映画の公開まで1ヵ月を切った劇場版『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』が続々と映画の情報を発表しているのですが、今年の映画では怪盗キッドに関する話題だけでなく、どうも服部平次と遠山和葉の関係についても事件が起こることを予感させる告知が始まっています。
中でも決定的なのが「コナン100万ドルタイムズ」と題して制作された新聞型で配布される宣伝紙。この宣伝では「平次、和葉についに告白か!!!!!」という見出しで平次と和葉の恋愛関係の進展をにおわせています。断定していないところが怪しくも感じますが、果たして本当に告白することになるのでしょうか。
◆可能性は全然ある?伏線が多数あり
服部平次と遠山和葉が、この映画をきっかけに付き合い始めることになる可能性は全然あるでしょう。
というのも長らく平次は和葉に対して告白する意思を見せていたからです。工藤新一と毛利蘭が付き合い始める決定的な回となった修学旅行のエピソードにも登場していた平次は、キスをする新一と蘭の姿を見て清水寺が“絶景告白ポイント第一候補”であったことや、新一のせいでハードルが上がってしまったことを心中で語るというシーンが登場してます。
告白するつもりであることや絶景の名所を告白の場所として考えているという意味では、この映画に登場する函館の夜景は絶好の告白場所と言えます。
#100万ドルの五稜星(みちしるべ)
┊◤ 公開前に総ざらい
.* *゚◢┊ꜰɪʟᴇ.9 ▍絶景告白スポット
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ pic.twitter.com/VhdOrMsoCS— 劇場版名探偵コナン【公式】 (@conan_movie) March 13, 2024
またこの映画の青山剛昌先生が書いたキービジュアルの中心には向かい合う二人の姿があったり、本編でも同じようなシチュエーションがあるようで、予告編では夜景を前に向かい合う二人の様子が確認できます。
そもそも原作者の青山剛昌先生はイベント「青山剛昌先生と話そうDAY 2024」において今回の映画の見所として平次と和葉であることを明言していることからも、二人の動向はかなり要注目となっています。
そもそも工藤新一と毛利蘭の二人が恋人になったのは、最速は2017年9月の少年サンデーでの原作漫画の連載なので約6年半も前になります。
その間も平次と和葉の仲はくっつくようでくっつかないもどかしい日々を続けていました。そろそろ二人の仲の進展があっても良いでしょう。
◆前例として過去の映画とミスリードの可能性もあり
原作漫画でも描かれていないのに、映画で関係性が進展するような展開を見せてしまってもいいのか? と疑問に思う人もいるかもしれませんが、劇場版『名探偵コナンシ』リーズは数あるアニメシリーズの映画の中でも特殊な作品です。
シリーズ第1弾の頃から原作者の青山剛昌先生が制作に参加しており、原作漫画でも明かしていない秘密を劇場版で初出しするケースもありました。
たとえば、『名探偵コナン 異次元の狙撃手』で生死不明の赤井秀一の生存を明らかにしたのが良い例でしょう。それについては以前の記事でも紹介した通りです。今回の映画のサプライズとして、劇場版で主要キャラクターが恋人同士となるというまさかの事態はコナンに限ってはあり得るでしょう。
一方でそれをミスリードとしてくる例もあります。たとえば、2022年公開の『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』ではキービジュアルや予告編では高木刑事と佐藤刑事の結婚式が行われるかのような見せ方をしていました。
しかし蓋を開けてみれば早々にそれが本当の結婚式ではないと明かされて、“ミスリード”が仕込まれていたと発覚します。
この映画で、平次が告白するかどうかも同様のミスリードである可能性も否めません。前例を踏まえると結局は観てみないと分からないという身も蓋もない結論になってしまいます。
とはいえ、平次が告白するかどうかに限らず二人の関係性になんらかの影響がある映画になることは間違いないでしょう。
もし告白がなかったとしても、いずれあるであろう平次の告白の場面は今回の映画を踏まえた上で行われるものです。原作漫画とアニメシリーズが密接な関係にあるからこそ、この映画一本に限らずこれからの『名探偵コナン』で平次と和葉の関係性を楽しむ上でも重要な要素となってくるでしょう。
◆忘れてはいけない「あの人物」の立ち位置にも注目
そしてもう一つ、忘れてはいけないことがあります。それが和葉の恋敵として登場した大岡紅葉です。
大岡紅葉といえば2017年の『名探偵コナン から紅の恋歌』にて本格的に登場し、平次に対して積極的にアプローチする姿勢から和葉にとっては恋のライバルとなっていました。
もし平次と和葉が恋人同士になることを考えたときに、紅葉の立ち位置がどうなってしまうのかも気になるところです。
二人の告白のエピソードに付随して、紅葉が平次のことを諦めたり、何かけじめをつけるようなエピソードはあって然るべきだと思うだけに、今回の映画でも紅葉の登場が告知されているのはある意味で必然。もしかするとこの映画での進展という意味では、平次の告白よりも紅葉との関係性についてけじめをつける回となってもおかしくないでしょう。
作中では平次も和葉も両思いであることは明確なだけに、紅葉の立ち位置は実はかわいそうなポジションです。そういった意味でも彼女にとって救いのあるエピソードがあって欲しいところですし、それを今年の映画が担うという可能性もあります。
怪盗キッドの活躍なども注目が集まりますが『名探偵コナン』を構成する内容の中でも重要なラブコメ要素こそ、今年の映画でもその成分が遺憾なく発揮されていそうです。恋模様の変化を期待して映画館に足を運ぶべきでしょう。
〈文/ネジムラ89〉
《ネジムラ89》
アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは『読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレター』を配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi