『ワンピース』には、容姿が変化するキャラがたくさんいますが、その理由は悪魔の実の能力や、満月の力などさまざま。中には、原形をとどめない変化が話題となったキャラクターもいます。
◆ずんぐりむっくりがイケメンに急成長⁉──海軍大佐・コビー
コビーは、ルフィの祖父、モンキー・D・ガープの直属の部下となり、みっちりしごきあげられ、ウォーターセブンで再びルフィたちの目の前に現れたときは等身が変わるほどのイケメンに成長し、読者を驚かせました。
また、ルフィとの再開から2年後の新世界編では、海軍大佐というスピード出世を果たし、ロッキーポート事件で市民を守った英雄としてその名をとどろかせています。
「海軍将校になる!」という夢を、わずか2年で叶えたことを考えると、コビー自身の努力はもちろんですが、天賦の才が元から備わっていたのかもしれません。
コビーは、黒ひげ海賊団の本拠地「ハチノス」に捕まっていましたが、ガープやSWORDの助けもあり、激しい戦闘の末、海軍の軍艦に戻れましたが、島ではガープと元海軍大将のクザンと戦闘が始まります。
しかし、 ガープは「お前たちが海軍の未来じゃ!!」と言い残し、クザンの能力で体を凍らされてしまい、翌日の新聞には、「コビーの生還」と「ガープの消息不明」が報じられました。
コビーは、無事に海軍に戻れましたが、恩師を敵地に残して帰還するという、あまりにも残酷な結果に──。
しかし、ガープは消息不明なだけで死亡したわけではありません。同じくクザンによって体を凍らされたサウロも生きているとほのめかされるシーンもありましたので、ガープも生きているのかもしません。
◆かわいらしいウサギの姿から美女に大変身!──キャロット
キャロットはゾウの背中にある、モコモ公国に住んでいるウサギのミンク族です。彼女は、満月を見ると、記憶の彼方にある野生が目覚め、真の姿「月の獅子(スーロン)」に変身します。
「月の獅子(スーロン)」に変身したキャロットの髪型は、ボブからロングに、また、特徴的なウサギのしっぽも長くなり、極めつけは目が赤くなるなど、元のかわいらしい姿からは想像ができない別人となります。
その実力は、四皇、ビッグ・マムの部下、シャーロット・ダイフクとも互角に渡り合えるほどでした。
しかし、「月の獅子(スーロン)」は、身体能力を上げるかわりに、命を落としてしまう危険性もあります。
キャロットはモコモ公国で、ペドロに力の制御を教えてもらったので命に別状はありませんでしたが、発動後は深い眠りについてしまいました。
そんな彼女は、ワノ国での戦いのあと、イヌアラシとネコマムシの指名で、モコモ公国の国王になり、麦わらの一味の船を降りることになりました。
物語が終盤に差し掛かった際は、もしかしたらモコモ公国のミンク族を率いてルフィのピンチを救うかもしれません。
◆激しい怒りと悲しみの影響で大変身!──赤鞘九人男・傳ジロー
ワノ国の回想シーンに光月おでんの部下として登場した傳ジローは、黒炭オロチの策略によって光月おでんを失った激しい怒りと悲しみによって、元の面影を残さないような姿に変貌を遂げました。
姿が変わったことをきっかけに「狂死郎」と名前を変えた傳ジローは、得意のそろばんを生かして両替商になって生活していました。
しかし、傳ジローの復讐心は消えませんでした。仲間と共に黒住オロチやカイドウを倒すため、周囲にバレないよう着々の準備を進めていたのです。
ワノ国がカイドウから解放されたあとも、傳ジローの姿は狂死郎のまま戻りませんでしたが、両替商として光月家再興やワノ国の復興のために力を尽くしていると考えられます。
◆ただのスケベな子供じゃなかった!──光月モモの助
モモの助は、鬼ヶ島での戦闘中に「ウオウオの実・モデル青龍」の力を使ってルフィを助けようとしますが、体が小さく思うようにいきませんでした。そこで彼は、くノ一・しのぶの「ジュクジュクの実」の力を利用して8歳から28歳へ強制的に成長させるよう頼み込み大人の姿へと変身を遂げます。
鬼ヶ島の脅威からワノ国を守った28歳のモモの助は、住民に対してワノ国を統治することを高らかに宣言します。
大人の姿になったとはいえ、中身は8歳のまま。ルフィたちがワノ国から出航するときは子供のように泣きじゃくりました。
そんなモモの助に対しルフィは、「弟みたいに思っている」ことを伝えます。エースやサボという兄しかいなかったルフィにはじめて弟ができた瞬間でもありました。
年上の弟という、ちょっと不思議な関係性ですがルフィに弟ができたことに感慨深くなる読者は多かったようです。
ルフィたちが出航したあと、ワノ国は大きな地震に襲われましたが、詳しいことは分かっていません。物語が進むにつれて、この地震の正体も明らかになり、モモの助の再登場へとつながるのかもしれません。
──コビーは海軍に入隊して鍛えられ、キャロットは「月の獅子(スーロン)」になることで姿が変わりました。この2人は、姿が変わることで心身ともに強くなったことを表現しているように思われます。
その一方で、傳ジローは姿が変わっても復讐心を忘れず、モモの助は大人の姿になっても中身は子供のままでした。この2人は、体は変わっても中身は変わりませんでした。
個性的なキャラクターが登場する『ワンピース』ですが、姿が変わること一つとってもさまざまな意味を含んでいることが分かります。
ここで取りあげたキャラクターたちのその先は、今のところ詳しく明かされていないので、再登場する日も近いかもしれません。
〈文/Takechip 編集/乙矢礼司〉