『週刊少年ジャンプ』の主人公は親が最強キャラというケースが多いですが、親が平凡な一般人にもかかわらず作中で無類の強さを見せる主人公キャラもいます。あのキャラはなぜ、作中最強の力を手にしたのでしょうか? また、漫画・アニメの中には、「ちょい役」だったはずが、ヒロインにまで成長したキャラが存在します。なぜあのキャラは「ちょい役」だったのにヒロインに昇格したのでしょうか?
◆親が強キャラじゃない主人公たち
『週刊少年ジャンプ』のバトル漫画では、『幽☆遊☆白書』の浦飯幽助のようにものすごい修業をして強くなるも、実は親がエリートだったという設定の主人公が多いです。
次の2人の主人公は親が強キャラという設定がないにもかかわらず、強くなったキャラクターたちです。彼らが強くなれた要因は、いったいどのようなものだったのでしょうか?
●紛争地帯でゲリラ兵として育った冴羽獠──『シティーハンター』
冴羽獠は飛行機の墜落事故によって、幼い頃に紛争地帯に投げ出されています。その事故で失った両親の素性は謎であり、内戦国のジャングル地帯で海原神に拾われてゲリラ兵として育て上げられました。
時代は違えども銀時と同じく戦場で育ち、もはや努力の域を超え、生き残るために必死に戦っていたのだと思われます。兵士としての師匠であり、父親のように慕っていた同じ日本人である海原に出会えたことが、獠の強さに繋がったといえるでしょう。
その後、アメリカに渡って世界一のスイーパーと謳われるほどになりました。ただ、これも『シティーハンター』が始まる前の設定となります。
墜落事故が物心つく前であったため獠は自分の年齢を知らず、20歳だと言い張っていました。さすがにそれでは香よりも若くなってしまうということで、作中で獠の誕生日を祝う際に年齢を決めて30歳(仮)という設定に。
獠は普段おちゃらけた感じで女性ばかりを追いかけていますが、射撃練習はよくやっており、香がいないときには筋トレもしています。あまり描かれていませんが、スイーパーとして体を鍛える努力を怠ることはありません。
●14歳から人斬りの道を歩み始めた緋村剣心──『るろうに剣心』
緋村剣心は幼少期から天涯孤独の身で、人買いに捕まったうえ山賊に襲われて、1人生き残ったところを後の師匠となる比古清十郎に救われました。剣心は剣術の素質は高かったものの、彼の親が優れた剣士だったという設定はありません。
両親についての情報はほとんどなく、当時の流行り病コレラで他界したということです。剣心は清十郎のもとで飛天御剣流の修業を受け、世の中の動乱を終わらせるため山を下り、14歳で人斬りとしての道を歩み始めます。
もし親が有名な剣士であったなら、剣心の人斬りとしての名声が高まる過程で大久保利通ら幕末の重鎮から「●●の子」として認識されていたハズ。そういったやり取りが作中になかったということは、剣心が強くなれたのは良い師匠に巡り合い、命を賭けた斬り合いの中で技を磨いたからでしょう。
剣心は当初30歳だったものの、担当編集から「少年漫画で三十路の主人公は……」と言われて、28歳という設定になりました。つまり、清十郎のもとを去ってから14年間、命の奪い合いが当たり前の時代をがんばって生き抜いたわけです。
ただ、『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』がスタートした時点で、剣心は既に幕末最強と言われる伝説の人斬りとなっていました。剣心のこういった努力は、物語が始まる前の設定になります。
そのため、再び清十郎のもとに戻って飛天御剣流の奥義を習うまでは、神谷道場で買い出しや家事をこなす涙ぐましい努力のほうが目立っていたかもしれません。
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◆ちょい役からヒロインになったキャラ
アニメ・漫画では1話だけの登場予定だったキャラクターが、人気が出過ぎて出番が増えていくことがよくあります。次のキャラクターは最初はちょい役ポジションだったのが、その後晴れてヒロインになり作中で活躍しました。
●最初は1話限りのゲストキャラだった?──『うる星やつら』ラムちゃん
今でこそ国民的アニメキャラのラムちゃんですが、『うる星やつら』初期の時点で第1話にしか登場しないキャラの予定でした。
第1話ではあたるとラムちゃんが地球の運命をかけて鬼ごっこをしており、あたるからプロポーズをされたと勘違いします。そこでラムちゃんの出番は終わる予定でした。
しかし作者の高橋留美子先生が、第3話の構成を考えていたときにアイデアが出なかったため「苦しまぎれ」ということでラムちゃんを再登場させ、それ以降はメインキャラクターになります。
こうして第3話になって夫婦が同居するのは当たり前だと言い、彼女はあたるの自宅に押し掛けて来ます。
高橋先生によれば、『うる星やつら』は当初5話短期連載の予定で、あたるが次々変な人に出会っていくオムニバス形式のストーリーをイメージしていたそうです。 第2話に1コマも出てこないのは、その名残というわけです。
メインヒロインに据えなければ国民的ヒロインが生まれなかったと思うと、日本のポップカルチャーをも左右する英断だったといえるでしょう。
●アニメでは真逆の性格に?──『遊☆戯☆王』野坂ミホ
原作で本田が片思いしておりセリフも一言二言しかない1話限りのキャラのミホですが、アニメ第1作目で杏子と並ぶメインヒロインに昇格しました。
原作での彼女は先生の荷物検査で本田からプレゼントされたパズル型のラブレターが見つかったときに、うつむいてしまうほどおしとやかなキャラクターです。
一方でアニメではどちらかというとおしゃべりかつミーハーで、少し打算的なキャラに変わっており、お金とイケメンが好きという俗っぽい面も強調されています。
さらに爆弾発言が多く、「獏良君はトイレなんか行かないもん!」というセリフなど視聴者の笑いを誘うようなものもありました。
アニメでは遊戯たちと一緒に行動していることが多いため「カプセルモンスター」や「モンスターワールド」などのゲームにも参加しており、相手のイカサマを暴くなどの活躍も見せています。
原作初期はヒロインといえるキャラクターが杏子しかおらず、その杏子も出番が多くはなかったため、ミホのヒロイン化により華が生まれたといえるでしょう。
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〈文/アニギャラ☆REW編集部 @anigala01〉
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