SNS、特にX(旧Twitter)を眺めていると、ある種の決まり文句のような言葉が、コメント欄にしばしば登場します。それらは「ネットミーム」と呼ばれ、ネットユーザーたちの間で広く共有されている表現です。中には漫画やアニメ作品に由来するものも多く、たとえば『鬼滅の刃』や『HUNTER×HUNTER』から生まれた名台詞は、日常的に目にするほど定着しています。時には、それらのミームがエッチな投稿に使われることも……。

◆「ネットミーム」になった使い勝手の良いセリフ

 漫画やアニメのセリフのなかには、インパクトがありながら使い勝手がよく、ネット上でよく使用されているものがあります。次のセリフも汎用性が高いうえに、発言したときのシュールさやお約束な展開を迎えることから、ヒットしてネットミームとなり流行しました。

●公式もネタ扱い──「判断が遅い」

 『鬼滅の刃』で炭治郎の師である鱗滝左近次が言った「判断が遅い」は、短い言葉ながら発言した状況も相まって読者に強烈な印象を与えました。

 鱗滝さんが「判断が遅い」と発言したのは、初めて炭治郎と顔を合わせたときです。義勇に炭治郎の育成を依頼された鱗滝さんは、鬼と戦う炭治郎の前に姿を現しました。

 鱗滝さんは同情心から鬼にとどめをさせない炭治郎を見て、「この子は駄目だ 思いやりが強すぎて決断できない」と評価します。そして、夜明けを迎えて鬼が死亡した後、鱗滝さんは炭治郎へ「妹が人を喰った時お前はどうする」と尋ね、即答できない炭治郎を平手打ちし、「判断が遅い」と指摘したのです。

 鬼にすら優しい炭治郎へすぐに判断ができないのは覚悟が甘いからだと教える名シーンですが、天狗のお面を被った老人が少年をビンタするインパクトが相まって、さまざまなコラ画像が誕生して大流行します。本作を見てない人にもコラ画像が出回った結果、本作を「主人公が天狗に殴られるマンガ」と誤解する人も出てしまいました。

 なお、このセリフは公式でもネタにされています。TVアニメ第2話「育手・鱗滝左近次」の大正コソコソ噂話では、鱗滝さんから夕食の選択を迫られた炭治郎が即答できず、「判断が遅い」と怒られるシーンが描かれました。

●お約束の展開?——「奴は四天王の中でも最弱…」

 ネット上でもテンプレとしてよく使われる「奴は四天王の中でも最弱…」は、増田こうすけ先生の『ギャグマンガ日和』の劇中劇「ソードマスターヤマト」で登場するセリフです。

 マンガ「ソードマスターヤマト」は担当の誤植により一気に人気が低迷して打ち切りになり、わずか3ページで最終回を描く事態に追い込まれます。すべての伏線を回収するために超高速で話が進み、強いはずの四天王も死亡フラグを立てて瞬時に倒されてしまいました。

 またネット以外にもマンガやアニメのパロディとして登場しており、最近では『少年ジャンプ+』で連載中の『幼稚園WARS』で、四天王がこのセリフを発言して瞬殺されていました。読者からは「四天王が出てきた瞬間に察した」「四天王あるある」とコメントが寄せられ、このセリフはお約束の展開を迎えるテンプレとして愛されているようです。

詳しく読む⇒『鬼滅の刃』に『呪術廻戦』のモノも!「ネットミーム」になった使い勝手の良い4つのセリフ

◆『HUNTER×HUNTER』から生まれたネットミーム

 冨樫義博先生の作品にはインパクトのあるセリフや言い回しが多く、ネットミーム化しているものも少なくありません。

 たとえば『幽☆遊☆白書』の「残像だ」や、後に広辞苑に載るほどまでに広まった『レベルE』の「斜め上」などがそれにあたります。

 例にもれず、『HUNTER×HUNTER』にも、ネットミーム化しているセリフが多くあります。

●エッチな投稿によく使われる?──「恐ろしく早い手刀、俺でなきゃ見逃しちゃうね。」

 クロロがネオンを気絶させる際に高速で放った手刀に気づいたモブキャラクターのセリフです。

 これは『HUNTER×HUNTER』のセリフの中でもかなり有名で、2022年の「M-1グランプリ」でお笑いコンビ・真空ジェシカがネタに使ったことでも話題になりました。

 このセリフは、Xに投稿された投稿に、恐ろしい速さで「いいね」が付いたときや、投稿が瞬く間に拡散されたときなど、物事が早い展開で進んでいる際、「俺でなきゃ見逃しちゃうね。」といったように使われます。

 また、お色気あふれる写真がXに投稿されたとき、「恐ろしく早い●●(エッチな言葉)、俺でなきゃ見逃しちゃうね。」といったような感じで使われることも……。

 このようにセリフそのものの面白さと、それぞれが好きなように改変して使える汎用性の高さが相まって、ネットでも特に人気のミーム化したセリフとなっています。

●味方の敗因を連想?──「凝をおこたるなよ」

 ゴンたちの尾行に気付いたクロロが、マチとシズクに対して警戒するように伝えたセリフです。

 この発言をした少し前のエピソードでウボォーギンが凝を怠りクラピカとの戦闘で負けてしまったこと、のちのエピソードでビスケが「何か怪しい雰囲気を感じたら何をおいても“凝”」というように凝が基本中の基本だと発言をしたことなどからファンの間でネタになり、何かとミーム的に使われるようになります。

 ネットでは「春から大学生のみんなへ 凝をおこたるなよ」のように注意喚起的な意味合いで使われることや、SNSなどでは『HUNTER×HUNTER』とは無関係のゲームのキャプチャにこのセリフを添えた投稿をするなど意味もなく使われることも多いです。

詳しく読む⇒「エッチな投稿」に使われることも!『ハンター×ハンター』から生まれたネットミーム4選

〈文/アニギャラ☆REW編集部 @anigala01

 

※サムネイル画像:Amazonより

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