『キャプテン翼』には、試合中に命を落としかねない危険な選手が登場します。また、この漫画ではシュートのときに必要以上に脚を振り上げるなど、リアルのサッカーでは見られない名演出が目撃できます。

◆ヘタしたらケガじゃすまないアブない選手

 『キャプテン翼』には、ぶっ飛んだ選手が多く登場しますが、中には試合中に命を落とすかもしれない危険なプレイをする人物もいます。

 現実のサッカーで、竹串をくわえながら試合に出る選手はいるでしょうか? もし、転倒したら竹串が喉に突き刺さって命を落とすかもしれません。下手したら失明することも……。

●どうして出場できてるの? 竹串をくわえてプレイしているカルツ

 ドイツのハンブルガーSVに所属するヘルマン・カルツは、いつも口に竹串をくわえてプレイしていますが、ピッチに倒れたり選手と接触したりすることで、竹が口の中に突き刺さる可能性がありとても危険です。

 ちなみにこの竹串の長さはシーンによって短くなって、楊枝のようになることもあります。しかし、プレイにまったく関係なく凶器でしかありませんし、下手に接触プレイにいけば目に刺さりそうです。

 実際のサッカーではプレイをする際に、指輪やチョーカーなどのアクセサリーを着けることも認められていません。そのため、どうしてカルツが竹串をくわえてプレイできているのか不思議でなりません。自分にも危険性が高い凶器をピッチに持ち込む、狂気の行動といえるでしょう。

●リアルなら出場を止められる! 心臓の病気を抱える三杉淳

 三杉淳は「フィールドの貴公子」と呼ばれる天才プレイヤーですが、心臓病のため数分しかプレイできません。そのため「ガラスのエース」とも呼ばれており、まさに命を失う危険性を抱えながらプレイしている選手です。

 一応、医師の許可は得ており、本人が希望してプレイしているとはいえ、実際の試合なら出場を止められるでしょう。医師との約束の時間をこえてプレイしたこともありますし、何かあったらサッカー協会・学校・監督・医師の責任が問われます。

 命の危険があるという意味では、三杉淳が『キャプテン翼』で、もっとも危険な選手といえるかもしれません。その後、三杉淳が心臓病に打ち勝ち、ほかの選手と同じようにプレイできるようになった姿を見て涙した読者は多いのではないでしょうか。

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◆リアルを突き抜けた『キャプテン翼』のスゴイ演出

 『キャプテン翼』ではシュートのときに必要以上に脚を振り上げたり、GKが片手で強烈なシュートをキャッチしたり、リアルのサッカーではありえない演出が見られます。しかし、それがあるからこそ、選手やプレイのすごさが伝わってくるといえるでしょう。

●キャプテン同士の11がチーム全体のメンタルに影響

 フランスジュニアユースとの対戦では、大空翼とエル・シド・ピエール両エースの11の対決の勝敗がチームのメンタル状態に大きな影響を及ぼしました。

 リアルのサッカーであれば、どんな名プレイヤーでもボールを奪われることはよくあるので気にすることはありません。しかし、『キャプテン翼』では11の重要性を際立たせることで、局面でのボールの奪い合いやゲームへの影響など見どころを演出しています。

 これによって11、特にエース同士のボールの奪い合いが白熱。また、それがチーム全体の勢いにも関わって来るため、その後のゲーム展開に大きな影響をおよぼす要素となっています。

 実際のサッカーでは前線からの守備でパスコースやスペースを制限、チームで連携してボールを奪っていくことが大切です。しかし、ドリブルを得意とする攻撃の中心選手が1試合を通じて、相手DFに完璧に封じられたらチーム全体に響くことはあるかもしれません。その心理をより際立たせて利用することで、11の局面をおもしろく描いているといえるでしょう。

●超人的な握力を持つGKのワンハンドキャッチ

 ドイツユース代表のゴールを守るデューター・ミューラーは、翼のドライブシュート、翼と日向小次郎のドライブタイガーツインシュートも片手でキャッチしました。

 いくらミューラーのように体や手が大きいといっても、リアルのサッカーでワンハンドキャッチするにはボールをはじかないための化け物なみの握力と、シュートの勢いをゼロにする柔らかさがないと実現不可能です。

 リアルのサッカーでは強烈なシュートは、ほとんどパンチングなどではじきます。下手にキャッチに行ってファンブルすれば、こぼれ球に詰められて失点する可能性もあり、弾くほうがリスクが少ないからです。

 しかし、GKのすごさを伝えるのに、ワンハンドキャッチの威力は絶大。どうしても地味になってしまいがちなGKのプレイですが、渾身のシュートをワンハンドキャッチされたときの絶望感はハンパないです。また、両手でキャッチすると余裕感が出てしまうのに対して、ワンハンドキャッチはギリギリでセーブした感を演出できるメリットもあります。

 このワンハンドキャッチはミューラーだけでなく、若島津健が翼のドライブシュートを止めたときにも見せています。また、日本の隠れた実力者、巨漢のゴールキーパー中西太一も小学生のとき、翼との対戦試合でワンハンドキャッチを披露。

 ワンハンドキャッチは、サッカーにおいてやられ役になりがちなGKのすごさを伝えるためのすぐれた演出といえるでしょう。

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〈文/アニギャラ☆REW編集部 @anigala01

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