ストーリーが大きく動いた「一国傾城篇」
最初は遊郭吉原の伝説の花魁である鈴蘭と出会った銀時が、(なんやかんやで)吉原自警団団長の月詠とともに鈴蘭の思い人を探すという内容でしたが、その背景には先代将軍の徳川定定が関与していたことから、万事屋と月詠、今井信女が幕府の警察を巻き込んだ「国盗り合戦」に発展していくのが、第三百八十六訓『傾城逆転』から始まる「一国傾城篇」です。
今までの長篇では、重要キャラとの確執であったり過去が明かされる内容が多かったのに対し、今回は銀時の過去だけではなく、攘夷戦争時の一部の話や銀時らの先生である吉田松陽について触れられること、そして何よりも幕府たる将軍家とそれを裏で操る天導衆との関係が明かされるといった、普段とは一線を画す重厚感溢れるストーリーとなりました。
今までの登場では必ずギャグキャラとして描かれた茂茂がボケをかます事なく「将軍」として登場していたのも、大きな特徴と言えます。
終盤、定定を引き取りにきた天導衆の前に茂茂が現れ、解官詔書(将軍を辞するという書面)を投げ渡して
「お引取りを。ここは侍の国に御座る」
と言い放ったシーンは、まさに「将軍」そのものでした。
異三郎も最初は将軍らの護衛を任され、また先代将軍の命によって暗殺されてしまい(未遂に終わりましたが)、前回では敵対していた真選組と共闘して銀時らを援護を行うといった、異三郎の真意がより分からなくなるような動きを見せておりました。
その後、次期将軍の座を狙っていた一橋派との繋がりに気づき、茂茂を下ろしたのも今回の計画ではないかと真選組に睨まれましたが、異三郎自身は「もっと大きな大法螺に付き合っている」といい、将軍の挿げ替えが目的ではなかったことを示唆しました。