに終わってよかった」「壮大にちりばめた伏線を見事に回収した」と高く評価されました。
詳しく読む⇒「神すぎる!鳥肌が立った!」1クールで伏線を回収しきった驚きのアニメ3選 『オッドタクシー』ほか
〈文/アニギャラ☆REW編集部 @anigala01〉
※サムネイル画像:Amazonより