最終回を迎えた作品の中には、一部のキャラが衝撃的な展開を迎えることがあります。幼かった魔法少女が、その後の話で「授かり婚」をしたり、最終回で「主人公が死亡」するなど──。
次の4人のキャラは、最終回やその後のエピソードで読者に衝撃を与えました。
◆あの幼かった魔法少女が母親に——『おジャ魔女どれみ』より藤原はづき
<この記事にはTVアニメ・小説『おジャ魔女どれみ』のネタバレが登場します。ご注意ください。>
大人になったどれみたちを描いた『おジャ魔女どれみ20’s』では、はづきのとあるエピソードが長年のファンをおどろかせました。
はづきは小学校を卒業した後、カレン女学院の中等部、高等部の音楽科へ進学します。高校時代には裏サイトで悪口を書かれたり莫大な借金を負ったりする事件がありながらも、無事に卒業してパリの音楽学校へ留学をしました。そして、卒業後はプロのヴァイオリニストとして活動します。
そんなはづきは『おジャ魔女どれみ20’s』で、長いこと交際してきた矢田との間に子供を授かりました。どれみたちに打ち明けた時点でまだ両親には伝えていなかったものの、その後におたがいの両親へあいさつをして結婚の許可をもらい、無事に出産をします。
『おジャ魔女どれみ』は、子供向けの魔法少女ものということもあり、はづきの授かり婚には衝撃をうけたファンが続出しました。
しかし、小説『おジャ魔女どれみ』シリーズでは、おんぷの母親が病死したり、あいこがケガを負って目指していたオリンピック選手を諦めたりと、きれいごとだけではなく現実に即したストーリーが展開されています。さまざまな夫婦のかたちが増えている現代だからこそ、あえて授かり婚というかたちで描いたのかもしれません。
◆エレン以外と結婚した?──『進撃の巨人』よりミカサ・アッカーマン
<この記事には原作・TVアニメ『進撃の巨人』のネタバレが登場します。ご注意ください。>
『進撃の巨人』のミカサは、最終巻に加筆された内容でエレン以外の人物と結婚したような描写があり、ファンを騒然とさせました。
ミカサは序盤からエレンに思いを寄せており、いちずに彼を思い続けています。一方、エレンは冷たい態度をとることもありましたが、最終話では「一生オレだけを想っててほしい!!オレが死んだ後もしばらく…10年以上は引きずっててほしい!!」と、ミカサへの気持ちをアルミンに打ち明けていました。
そんな2人はエレンが死亡して結ばれないままで終わりを迎えますが、最終回ではミカサがエレンの墓石に寄り添っており、エレンを思う気持ちの強さが伝わってきます。
しかし、最終巻では後日譚が加筆され、マフラーを巻いたミカサらしき人物が金髪の男性と寄り添い、子供を連れてエレンの墓参りへきていたのです。さらに、アニメではオリジナルの描写として、ミカサらしき人物が埋葬されるときに、左手の薬指に指輪らしきものが描かれているように見えます。
これには多くのファンが驚き、「ずっとエレンを思っていてほしかった」という声や、「ずっと独り身で生きるのは酷」との声が上がり、賛否が分かれる結果となりました。
◆最終回でヒロインがまさかの闇落ち——『監獄学園』栗原千代
<この記事には原作・TVアニメ『監獄学園』のネタバレが登場します。ご注意ください。>
『監獄学園』のヒロインの千代は、最終回でとんでもない展開を迎え、まさかの闇落ちをしました。
主人公の藤野清志(以降、キヨシ)はヒロインの千代へ思いを寄せており、最終回直前で彼女に告白をしようとします。
しかし、もう一人のヒロインの花は2人が結ばれることを許せず、これまでのキヨシの悪行を暴露して告白を妨害し始めました。そして、花はキヨシのズボンを脱がせ、彼が花の下着をはいていることを明かし、さらにショックな出来事が起きます。
結果的にキヨシの告白は失敗に終わり、トラウマを植え付けられた千代は、学園内の不純異性交遊を厳しく取り締まる裏生徒会の21代目会長に就任。かつての天使のような笑顔はどこかへ行き、冷酷な笑みを浮かべて闇落ちしてしまいました。
この千代の闇落ちっぷりには「予想できなかった」「鬱エンドすぎる」と、ファンから声が上がり、中には打ち切りと疑問を抱く人もいます。しかし、もともと千代とキヨシの関係は、相撲が好きな千代にキヨシも好きだとウソをついたことから始まりました。ウソから始まった関係だけに、うまくいかなかったのかもしれません。
◆OVA版で主人公が死亡してヒロインも不治の病に——『るろうに剣心』より緋村剣心・神谷薫
<この記事には原作・TVアニメ・OVA『るろうに剣心』のネタバレが登場します。ご注意ください。>
2001〜2002年にかけて上下巻で発売されたOVA『星霜編』では、剣心がとある病気で死に、また薫も病気に感染したような描写があり、多くのファンに衝撃を与えました。
『星霜編』は原作の最終回の続きを描いたアニメオリジナル作品で、剣心の人斬りとしての贖罪をテーマに制作されました。
『星霜編』での剣心は薫との間に子を授かった後、贖罪の旅へ出て旅先でとある病気にかかってしまいます。薫は剣心を思うあまり、自ら望んで病気に感染し、剣心と同様に不治の病におかされてしまいました。そして、最後には剣心の病気が悪化して、彼は薫の腕のなかで命を引き取るのです。
贖罪がテーマとはいえ剣心が病死し、薫も不治の病にかかる鬱な展開から、当時はショックを受けたファンが続出しました。
さらに、作中で病名は明言されていませんが、症状から「梅毒ではないか?」と一部のファンから声が上がり、剣心がほかの女性と関係を持ったと疑うファンもいたそうです。しかし、この件については、監督を務めた古橋一浩氏はあくまでも各地の診療所をめぐるなかで感染し、病気については架空のものと『星霜編 ~特別版~』で語っています。
なお、『星霜編』はあくまでアニメオリジナル作品であり、現在は原作の最終回の続きを描く『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚・北海道編-』が連載中です。
——それまでのキャラクター像から一転、加筆やOVAなどで想像もできなかったような未来を迎えてしまうキャラがいます。しかし、それは現実に即したり強いメッセージ性があったりなど、伝えたいテーマが明確にあるからかもしれません。
〈文/林星来 @seira_hayashi〉
《林星来》
フリーライターとして活動中。子供の頃から培ってきたアニメ知識を活かして、話題のアニメを中心に執筆。アニメ以外のジャンルでは、葬儀・遺品整理・金融・恋愛などの記事もさまざまなメディアで執筆しています。
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