<この記事にはTVアニメ『ワンピース』と原作漫画『ONE PIECE』のネタバレが含まれます。ご注意ください。> 

 戦ってはいけないと言われていてもこの二人は止められない! ルフィとルッチは互いに悪魔の実を覚醒させてさっそく激突! カイドウ戦にも引けを取らない映像になっていた──!?

 第1100話「異次元の力!ルフィVSルッチ!」はまさにそんな注目回。ルフィとルッチの激突が目玉となった大迫力の回でした。

◆因縁の対決とはこういうこと?さっそくぶつかり合う二人

 このエピソードのメインはやはりルフィとルッチの対決シーン。

 エッグヘッドに麦わらの一味がいることを知らされた赤犬こと元帥・サカズキが激昂するシーンから始まったわけですが、今やルフィは四皇の一人。海軍や政府としても軽々と戦いを交えていい存在ではなくなっているようで、ルッチにも海軍の到着を待つように伝えています。しかし、それももはや“フリ”。カクやステューシーに止められていながらも、ルッチは戦う気満々です。

 一方のルフィもチョッパーやジンベエにルッチとの戦いを止められつつ、ルフィはアトラスやボニーのことを任せてルッチと戦う意思を見せます。

 そして間髪を入れずにルフィとルッチがさっそく激突。そのままの姿での殴り合いも早々に切り上げ、ルッチの問いかけに応えるように、カイドウとの戦いぶりにルフィの解放のドラムが発動します。

 久しぶりのリズムに合わせて、ルフィがさっそくギア5の姿へ変身。登場シーンから自由すぎる動きを見せたかと思いきや、ルッチが気づくのが精一杯なほどのスピードでルッチを殴り飛ばします。

 かなり派手な見せ方での登場となった上、ワノ国でもルフィのギア5をはっきりと観ていなかった面々もこのタイミングでついにギア5をしっかりと目撃する場面となりました。

◆ルッチも覚醒!「悪魔の実」とは何なのか?ベガパンクの見解が明らかに!

 今回は戦いの描写も派手で目を引くのですが、一方で重要な話もベガパンクが披露しています。

 気の抜けた効果音で吹き飛ばされたルッチでしたが、さすがのCP-0。その程度の攻撃では怯むことなく、再びその姿を現すと、今回が初登場となる「ネコネコの実 モデル:レオパルド(豹)覚醒フォルム」の姿を披露します。

 ここでベガパンクが補足している通り、動物(ゾオン)系の悪魔の実の覚醒は人格を取り込まれてしまうことが多いとされていて、インペルダウン編で登場した獄卒獣がまさにその例でした。

 一方、ギア5ルフィやヤマトが能力を使った時に身体に纏っていた羽衣のようなものがルッチにも出現。どうも動物(ゾオン)系の悪魔の実の覚醒を駆使できるようになると、この羽衣らしき現象が発生するのかもしれません。

 そして、そんな二人の戦いの様子を見ていたベガパンクはルフィの姿がどう映ったのかや、“悪魔の実”はどういった存在なのか、という根本的な疑問に対する独自の答えを述べてくれます。 

 まずベガパンクにとってギア5ルフィの姿は古い文献にしか記されていないとされる“解放の戦士”、“太陽の神ニカ”にそっくりであることを改めて明言します。

 ワノ国編でも言及されていた内容ではありつつ、改めてギア5の状態がどんな存在なのかを一味の面々にも知らしめる瞬間となりました。

 人が望み続ける限り消えることのない存在であるニカ。そんなニカと似たような存在として、ベガパンクにとっては“悪魔の実”も同類と考えているらしく

・“悪魔の実”とは誰かが望んだ「人の進化」の“可能性”

・“能力者”とは誰かが思い描いたいくつもの異次元を生きる者達

 と仮説ではありながらも、具体的な定義を示してくれました。

 ベガパンクは人工の悪魔の実を作れるわけですが、そんな彼でもまだはっきりと悪魔の実がなんなのかは解き明かせてないのも驚きです。

 加えて、この仮説も“誰か”や“いくつもの異次元”など意味深な表現を使っているのも気になります。果たしてこのベガパンクの仮説は当たっているのでしょうか。

◆戦桃丸やセラフィムも参戦!しかしいきなり脱落?

 そして戦いに参戦するのはルフィだけではありません。ベガパンクの要請により、戦桃丸とセラフィム3体が投入され、セラフィムの命令の優先度についても説明が行われました。

 五老星、ベガパンク、戦桃丸の順に命令の優先性が設定されているということで、CP-0が利用していたバーソロミュー・くま型のセラフィム──S・ベアも戦桃丸の命令でたちまち味方に。圧倒的にベガパンクサイドが優勢かと思わせたところで、ルッチが戦桃丸を攻撃し、命令権限を獲得しようとする窮地で次回へと続いていきます。

 戦桃丸が落ちたとあれば、ベガパンクが命令を上書きしなければいけないわけですが、それはすなわち、彼らもセラフィムたちのもとへ来なければいけないということ。ベガパンク暗殺を目的とするルッチとしては、戦力を削ぎつつ、ベガパンクも誘い出せる抜け目ない行動と言えます。

 そんなわけで凄まじいルフィとルッチの戦いの様子はもちろんのこと。悪魔の実に関する貴重な証言や、1話中で戦力差が目まぐるしく変わっていく、実に密度の濃い放送回となりました。原作漫画でもここまでの格闘戦を見せてはいなかったので、TVアニメ版独自のアレンジを大幅に加えたかなり贅沢なエピソードとなっていました。

 さすがにそれだけ大変なエピソードだったせいなのか、来週の放送は総集編回である「因縁の記録!麦わらの一味とCP」が放送されます。ルッチ達との因縁が描かれたウォーターセブン編やエニエス・ロビー編もおよそ20年近く前のお話。ある意味、来週は来週で貴重な放送回とも言えるでしょう。

〈文/ネジムラ89〉

《ネジムラ89》

アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレターを配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi

※サムネイル画像:YouTubeチャンネル 『ONE PIECE公式YouTubeチャンネル』より

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