桜が散り出すとともに今年も劇場に名探偵コナンがやってきました。

 2019年4月12日(金)より劇場版『名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)』の公開がスタート。さっそく初週末の土曜日の夜に、TOHOシネマズ梅田の関西最大キャパシティを誇る1番スクリーンのTCXにて鑑賞をしてきました。

名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)
画像引用元:劇場版 『名探偵コナン 紺青の拳』オリジナル・サウンドトラック 販売元:ビーグラムレコーズ

 TOHOシネマズ梅田は、劇場版『名探偵コナン』シリーズの全国動員数1位になるほど、集客率が特に高い映画館なのですが、今年もその記録を維持するのではないかというほど、圧倒的の客席数を埋め尽くす多くの人が来場していました。

 出だしの興行収入記録も前作『ゼロの執行人』を越えるペースで100億円という大台を超えるかもしれないと報道されている通りで、公開まもなくの時点ですでに最終的な数字が非常に楽しみな状態となっています。

 そんな劇場版『名探偵コナン』は、この2019年という年が結構大事な年になってきそうです。

劇場版『名探偵コナン』に訪れた2018の安室フィーバー

 劇場版『名探偵コナン』シリーズにおいて、なんといっても2018年は大きな事件の年だったと言えます。もともと例年、興行収入を少しずつ伸ばしてきた劇場版『名探偵コナン』シリーズでしたが、なかなか50億円という大台を超えられずにいました。そんな中、その事態を大きく動かしたのが2016年公開の『純黒の悪夢』でした。

純黒の悪夢
画像引用元:劇場版 名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)(初回限定盤)[Blu-ray] 販売元:ビーイング

 『純黒の悪夢』は宿敵である黒の組織が本格的に物語に絡んでくるなどの挑戦作にもなっており、本作で興行収入50億円どころか60億円という大台をついに突破し、それを皮切りに『名探偵コナン』が50億円オーバーを実現できるブランドであることが明らかになりました。

 やっとのことで50億越えのブランドとなった『名探偵コナン』でしたが、それから二年後という間もないタイミングでさらなる高い結果を叩き出すことになります。『ゼロの執行人』の登場です。

ゼロの執行人
画層引用元:劇場版名探偵コナン ゼロの執行人 (通常盤) (Blu-ray) 販売元:ビーイング

 本作は映画のメインキャラクターとして初めて安室透を据えたことも大きく、多くのリピーターも生まれ、最終興行収入は90憶円に届く圧倒的な興行収入記録を実現します。公開前にはすでにファンの間で「安室透を100億の男にする」なんてフレーズは聞かれては確かに居たのですが、まさか本当にそこに迫る数字を見せることになるとは、やっとのことで50億オーバーを果たした当時からは想像できませんでした。

 ちなみに日本国内では100億円には到達できませんでしたが、『名探偵コナン』はアジア圏を中心に海外上映も果たしている作品。それらの興行収入を合わせれば『ゼロの執行人』はしっかり興行収入100億を果たした作品となっています。安室は名実ともに100億の男となっていたわけです。2018年のDIMEトレンド大賞を獲るのも納得の結果を出しています。

安室不在の『紺青の拳(フィスト)』で試される劇場版『名探偵コナン』

 そんな中での公開となるのが2019年公開の『名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)』です。

 昨年あれだけのヒットを作り上げた安室透でしたが、今回の劇場版には未登場となっています。そういう意味では数字的な部分で不安が感じられます。そもそも安室自体は『ゼロの執行人』が劇場版初登場ではなく、すでに『純黒の悪夢』でも登場していたので、制作陣もまさかここまでの数字を挙げるキャラクターだったとは当時は思っていなかったでしょう。ですが、『ゼロの執行人』の成功を経た今となっては、ノリに乗っている安室というキャラクターが不在の劇場版『名探偵コナン』がどういった結果を残すか、というかつてはありえなかった疑問が湧いてきます。

 今回の『紺青の拳(フィスト)』はその答えを明らかにする社会実験的な見方もできる映画となっていると言っても過言ではないでしょう。2018年の『ゼロの執行人』は果たして安室によるラッキーパンチだったのか。それとも劇場版『名探偵コナン』シリーズというブランドのグレードを大幅に挙げるきっかけの一作だったのか。稼ぎあげる金額が金額だけに否が応でも今年はその問いを投げかけられる一作だと言えます。

『紺青の拳(フィスト)』は実際のところ面白いのか?

 モチロン、興行収入なんて部分一つで作品の良し悪しが決まるわけではないのですが、私がどうしても『ゼロの執行人』と比べたくなってしまう理由があります。

 それは『紺青の拳(フィスト)』も『ゼロの執行人』と違わずすごく面白い一作だったから。

 シンガポールというコナン史上初の舞台ということで、映画映えする爆発シーンなども体裁的に自粛するのではないかと思っていました。しかし、今回の劇場版は、海外といえども容赦なし。ビックリするぐらいに派手で、クライマックスにはそこまでやっちゃってシンガポールが怒らないか? と心配になるぐらいの規模の大事件へと発展します。やはり劇場版『名探偵コナン』はここまでのスケールをやってこそ。前作から見劣りしないかという心配をしっかり覆すアクションエンターテイメント作品となっていました。

 また、今回は安室の代わりに、『まじっく快斗』が出自となるコナンの宿敵である怪盗キッドと、劇場版としては初めてフィーチャーされる純レギュラーキャラクター、空手家の京極真の登場が見どころの一つとなっています。まさにこの二人とコナンの組み合わせが新鮮。20作以上登場している劇場版『名探偵コナン』シリーズですが、しっかり新しい体験を用意できているのもシリーズを通しで観ている身としても見事だと思う部分です。

 安室が居なくたってこれだけ面白いのだから、『ゼロの執行人』が安室需要によるまぐれの大ヒットみたいな位置づけに結果になって欲しくないというのが正直なところです。

 

――そんなわけで、昨年があまりにも爆発的なヒットを果たしてしまった分、今年は今後の劇場版『名探偵コナン』シリーズの位置づけを大きく左右することになるであろう年なわけです。この記事で結局なにを伝えたいかといえば、ぜひ実際に劇場でこの時代を体験して欲しいということ。

 もしかしたら『紺青の拳(フィスト)』が劇場版『名探偵コナン』シリーズのピークとなるかもしれないし、更なるグレードに一歩進むきっかけの一本となるかもしれない。それは後世になってみないと分からないことです。ただ、今分かることとして、劇場版『名探偵コナン』シリーズがすごく大きな岐路の上にある作品であることは間違いないのです。そんな作品に立ち会えることってそうそうありません。せっかくそんなまたとない機会に巡り合えたのですから、ぜひ“当時劇場に実際に足を運んだ人”として多くの人に今この時代を体験して欲しいです。

(Edit&Text/ネジムラ89)


公式サイト:劇場版『名探偵コナン紺青の拳(フィスト)』

© 2019 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

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