『ちびまる子ちゃん』のまる子役を34年間にわたって演じていたTARAKOさんが亡くなり、菊池こころさんが4月21日から2代目声優としてまる子の声を演じていますが、『ちびまる子ちゃん』には実はあまり知られていない「裏話」がいくつかあり、あの美人キャラの性癖がヤバかったり、あるキャラのモデルとなった人物がさくらももこさんとは別にエッセイを出版して暴露話を語ったりしています。ほかにはどんな裏話があるのでしょうか?
◆城ヶ崎さんの性癖がヤバい!
一見カースト上位女子の城ヶ崎さんですが、「永沢、その汚さで私を思いっきり汚して」と衝撃的な発言をしたことがあります。
この衝撃のシーンが描かれたのは、中学生になった永沢くんが主人公のスピンオフ作品『永沢君』です。
いまでこそアニメでレギュラーキャラの城ヶ崎さんですが、もともとはこのスピンオフ作品が初出です。
このような発言に至ったのは、『麗しき令嬢の過ち』という明らかにいかがわしい小説に影響されたためです。
美しい令嬢の主人公が使用人の下品な男を好きになるという内容で、城ヶ崎さんは完全にこの小説に自己投影してしまっています。
そして永沢くんへの好意が強まるあまり、勉強ができるはずの城ヶ崎さんは、彼と同じ商業高校を受験してしまいます。
しかし永沢くんは落ちて自分だけが受かり、この作品の城ヶ崎さんはどこまでも不憫です。
アニメでは、犬猿の仲の城ヶ崎さんと永沢くん。それが城ヶ崎さんの好きだからこそいじめたくなるという心理からくるものなのであれば、既に歪んだ性癖をのぞかせているといえるでしょう。
◆はまじは作家! 戸川先生のリアルも暴露?
作中でお調子者として描かれたはまじですが、モデルになった浜崎憲孝さんは『僕、はまじ』という本を出しており、さくら先生のエッセイのようにさまざまな裏話が書かれています。
中でも衝撃的なのが、戸川先生のモデルになった担任教師は実は怖かったというエピソードです。
モデルになったその先生は、教え子にウイスキーを飲ませたり、プールで泳げない子の頭を水の中に沈めたり、実際は怖い上にかなりの問題行動をしていたそう。
浜崎さんは当時、あまりの怖さに不登校になってしまい、先生が家に押しかけて無理に学校に連れ出すこともあったそうです。
さすがに当時でもこうした行動は問題視されたのか、1年でいなくなってしまったそうです。
実際には鬼教師だった担任の先生を、いつも優しい戸川先生にしたのは、「こんな先生だったらよかったな」という理想からなのでしょう。
なお、浜崎さんは2023年に死去したとWebメディア『 週刊女性PRIME』の8月20日の記事で語られています。
◆花輪君以上のお金持ちがいた?
まる子の親友・たまちゃんのモデルになった人は、なんと花輪君以上のお金持ちだったといいます。
たまちゃんのモデルは穂波珠絵さんという、実際にさくらももこ先生の小学生時代からの親友です。
彼女は不動産屋の娘で、大きな庭のあるような豪邸に住んでいたそうです。
そしてお金持ちというだけではなく、クラスのリーダー的存在で美少女だったという完璧ぶりだったといいます。
彼女は将来どのような道を歩んだかというと、大人になってアメリカに住み国際結婚したらしいです。
穂波さんは、さくら先生が闘病生活を送っているときにも唯一会っていたり、さくら先生が漫画家デビューした際には真っ先に報告したり大人になっても交流が続きました。
穂波さんとたまちゃんには多くの違いがありますが、2人の友情は『ちびまる子ちゃん』とほとんど同じといえそうです。
◆さくら家はNHK受信料未払い?
真面目なイメージがあるまる子の母ですが、実はNHK受信料をごまかしたことがあります。
原作コミックスの第1巻「うちはびんぼうパートI」というエピソードで、NHKの受信料を回収しにきた職員に対し「うちはモノクロです」と追い返したことがあります。
まる子はそんな母の姿を見て、「タイホされるだろうな……」と内心おびえていました。
『ちびまる子ちゃん』の舞台である1970年代の日本では、テレビの普及率は90%以上ですが、そのうちカラーテレビを持っている家は30%しかありませんでした。
NHKの受信料はテレビの種類によって価格が違っていたそうで、この時代ならではの節約術だったのでしょう。
もしアニメ版がNHKでの放送になっていたら、危なかったかもしれません。
◆エグい作風の漫画家名が由来のキャラも?
ほのぼのした作風の『ちびまる子ちゃん』ですが、一部キャラの名前は過激な作風の「ガロ系」と呼ばれる漫画家から来ています。
たとえば丸尾くんは丸尾末広さん、花輪くんは花輪和一さんからです。
ほかにもみぎわさんはみぎわパンさん、とし子ちゃんは土橋とし子さん。そしてアニメ1期以降出てこなくなってしまったえびすくんは蛭子能収さんが由来ではないかと考えられます。
これはさくら先生が学生時代に、上記の漫画家の漫画が連載されていた『月刊漫画ガロ』を実際に愛読していたためです。
──『ちびまる子ちゃん』はさくら先生の小学生時代をベースにしているものの、さまざまな改変も加えているため、「実際はこうだった」などの裏話も数多くあります。そうしたエピソードを知った上でアニメを見てみると、より面白さが増すかもしれません。
〈文/michel〉
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