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 「ジム=やられ役」という印象は、必ずしもすべての機体に当てはまりません。『ガンダム』シリーズには、RX-78-2ガンダムに迫る性能を持つジムや、ガンダムタイプの技術を受け継いだ量産機も存在します。なぜ量産機であるジムが、そこまで高性能になれたのか。ジム・スナイパーII、ジム・カスタム、ジム・キャノンIIの設定から、その意外な強さを振り返ります。

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◆ジム・スナイパーIIはなぜ別格なのか ゲルググに迫った一年戦争末期の高性能機

 一年戦争における連邦を代表する機体といえば、RX-78-2ガンダムでしょう。ジオンには「白い悪魔」と恐れられ、連邦軍で初めてジオンのザクを撃破したモビルスーツです。そんなガンダムに比肩する性能を持つ機体が、ジム・スナイパーIIという機体です。

 プラモデル『HGUC 1/144 ジム・スナイパーII』の説明書によると、本機はジム・コマンド系の機体をベースとして開発されたカスタム機体で、一年戦争期に開発された機体としては、最後期にあたります。

 狙撃性能を重視した機体で、頭部には精密射撃用のレーザーと光学による複合センサーを内蔵しています。さらに、狙撃時はメインカメラのゴーグルを閉じて、頭部ユニットを冷却することで、混入するノイズを物理的に排除することで、超長距離狙撃にも対応可能です。

 このように狙撃性能は非常に高くチューンされていますが、狙撃だけでなく総合性能も非常に高く設計されています。

 特筆すべき点は機動性でしょう。本機は機体各所にサブスラスターを増設。バックパックにもスラスターを増設し、機動力を飛躍的に向上させています。

 スペックカタログ上ではガンダムを上回っており、一年戦争におけるゲルググに対抗できる数少ない機体です。実際、書籍『機動戦士ガンダム0080: ポケットの中の戦争 (vol.2)』(出版:バンダイ出版、1989年10月1日出版)によるとジェネレーター出力は1,390kw。書籍『機動戦士ガンダムMS 大図鑑 (part.1)』(出版:バンダイ出版、1989年2月1日出版) に記載された、RX-78-2の出力1,380kwを僅かに上回っています。

 ちなみに、ベース機となったジム・コマンドの出力も、先述した書籍によると、ジム・スナイパーIIと同数値です。ただ、これの機体は作中では目立った活躍はできておらず、OVA『機動戦士ガンダム ポケットの中の戦争』では、あっさりと撃墜されていました。

◆ジム・カスタムはなぜ“ガンダム級”だったのか NT-1の技術を受け継いだ量産機

 一年戦争後にはガンダム以上の性能を上回る量産機も誕生しました。それがデラーズ紛争で活躍したジム・カスタムです。本機はOVA『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』にて活躍した、ガンダムNT-1の系列機となります。

 プラモデル『MG 1/100 RGM-79N ジム・カスタム』の説明書によると、ジム・カスタムは戦争末期に開発されたガンダムNT-1の資材や施設を流用して開発されました。

 NT-1は元々ガンダムの量産化を指標とした設計を施されていたため、RX-78よりも各部のユニット化が進んでいました。加えて開発を推進していたオーガスタ基地では、相当数の未組み立てのユニットが生産されたまま保留にされていたようです。そのため、量産するにはうってつけの機体でした

 こうした背景に加え、「ガンダム開発計画」が進んでいたことや、経済的な情勢が苦しかったことが、連邦にとっては好都合だったようです。しかも、NT-1はガンダムの実践データなどを検証した後に開発されたため、一年戦争期に開発された機体の中では最も完成されていました。

 そんなNT-1のパーツと構造を取り込み開発されたジム・カスタムは、非常に優秀な機体となっています。プラモデル『HGUC 1/144 ジム・カスタム』の説明書によると、通常のジムの倍近い推力と、ガンダムタイプ並みのジェネレーター出力を獲得したと記載があります。

 実際、書籍『機動戦士ガンダムMS大図鑑 (part 7)』(出版:バンダイ出版、1992年6月1日出版)によると、ジム・カスタムのジェネレーター出力は1,420kw。これは先述の書籍『機動戦士ガンダムMS 大図鑑 (part.1)』に記載された、RX-78-2の出力1,380kwをわずかに上回っています。

 ただ、突出した部分もないせいか、「特徴のないのが特徴」と評される機体として完成しました。

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◆ジム・キャノンIIは本当に支援機なのか ビーム・キャノンを積んだ重装量産機

 デラーズ紛争における、ジム・カスタムに比肩する性能を持つジムが、ジム・キャノンII

です。プラモデル『HGUC 1/144 ジム・キャノンII』の説明書によると、本機はジムと名乗っているものの、ガンキャノンの純然たる量産化をコンセプトとしています。

 そのため、本機は一年戦争時に開発されたジム・キャノン、ガンキャノン量産型の集大成ともされている機体です。本機は、高出力ジェネレーターの搭載が可能となったことで、両肩には2門のビーム・キャノンが搭載されました。さらに、接近戦時の防御用の兵装としてビーム・サーベルまで搭載しているため、格闘戦にも対応できます。

 そんな高い性能を実現したのは、本機がガンダムに並ぶ出力を獲得しているからです。本機のジェネレーター出力は1,420kw。これは先述した通りジム・カスタムと同程度で、ガンダムを上回っています。

 支援機としては非常に高い完成度を誇っており、デラーズ紛争ではアルビオン隊に配備されました。なお、先述の書籍『機動戦士ガンダムMS 大図鑑 (part.1)』によると、ジム・キャノンの出力は976kwであり、IIへ進化するにあたって数値が500kw近くも向上しています。

 こうしたジェネレーターをハイエンド機ではなく、量産を想定した機体に搭載できるほどの技術の進歩が、ガンダム超えの量産機を生み出すことにつながったのでしょう。

 

 ──ジムは『ガンダム』シリーズの中で、どうしても量産機ややられ役として見られがちな存在です。しかし、ジム・スナイパーII、ジム・カスタム、ジム・キャノンIIの設定をたどると、その印象は少し変わってきます。狙撃性能、ガンダムNT-1の系譜、ガンキャノン系の集大成という形で、それぞれが明確な強みを持っていました。

 ハデな主人公機ではなくても、戦場で求められた性能を突き詰めた機体には、量産機ならではの魅力があります。ガンダムの影に隠れがちなジムたちも、スペックや開発背景を見直すと、連邦軍の技術進歩を支えた重要な存在だったといえるでしょう。

〈文/北野ダイキ(ガンダム担当ライター)〉

《北野ダイキ》

『Real Sound』などで、アニメ・漫画を中心に執筆するライター。『アニギャラ☆REW』では、『ガンダム』シリーズの宇宙世紀作品をはじめ、モビルスーツの設定、外伝作品、関連書籍などを踏まえた解説記事を担当。定番の人気機体からマニアックな機体まで幅広く取り上げ、作品を見返すきっかけになるような情報整理を得意としている。

 

※サムネイル画像:バンダイ ホビーサイトより 『「HGUC 1/144 ジム・スナイパーII」 (C)創通・サンライズ』

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