※本記事には複数の作品のネタバレが含まれます。ご注意ください。
人気キャラの“仕事ぶり”を見ると、普段とは違う一面が見えてきます。『GTO』の鬼塚英吉は修学旅行費800万円を用意するために高額バイトへ向かい、『ONE PIECE』のゾロは思わぬ理由で海軍の掃除をすることになりました。さらに『ゲゲゲの鬼太郎』では、目玉おやじが息子のために働きに出ています。なぜ彼らはそんな仕事をすることになったのか。作中で描かれた意外なアルバイトを振り返ります。
◆鬼塚英吉はなぜ危険な高額バイトへ? 800万円を背負った教師の選択
『GTO』の鬼塚英吉は、教師らしからぬ破天荒さで知られる一方、生徒のためなら無茶もする人物です。その性格がよく表れているのが、コミックス第10巻で描かれた修学旅行費800万円をめぐるエピソードでした。
担任クラスの男子生徒・藤吉晃二が修学旅行の集金を紛失し、鬼塚はその費用を自分が期日までに用意すると宣言します。しかし、教師になったばかりの鬼塚に十分な貯金はなく、これまで借金を踏み倒すなど好き放題してきたこともあり、親友の弾間龍二でさえも簡単にはお金を貸してくれません。
そこで鬼塚が向かった高額バイトのひとつが、「マグロ拾い」でした。これは鉄道業界の隠語で、列車事故で亡くなった人の遺体回収を意味する仕事です。普段は怖いもの知らずの鬼塚も、現場では大きな精神的負担を受けた様子で、この仕事は一度きりで終わっています。
この場面は鬼塚らしい無茶な行動であると同時に、生徒を修学旅行へ連れて行こうとする責任感もにじむ場面です。なお、TVアニメ版『GTO』では、このシーンはカットされています。放送時間が水曜19時30分から20時、のちに日曜19時30分から19時58分のゴールデンタイムだったことを考えると、映像化が難しかったのも自然でしょう。
◆ゾロはなぜ海軍で掃除をしたのか たしぎのメガネから始まった珍事件
海賊であるロロノア・ゾロが、よりによって海軍で掃除をする。そんな珍しい場面が描かれたのが、2000年11月22日放送のTVアニメ『ONE PIECE』第49話「三代鬼徹と雪走!ゾロの新刀と女曹長」です。
このエピソードは、コミックス第11巻の内容をもとにしたアニメオリジナルの展開です。ローグタウンでたしぎのメガネを拾ったゾロは、彼女の顔が親友くいなにそっくりだったことに動揺し、思わずメガネを握りつぶしてしまいます。
ところがゾロには、新しい刀を買うためのお金しかありません。弁償を求めるたしぎに連れられ、ゾロは彼女の職場である海軍の施設で掃除をすることになります。当時のたしぎは、目の前の男が海賊狩りのゾロだとは気づいていませんでした。
ゾロはブラシを3本使って器用に掃除をこなしますが、途中で海兵たちに正体を見抜かれます。結局、彼らを気絶させて逃走することになりました。それでもゾロは、なけなしのお金からメガネ代を支払っており、乱暴なようで筋を通す一面が見える場面です。
この一件以降、たしぎはゾロにだまされたと感じ、顔を合わせるたびに言い争う関係になっていきます。小さな弁償トラブルが、ふたりの関係性を印象づけるきっかけになったともいえるでしょう。
◆目玉おやじはなぜ働きに出たのか 鬼太郎のために選んだ父親らしい仕事
『ゲゲゲの鬼太郎』では、あの目玉おやじが働きに出るエピソードも描かれています。2007年7月8日放送の第5シリーズ第15話「働く!目玉おやじ」では、鬼太郎に自転車を買ってあげたいという思いから、目玉おやじがお金を稼ごうと奮闘します。
きっかけは、自転車に乗る子どもを楽しそうに見ていた鬼太郎の姿でした。目玉おやじは、父親として何かしてやりたいと考え、妖怪たちのツテを頼って仕事を探します。
働き先は、お歯黒べったりが営む銭湯、つるべ落としの雑貨屋、化け蛸のマッサージ屋など、いかにも妖怪世界らしい場所ばかりです。しかし、体の小さな目玉おやじにとって仕事は簡単ではありません。小豆洗いの手伝いで団子を作った際には、つまみ食いをして団子をのどに詰まらせるなど、店側に迷惑をかけてしまう場面もありました。
それでも目玉おやじは少しずつお金をため、ついに鬼太郎へ自転車をプレゼントします。鬼太郎は「とっても嬉しいです!」と喜び、ネコ娘に手伝ってもらいながら自転車の練習を始めました。
鬼塚やゾロのアルバイトとは違い、目玉おやじの仕事は父親としての愛情が動機になっています。失敗続きでも息子のために働く姿は、妖怪でありながらどこか人間味のある温かさを感じさせます。
──鬼塚英吉の高額バイト、ゾロの海軍掃除、目玉おやじの仕事探し。どれも一見すると意外な場面ですが、そこにはそれぞれのキャラクターらしさが表れています。鬼塚は生徒のために無茶をし、ゾロは不器用ながらも筋を通し、目玉おやじは鬼太郎のために働きました。
作中のアルバイトは、たんなる小ネタではありません。普段の戦いや日常では見えにくい一面を引き出し、キャラクターの魅力を別角度から見せてくれます。意外な仕事ぶりを知ったうえで作品を見返すと、彼らの行動にも少し違った味わいが生まれるのではないでしょうか。
〈文/秋山緑〉
《秋山緑》
アニメ・漫画・ゲームを中心に、エンタメ領域の記事制作に携わるライター。話題作から長年愛される名作まで幅広く扱い、作品の魅力やキャラクターの関係性、印象的なシーンを読者目線でわかりやすく伝える記事制作を得意とする。アニギャラ☆REWでは、アニメ・漫画作品のコラムや解説記事を担当している。
※サムネイル画像:Amazonより 『「GTO」第11巻(出版社:講談社)』


