アニメや漫画が実写化されるとき、オリジナル要素が加えられたり、改変がなされたりすることは多いですが、原作と実写でキャラクターの性別が変わっていたときの衝撃は半端ではありません。
性別の変更は、否定的な声もあれば「これはこれでいいかも!」と受け入れられているものもあるようです。
次の3人も実写化の際、性別が変更されました。あの強面のアウトローキャラの性別も……。
◆カイジを裏社会に引きずり込んだ張本人も!──『賭博黙示録カイジ』遠藤勇次
『カイジ」シリーズに登場する遠藤勇次を映画で演じたのは、女優の天海祐希さんです。
天海さんはドラマ『BOSS』や『緊急取調室』などの役柄も相まって、自立した“カッコイイ女”のイメージがあります。そのため、配役を聞いたときは驚きましたがほぼ違和感はなく、視聴者にも歓迎されていた印象です。
その評判通り、カイジが「遠藤金融」に訪れた際に放った「だって、だってってさっきから、どこのガキなんだよお前は!鳥のさえずりみたいに言い訳ばっか。知らねぇよ、つうかお前の話なんか誰も聞いてねぇんだよ!」のセリフ回しは、どこか品性が漂いながらも迫力満点。借金の取り立て屋としての貫禄もにじみ出ていました。
原作の『カイジ」シリーズは女性のキャラクターがほぼ出てきません。そのため、男女比率の改善の意味もあって遠藤は実写で女性に変更されたのかもしれません。
こうした改変があったことで男性だけでなく、女性や幅広い年代の方も入りやすい作品になったのではないでしょうか。
◆ドラマ版では性別不明キャラに──『DEATH NOTE』ニア
実写でニアが登場するのは、窪田正孝さん主演で2015年に放送されたドラマ版『DEATHNOTE』。原作では少年となっていますが、実写化にあたり性別不明のキャラクターへと変更になり、女優の優希美青さんがキャスティングされました。
優希さんは、ニア役を演じているときのインタビューで「男の子を演じるより難しい」と語っています。
原作でもニアは登場時、男とも女ともどちらでも取れるような人物でしたし、ドラマでは中性的な感じを求められており、試行錯誤の連続だったようです。
さらに極端な二重人格という設定も加えられていたため、超難役だったことがうかがえます。それでもドラマの中では、ニアの謎に満ちた雰囲気を見事に表現しきっていました。
作画を担当した小畑健先生によると、ニアはおとなしい女性的なイメージだそうです(当初はもう一人の後継者・メロがそうでしたが、悪人面設定だったニアと名前を逆で提出してしまい現在のキャラクターに)。
実写ドラマで性別不明の中性的な人物となったのは、その名残もあったのかもしれません。
◆ブラック・ジャックの相対する男も──『ブラック・ジャック』ドクター・キリコ
手塚治虫先生による名作医療漫画『ブラック・ジャック』は、これまでも何度か実写化されてきましたが、このたび連載50周年記念の特別プロジェクトとして高橋一生さんを主演にスペシャルドラマ化される運びとなりました。
現在も豪華キャストが続々と発表されていますが、原作ファンを驚かせたのはドクター・キリコの配役です。
キリコ役を演じるのは、女優の石橋静河さん。キリコを女性が演じるのは初の試みです。
キリコは安楽死を生業とするキャラクターで、患者を医療で生かすブラック・ジャックのアンチテーゼとなる存在。原作では激しく対立する場面もあり、ドラマではどのように描かれるのか注目が集まっています。
石橋さんが演じることになりましたが、設定的にキリコが“女性”であるとはまだ明言されていません。したがって、実写映画がヒットした『翔んで埼玉』の壇ノ浦百美のように、女性が演じてもキャラクターは男性のままという可能性もあります(演じたのは女優の二階堂ふみさんですが、原作通り男性として演じています)。
配役についてはさまざまな意見が飛び交っていますが、話題性が高まったことは間違いないでしょう。
──実写化でキャラクターの性別が変更になる場合、「女性キャラが加わると画面が華やかになる」「男性キャラが多い場合、女性キャラを入れることで作品に入りやすくなる」などさまざまな効果があるようです。原作ファンの間では評価は分かれるところですが、別物として見るのもまた一つの楽しみ方かもしれません。
〈文/繭田まゆこ〉
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